奥会津昭和村振興公社の渡辺文弘先生による「からむしの歴史と今」のお話φ(.. )
日本では「麻」という言葉が亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、黄麻(ジュード)、
大麻(ヘンプ)などの草の皮から繊維を採る靭皮繊維の総称としてつかわれていますが、
英訳はありません。
「からむし」とはイラクサ科の苧麻の和名。苧麻の英名がラミーです。
現在は機械紡績による苧麻糸のこともラミーといいます。
昭和村では、約600年前からむしが換金作物として奨励されたそうで、
今も生活と共に技が受け継がれています。
最上級のもの(カゲソ)は、上布の材料として越後上布、小千谷縮布技術保存協会に出荷されます。
ちなみに他の産地が最上級のカゲソを譲って欲しいといってきたら?と質問させていただいた
のですが、越後上布、小千谷以外の産地にいくととは絶対にないとのお答えでした。
最上級のもの以外は、奥会津昭和村振興公社において、からむし織として商品開発されています。
からむし織が織られるようになったのは、1974年のことだそうなので、日本の染織の中では
新しい織物です。
現状では糸の染めや絣づくりは昭和村ではしておらず、他産地でされているとのことでした。
からむし栽培からからむし織ができるまでの説明がありました。
手績みの糸についてのお話はありましたが、機械紡績苧麻糸(ラミー)についての
お話がなかったので、質問させていただきました。
麻織物として市場に流通しているものとしてはラミー糸のほうが圧倒的に多く、
ラミー糸ならではの良さもあるはずなのに、なぜか、ラミーの糸について聞くことができない
ことが多いので…、つっこませていただいたのですが、とても真摯にお答えくださいました。
ありがとうございましたm(_ _ )m
奥会津振興公社のからむし織は昔ながらの地機や高機で織られておりその自然な風合い
が特徴ですが、手績みの苧麻だけでなく機械紡績糸のラミーもつかわれています。
このラミー糸は現在つくられたものではなく、過去に紡績工場にてつくられたものであり、
素材は昭和村で栽培されたからむし(苧麻)がつかわれているとのこと。
奥会津振興公社のものは、素材と生産者名が記載された証紙がついているのだそう。
昭和村では1994年から、からむしの栽培から織りまで約1年かけて昭和村に定住し
体験する「織姫•彦星」という体験生を募集する後継者育成事業も行なわれています。
昭和村の織姫の方々が、「からむしの糸づくり」の実技体験の指導をしてくださいました。
「からむしの糸づくり」の実技体験は別記事にあらためます。