祇園祭 山鉾巡行♪
菊模様の越後上布に変わり格子の夏帯
「江戸絵画への視線 〜 岩佐又兵衛から江戸琳派へ 〜」内覧会 at 山種美術館
「江戸絵画への視線 〜 岩佐又兵衛から江戸琳派へ 〜」が山種美術館にて開催中(〜8月21日まで)
鈴木其一「四季花鳥図」◇山種美術館蔵 (撮影許可スポットです♪)
徳川幕府がもたらした泰平の世の江戸時代は、町人が台頭しそれまで特権階級のみであった芸術の世界が大きく華開きます。
作者不詳 「竹垣紅白梅椿図」 ◇山種美術館蔵
山種美術館の創立者である山崎種二氏は、米問屋に奉公していた時代に酒井抱一に魅かれ、いつか財をなしたら抱一の絵画を手に入れようと思っていたのだそう。ですがはじめて購入した抱一の絵は実は贋作であったために、今現在生きている人の作品ならば間違いはないだろう…という考えから、近現代の日本画家の作品蒐集へとなっていったのだそう。そんな想いがあるなかでの江戸絵画は大切に保管された良質のコレクションとなっています。
酒井抱一「飛雪白鷺図」◇山種美術館蔵
抱一の絵は、とにかく色が美しい(お金があったからかな…)
そして鳥も上品である
酒井抱一「秋草鶉図」◇山種美術館蔵
伊藤若冲「伏見人形図」◇山種美術館
印象深かったのはこちら。
岩佐又兵衛「官女観菊図」 ◇山種美術館蔵
荒木村重の子であるといわれる、浮世絵の祖、岩佐又兵衛。歌舞伎にでてくる「吃又(どもまた)」のモデルでもあります。
豊頬長頤(ほうきょうちょうい) といわれる豊かな頬と長い顎が特徴の人物像
袴のシワ
袿の文様や質感も
山種美術館の魅力は、このクリアなガラス
日根対山「四季山水図」
山種美術館のカフェ椿でいただける青山菊家がつくる展覧会にちなんだ上生菓子。
夏の暑い1日、美術館でゆったり涼やかに過ごす。
おすすめでございます♪
※ 青い日記帳×山種美術館 ブロガー内覧会にて撮影。「きものカンタービレ♪」への掲載許可をいただいております。
SNSの影響力での集客を考えてのことかと思われますが、このところ美術展で撮影可能なスポットが用意されていることがあります。山種美術館でも一部ですが撮影と条件付きでSNSへの投稿が可能な撮影スポットがあります。ブログやfacebookでご紹介するのに写真付きでより臨場感を伝えたい!という希望も叶えられるのは嬉しいことです。なのでシャッター音はさせない、人は写り込ませないなどルールを守りよりこういった機会が増えていくようにしたいものです♪
山種美術館さまには、美しいキモノ2014年春号での連載「きもので美術鑑賞のススメ」にもご協力いただきました♪
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トゥイグワーにミディフムの琉球絣の琉球壁上布に向日葵の描かれた夏帯
山桙23基を巡り、懸想品がつくられる工房を見学し、お稚児さんの追っかけもした祇園祭。(レポは追々)ベタッと身体にまとわりつくような高温多湿の京都の町の中を歩きまわった疲れが顔にドーッとでております(@_@)
ちょっとでも元気にみえるように、明るいきものと帯をコーディネート。「服薬」とは、薬となる染料で染められた布を纏うことからきている言葉ですが、明るいきものを着ると気持ちも明るく元気になるような…。やっぱり着るものって大事です。
長崎巌先生の「服飾の日本史 〜公家•武家•女性•芸能•そして世界へ〜」の講義。第4回目は「能装束について」。能装束そのものにはあまり変遷はないのですが、その側面を考察することによって、技法の敬称、生地の名称が語形変化によって装束の名称になる例など、なかなかに興味深いお話でした。
トゥイグワーにミディフムの琉球絣の琉球壁上布に向日葵の描かれた夏帯をコーディネート
大輪の向日葵の花が描かれた帯
帯あげは加藤萬、帯〆は井澤屋
