この秋は楽しみにしている展覧会が目白押し
着眼点が面白い企画が増えていますが、こちらもそのひとつ。
「輝ける金と銀 ~琳派から加山又造まで~」 山種美術館にて開催中(~11月16日まで)
金と銀をつかった日本画の表現に着目した特別展です。
箔、砂子、金泥といった装飾技法による金銀づかいはギラギラせず鈍い光に品格があります。
思いがけないところにもつかわれていたり…。
それぞれの絵のどこに、どのような技法でつかわれ、どんな効果があるのかを、東京芸術大学の
箔装飾技法の並木英俊先生がつくられた技法サンプルも展示されています。
この企画が面白い
小袖や紅型の展覧会とかでも技能サンプル展示やっていただけないものかしら…。
内覧会では、並木英俊先生と山種美術館の山崎妙子館長のギャラリートークもあり、
より勉強になりました♪
「華扇屏風」 加山又造(1966年)
銀箔と料紙装飾の継紙のような背景が宇宙のよう。
加山又造は、金銀の薄板を小さく切って蒔絵の中にはめ込む截金の技法を学び、
箔による装飾も研究したのだそうです。
背景の銀、扇面の銀、よく見ると紫がかっているものから緑がかっているものもあります。
年数が経つにつれ酸化し変色する銀の性質をあえて利用しています。
「名樹散椿」 速水御舟(1929年)
うっとり~(〃∇〃)
金色一色の背景は金箔でなく「撒きつぶし」という金砂子を隙間ないように何度も撒いては
つぶす技法。箔よりも多くの金を必要とし手間もかかるそうですが、美しさが比類ない
●技法サンプル● 金の輝き方が全く違うことがよくわかる
左「箔押し」・ 中央「金泥」 ・ 右「撒きつぶし」
「春光春衣」 松岡映丘(1917年)
金砂子と金箔が散らされた雅やかな作品。
●技法サンプル●
金箔の細かい粒子「砂子」 / 四角いもの「切箔」 / 直線に裁断されたもの「野毛」
「真昼の火山」 山本丘人(1959年)
銀箔の上に胡粉を塗りった箔絵といえる大胆に金銀がつかわれている作品。
立木は金泥で描かれています。
●技法サンプル●
左側は箔の上に絵の具を塗る前 / 右側は塗った後
「竹」 横山大観(1918年)
絹の経年劣化で黄ばんでしまったのかと思っていたのですが…←失礼(-"-;
絹地の裏側に金箔を貼り落ちついた輝きを効果的につかった技法でした。
●技法サンプル●
左側が何もしていないもの / 右側が裏から金箔を貼付けたもの
●道具●
雲母を粉末にしたものが雲母(きら)です。顔料を混ぜて彩色につかいます。
砂子筒や筆、刷毛。
金泥を定着させるにのに布海苔がつかわれるとのこと。
金箔には少量の銀や銅が入っています。強度を増すため、合金にすることで極限まで薄く
伸ばすことができるなど利点があるのだそうです。金の割合も純金箔、一号箔~四号箔まで。
「美術展へいったら鳥を探す」
鳥が描かれた作品も堪能:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
これらの作品にも効果的に金銀がつかわれています!
こんな表装にも胸キュン
山種美術館の cafe椿では、青山菊家の作品にちなんだ生菓子が楽しめます♪
ごま餡に魅かれて千鳥をチョイス。
柴田是真「波に千鳥」は後期展示(10月21日~11月16日)
内覧会では人気投票もありました。
日本画には金のつかい方に技がある。
黄金の国といわれるのは伊達じゃない。
金の生かし方に品がある。銀の経年の変色も美とする。
ご紹介しきれませんでしたが、技法サンプルは勉強になりました~♪
より作品の素晴らしさを堪能できますヽ(゚◇゚ )ノ
※山種美術館さまより撮影及び「きものカンタービレ♪」への掲載の許可をいただいております。
「きものカンタービレ♪」のFacebookページ
↧
「輝ける金と銀 〜琳派から加山又造まで〜」内覧会 at 山種美術館
↧