毘沙門亀甲文様の茜染。紫根染と同じく南部絞りです。これは白山紬地に絞りの技法で染められています。
茜という文字は草冠に西と書きます。茜染はまさに西の空が夕焼けに染まる色なので赤い根をもつアカネに茜の文字があてられたのかもしれません。
額田王「茜さす紫野ゆき標野ゆき野守は見ずや君が袖振る」
大海人皇子「紫草の匂へる妹を憎くあらば人妻ゆえに我恋ひめやも」
古の昔の恋歌が今も息づいているような…。
【1月10日の装い】東京◇晴れ(湿度47%) / 最低気温4℃ 最高気温13℃
野の花工房の諏訪好風の毘沙門亀甲の茜染に更紗に鶏の本袋帯をコーディネート
帯あげは渡敬、帯〆は道明の胡蝶
酉年に相応しく、鶏の帯。この帯、今では珍しい「本袋帯」です。
袋帯の名前は、表と裏が袋状に織られていたことに由来します。
現在流通している袋帯のほとんどが表地と裏地を別々に織りあげたものを後から縫い合わせて袋状にした「縫い袋帯」。
「本袋帯」とは、表地と裏地が1枚の筒状の生地で織られています。筒状で裏返しで織りすすめられるため、織りあがるまでは織り手も文様をみることができません。ゆえに織り手には熟練の技が必要とされます。
にわとりとにわとり♡
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