日傘は大井川葛布の葛布の日傘、古布コラージュの籠トートバッグは松枝忍
宮崎レポが途中となっておりますが、祇園祭レポを先にあげていきます(^-^)/
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祇園祭(7月12日) 鉾立てと挽き初め巡り / 2016年祇園祭 その1
祇園祭レポート、スタートです♪
色んな方に意外!といわれたのですが、私、物心がついてからはじめての祇園祭でした。というのも、<祇園祭は呉服屋さんからのご招待でみるもの>というような印象があって、きものを購入したら〜の特典的なノリが苦手で、とても興味はあるけれど、近づけない行事だったのです。
しかし、やっぱり見てみたい。そしてできれば地元の京都人に案内してほしい(-_☆)
というわけで、しがらみのない、きもの文化検定の工房見学に「祇園祭」を提案し、希望が通りました♪
せっかく行くなら前入り+居残りをして存分に楽しもうと色々情報を得るため「祇園祭に行くんです〜♪」と京都の方にお伝えすると「なんで?」「暑くて倒れまっせ」「京都に住んで○十年だけどいったことない」という返答がほとんど…(・_・;) 京都人でも関わる人と関わらない人でかなりの温度差があるようです。そして関わる人の中でもさまざまな想いがあるようで、はからずもそういった裏話をお聞きできたことが興味深かったです。
はじめての祇園祭。どこで見たら良いのかわからない、混んでいそう、会所拝見には突然いってもいいものなのか?などわからないことだらけ。ちなみに事前に聞いていた人づてのお話は微妙な情報が多かった…^^; ひとつひとつを現地で確認したほうが賢明です。私のようにどうしたら良いのかわからない方のお役に立てるように、時系列+αでレポしていきます。
○7月12日○ きもの文化検定の工房見学会の前日に京都入り。鉾立てと挽き初め巡り♪
祇園祭の山鉾は四条烏丸付近にあります。八坂神社近くにあるのかと思ったら違うのです!
見慣れた京都の街ですが、ビルよりも高い山桙がボコボコあることに驚く\(゜□゜)/
電線にひっかかりそう…(=◇=;)
鶏鉾(にわとりほこ)の作事方(さくじかた)の皆さまと
作事方とは鉾を組み立てる人。建築が本業の人を中心に手伝い方、屋根方、車方と分業制。一部兼任もあり。
鉾の組み立ては釘をつかわず木組に縄をかけさらに樽巻きにして組みあげられます。縄絡みといわれる手法。縄の組み方も蝶や亀甲などがあるのだそう。前祭の鉾立ては10日〜13日、山立ては12日〜14日。
放下鉾の縄絡み
こちらは月鉾。屋根や天井が取付けられると懸想品である織物が掛けられます。
私の祇園祭鑑賞の目的のひとつが、これらの懸想品。動く美術館ともいわれるだけあって素晴らしい染織品が鉾の四方に巡らされているのです。これについては別記事で。
函谷鉾の挽き初め(ひきぞめ)が行なわれていました。鉾の挽き初めは、例年12日14時から函谷鉾からはじまります。
挽き初めとは組み立てられた鉾の試運転です。巡行は決められた人しか挽くことができませんが、挽き初めは女性や子どもも参加できます。当日の通りがかり参加でも大丈夫です。
鶏鉾の挽き初めです。鉾が左右に大きく揺れるのにドキドキ。
挽き初めに参加すると厄が落とせ1年間無病息災であるといいます。ちゃっかりと参加しました! 綱引きみたいで楽しいです♪
挽き初めは試運転ですが、それもしっかり祭りとなっています。
長刀鉾の挽き初めには参加できなかったのですが、挽き初めにはお稚児さんが搭乗し稚児舞が披露されるのだそうです。う〜ん、すべてを網羅するには何年かかることやら。
つづきます(^-^)/
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祇園祭(7月12日) フライングの屏風祭 / 2016年祇園祭 その2
