昨今の着物イベントや着物についての賛否両論を聞き及びました。厳しい意見もより良くしていくためには必要だと思います。でも着物好き同士による蔑みのようなものは意味があるのでしょうか?
絶滅危惧種の中で殺しあっているようなものです。
安価のものが普及すると、どうしても高額になってしまう上質な素材や手仕事によるものが駆逐されてしまうことを危惧するお気持ちはわかるのですが、いわゆる高級品のものだけが本物の着物ではないのです。高額な着物は実用的とはいえませんし、着る場所もそれなりに選びます。ましてやおいそれと購入できるものでもないのですから。
着物は着付けができなければ着ることができないという面倒くさい衣裳ですので、その面倒くさいという思いを払拭するぐらい着物を着たいと思わせる何かが必要です。それは人それぞれですので、ありとあらゆるところにあらゆる形で、様々な着物が存在するということが大事だと思っております。センスに関しては好みの問題ですので…、色々なものがあって良いのでは。
何を選ぶかはその人の好みと環境次第でしょう。
高価格となってしまう、素材が上質で高度な技を用いてつくられる最上級の着物は、数が少ないこともありますが、多くのきものエンドユーザーにとって、おいそれと目にすることがないという状況が、どうなのかな…と思います。
最上級の着物をみることができる例としては、百貨店の外商顧客のみの会や老舗呉服店の特別な展示会になると思いますが、こういったものは招待がなければいくことができなかったり、みるだけというのが難しかったりします。
良いものはより多くの人に知っていただきたい…と「きものカンタービレ♪」では、できるだけご紹介しておりますが、購買に結びつき喜ばれることが多い中、ネットで公開されることによって作品を模倣されるかもという危惧や、他の顧客の方による申し入れがあったり、理解されつつもありますが、難しいこともあります。
できるだけたくさんの人が、様々な着物をみる機会に恵まれますように。
着物の普及はそこにかかっているように思います。