祇園祭(7月12日) 鉾立てと挽き初め巡り / 2016年祇園祭 その1 のつづき(^-^)/
山鉾のある町内では、色んなところで売り出しがされています。そんなこともあってか、歩いているとご近所なみにご無沙汰していたお知り合いに会うこと会うこと。夏の軽井沢のようです(*_*)
そして、山鉾町内に立ち並ぶ旧家や老舗では祇園祭にあわせて屏風祭が開催されています。(前祭14日〜16日、後祭21日〜23日)
通りすがりに藤井絞さんに立ち寄らせていただきました。屏風祭は14日からなのでフライング…(^_^;)。室礼はすでに整っていて(後は華を生けるだけ)、中では絞りを解く作業をされているところでした。迎え入れてくださった藤井浩一社長に感謝いたします♪
創業100年を迎えた藤井絞さんの社屋は京都市民が選んだ「京都を彩る建物や庭園」にも認定されています。奥行きある町家づくりにしつらえられた屏風の見事なこと!江戸初期のものから神坂雪佳の色紙屏風など、美術館のようです。素晴らしい:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
後祭の北観音山の鉾の模型。懸装品は後祭のほうが豪華なのだそうです。ぜひ見てみたいー。北観音山は藤井絞さんの目の前に山が立ちます。
この日の京都は気温は30℃超え、湿度は70%超えで、まるで蒸し風呂の中を歩くような感じでグッタリ…。藤井絞さんの素晴らしい室礼の中で涼ませていただき、頂戴したお茶は格別でございました。どうもありがとうございましたm(_ _ )m
後祭の宵山23日まで新町通りと蛸薬師通りの交差点近くの藤井絞さんの窓からこの光景を見ることができます。そしてこの新町通りは巡行の帰り道。こちらの2階は鉾をみる絶好の場所なのです。ご好意に甘えて、前祭の巡行では、注連縄切り→くじ改め→辻廻し→最後に藤井絞と観覧ルートを考えることに。
お土産に頂戴した、北観音山の粽。こちらは非売品ですので貴重♪
きもの文化検定の祇園祭のレクチャーで、北観音山は裕福なのであえて粽の販売はしていないというお話がありました。
祇園祭になぜ粽なのか…? それは別記事で。
祇園祭レポ、つづきます♪
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朝一番の蓮の花
蓮まつり at 高田城趾公園 / 犬犬コーデ 琉球壁上布に犬の墨描きの麻帯に犬のバッグ
高田城趾公園へ
新潟県上越市にある1614年(慶長19年)松平忠輝の居城としてつくられた高田城
その外堀には蓮が植えられて一面の蓮の花畑となっています。
明治時代に財政難となった高田藩の窮状を救うために掘に蓮根を植えたのがはじまりなのだそう。
上越市では蓮の開花に伴って7月22日〜8月16日まで<蓮まつり>が開催されています。
まつりといっても、テントの中でちょっとしたものが販売されているくらいですが、それが良い
焼きたてのみたらし団子がいただけます♪
昨年訪れたときはほとんど花が咲き終わっていたので、ぜひ満開のときに来よう!と思っていたのです♪
今年は開花も早いようです。南側は見頃を迎えています。
蓮の花は開花から4日間で散ってしまいます。
1日目は午前5時頃から咲き8時は花を閉じます。2日目は午前1時頃から咲き9時頃まで椀状に咲きお昼前に花を閉じます。3日目は午前1時頃から咲き午前9時頃に大きく開きます。午後には半開きになります。4日目は夜中から咲きはじめ6時頃には完全に開き午後には散ってしまいます。
北側はまだ蕾もこれからのようです。
一面の蓮の花の中には白い蓮も入り交じっています。
「蓮は泥より出て泥に染まらず」北宋の儒学者 周滋叔の言葉です。蓮の花は清らかさや聖性の象徴として称えられています。
蓮の花は大きい!
蓮の花と自撮り
信濃の国から越後の国に入ると、いつもどんよりした空のときが多かったのですが、今回の旅では梅雨明けの青空に恵まれましたヾ(@^▽^@)ノ
【7月23日の装い】高田◇晴れ(湿度69%) / 最低気温20℃ 最高気温30℃
紫×茶のトゥイグワーにハナアーシーの琉球壁上布に墨描きで犬が描かれた麻の帯をコーディネート
日本画で犬が描かれることは少なく、きものや帯の意匠としても珍しいです。
犬の古布コラージュの籠バッグは松枝忍
薄い黄緑色の帯あげは加藤萬、帯〆は井澤屋、根付の白瑠璃の小鳥は海馬ガラス
犬犬コーデで犬と戯れる
可愛い〜(〃∇〃)
赤倉観光ホテルと日本海の旅レポは、祇園祭、宮崎の旅レポの後に。
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七月大歌舞伎 夜の部 楽屋訪問♪
七月大歌舞伎 昼の部 千秋楽♪
歌舞伎鑑賞の装い / 文様の中の意匠表現 夏の染め帯 / 七月大歌舞伎
<洋服の中でも違和感のないきもの>が好まれやすい傾向にあるようですが、私は<きものらしいきもの>が好みです。歌舞伎座という非日常空間ではとくにです。
友禅の生みの親といわれる宮崎友禅斎は友禅染めの創始者ではなく、あくまでも扇面絵師であり、その意匠が小袖の文様につかわれたことから、友禅斎の名が糸目糊置きの防染に色挿しの技法をつかった絵画的表現の染めの名の由来となったということが、近年の考証で明らかとなっています。
日本には、散らし、雲取り、尽くしといった文様表現がありますが、扇面という手で持てる小さな面積の中の意匠としてつかわれていたものが、小袖という身体に纏う大きな面積のものにデザインとしてつかわれたことから、文様の中の意匠表現として、友禅染めと共に流行することになったことが興味深い。
風鈴や団扇に描かれる夏模様というのも文様の中の意匠というきものらしい表現のひとつ。歌舞伎鑑賞には、演目や役者にちなんだ装いをすることが多いですが、季節の装いで歌舞伎座へというのも楽しいです。
【7月25日の装い】東京◇晴れ(湿度73%) / 最低気温21℃ 最高気温28℃
鉄線文様の絽小紋に夏の意匠が描かれた風鈴文様の絽塩瀬の染め帯
団扇に花火の絞りの絽の帯あげは井澤屋、帯〆は龍工房
【7月26日の装い】東京◇曇り時々雨(湿度83%) / 最低気温23℃ 最高気温27℃
この日は雨だったので、紗布コート。紗布コートは既製品ですがシワになりにくく畳むとコンパクトになるので重宝しています。価格も安い。
秋草文様の絽小紋に団扇に朝顔、秋桜、桔梗が描かれた志ま亀の絽塩瀬の染め帯
帯あげは井澤屋、帯〆は志ま亀
七月大歌舞伎 夜の部は、グッと泣かせる江戸時代の世話物とパーッと歌舞伎の王道の荒事。猿之助のイクメンの子育てと別れの断腸の思いがビシバシと伝わってくる熱演にびっくり。←意外でした。巳之助の辰五郎がとても良かった♪ 「景清」は大スペクタクルな舞台装置が圧巻。海老蔵は画になるなあ〜と改めて。そして右近の猪熊入道が軽快で心地よい。
七月大歌舞伎 昼の部の千秋楽は、人の出世欲を描いた柳澤騒動、海老蔵の吉保も中々の嵌まり役。流星は面をつけかえ華麗に舞う猿之助丈。ラストは宙乗りで爽快に。
ドンと気合の入った熱演で見応えがありましたヾ(@°▽°@)ノ
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祇園祭(7月13日) 長刀鉾の稚児社参 / 2016年祇園祭 その3
祇園祭(7月12日) フライングの屏風祭 / 2016年祇園祭 その2 のつづき(^-^)/
祇園祭は貞観年間よりつづいている7月にひと月かけて行なわれる八坂神社の祭礼のこと。明治までは祇園御霊会といわれました。八坂神社が行なう神幸祭と山鉾町が行なう山鉾巡行があり、山桙巡行は重要無形民俗文化財とユネスコ無形文化遺産に指定されています。※祇園祭の歴史は後述します。
八坂神社のご祭神は3基の神輿に還り、7月17日に御旅所に渡御、24日に本社に戻ります。山桙巡行はその露払いの役目を担っているのだそうです。
山桙には稚児が搭乗します。他の鉾は人形ですが、長刀鉾のみが<生稚児>といわれる稚児と家来の禿が京都の町衆の名家より選出されます。大変名誉なことですが、祇園祭の期間中は、さまざまな行事に拘束され、さらに莫大な費用がかかり、そんじょそこらの家では受けることができない…といわれています。稚児は6月の大安の日に長刀鉾町と養子縁組をし祇園祭に奉仕することになるのです。
7月13日の午前中に長刀鉾のお稚児さんが四条通りの長刀鉾保存会の会所から白馬に乗って八坂神社へ参詣します。2009年に長刀鉾の禿を息子さんが務められた、京ごふく宮下の宮下貴行さんに教えていただき、みることができましたヾ(@°▽°@)ノ
唐櫃を持った白丁を共に従えてさながら大名行列のよう!
後ろからバスが迫っていますが、交通規制がしかれ祭礼が優先されます。
禿は侍烏帽子に長刀鉾の紋が入った素襖の装束
長刀鉾の紋が抜かれた朱の長柄傘には祇園守がついています
稚児は蝶蜻蛉の冠に金烏帽子、孔雀の羽根つき。そして金唐草文様の水干狩衣装束。
振袖の小袖は金雲に鳳凰文様、立涌の指貫袴でした。
小雨が降ってきて付き従える裃姿の宮本組の方々がさした長刀鉾の和傘もカッコイイ。
稚児社参の儀は山桙巡行の役目を全うするための「お位もらい」であり、正五位少将の官位にあたり十万石の大名に匹敵する厚遇を受けるとのこと。御所には参内しませんが(江戸時代には参内したこともあったらしい)、参内の後からは神の子として地上に足をつけることはできないのだそう。強力といわれる男性の肩に担がれて移動することになり(日常ではポッコリといわれる高い下駄を履く)、女人禁制の言い伝えにそって着つけから食事の用意まで男性の手によってされることになります。
※下の写真は2009年長刀鉾 稚児、禿、行事記録より。
稚児は祇園祭の神としてひと月の間、大役を果たされるのです。
ちなみに、社参を終えたお稚児さんと禿は、八坂神社境内の中村楼で稚児餅をいただきます。この儀式の翌日からは一般でもこちらで稚児餅がいただけるのだそう。これは後で知ることとなり食べ損ねたのがショック〜(T_T) 来年こそは!!!
つづきます(^-^)/
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”左前と右前 / 鏡越しの自撮りによる左前 / 左前ではいけない理由”
明日は隅田川花火大会
お天気も良さそうです。浴衣で花火大会、ぜひ楽しんでください♪
きものや浴衣を着慣れていない人が間違えやすい衿合せですが、
● 必ず 右手が懐に入るように 着付けましょう。
● 相手からみたときに衿合せは「y」の字に見えます。
これを「右前」といいます。この「前」というのがどこから見てのことかわかりにくいので混乱してしまうのですが、自分が纏っているきものや浴衣の右側を先に身体に合わせるので「右前」と覚えてください。
「左前」は死装束の衿合せです。
なぜ左前ではいけないのか、鏡越しの自撮りによる弊害とその考察も含めて、以前詳しく書いておりますので、ご参考までに。
現代においては、日本人でもきものを着るということが滅多にない特別な状況になってしまったのですから、間違える人がいるのも仕方がない…というか、それも自然な流れだと思います。
なので常識の一言で糾弾するのではなく、何度も何度も、繰り返し繰り返し、同じことを懇切丁寧に伝えていくことが必要なのです。
着慣れない浴衣でのお出掛けも、夏の夜空の花火の美しさと共に、素敵なものとなりますように。
そしてその経験が <もっと、きものを着たい> という想いへと繫がりますように
紅型染めの絹紅梅をきものとして着る
【7月30日の装い】東京◇晴れ(湿度55%) / 最低気温22℃ 最高気温33℃
紅型染めの絹紅梅に捩り織の夏帯をコーディネート。そして大井川葛布の葛布の日傘です♪
祇園祭(7月13日) 会所巡り♪ 長刀鉾 / 2016年祇園祭 その4
祇園祭(7月13日) 長刀鉾の稚児社参 / 2016年祇園祭 その3 のつづき(^-^)/
祇園祭の中でもとくに興味があったのが山鉾に飾られる懸装品。懸装品には江戸時代にヨーロッパやアジアから渡ってきたタペストリーや絨毯、そしてそれを日本で復元新調したもの、日本画の巨匠の下絵による織り、織だけでなく友禅や紅型などの染め、そして刺繍、さまざまな染織品があるのです。これらは13日から各山鉾の会所に飾られています。これを拝見してまわるのが面白かったヾ(@°▽°@)ノ
そして懸装品は宵山まで会所に飾られたものが巡行のときに山鉾に飾られることになります。
拡張現実の世界での<ポケモンget!>も、祇園祭の会所巡りも、コンプリートの達成感は似たようなものかもしれませんが、知識の広がりには大きく差がでるように思います。「朝香さんって、いつもきもののことばっかり考えているんですか?」と、聞かれますが…、そんなことはありません^^; あくまでも趣味のひとつです。
「長刀鉾」の会所拝見
古来より「くじ取らず」の鉾として山鉾巡行の先頭をいきます。なぜなら生稚児による「注連縄切り」の儀式があるため。鉾の頭に大きな長刀があるのが特徴です。もとは三条小鍛冶宗近が娘の病気平癒を願って鍛えた刀を奉納したものがつかわれていたと伝わっています。刀の刃先は八坂神社と御所には向かないように南向き。
長刀鉾は現在も女人禁制が守られており女性は鉾へあがることができません。
長刀鉾の天井内部の縁縁は三十六禽の鳥獣と赤地の錦に鋲打された星辰28宿の星座があるようです。
歴代のお稚児さんの写真と装束、そして懸装品が飾られています。
伊藤若冲「旭日鳳凰図」の「見送り」 ※見送りとは鉾の背面を飾る懸装品
800色の絹糸と金糸の綴織。原画同様の白い斑点がみられます。製作は川島織物セルコン。
水引は「緋羅紗地五彩雲麒麟図刺繍」
狩野派の鶴沢探山門下の大森捜雲の下絵を元に、松屋庄兵衛、松屋文右衛門が刺繍したものを川島織物セルコンが復元新調したもの。
胴懸は「十華図」「梅樹図」「玉取り唐獅子」 16世紀〜18世紀に渡来した舶来の絨毯。
お稚児さんの装束「エ霞に秋草の市松文様の絽振袖」「雲に羊歯立涌の狩衣水干」
稚児は約ひと月の間にさまざまな神事に奉仕することになります。装束は巡行に近づくに従って格があがっていくようです。
このペースで各山鉾を紹介していったら、ひと月かかりそう…(・_・;)
会所巡り、つづきます。
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八朔 / 田の実の節句
今日は< 八朔>です。八月朔日の略から八朔(はっさく)。<田の実の節句>ともいいます。
旧暦の8月1日頃になると穂が実りだすことから、公家や武家の間でも稲の実りを祈りながら、主従の結びつきを強めるために、贈り物をすることが、主従関係を強める習慣となりました。
八朔の習慣は、公家の間では、鎌倉時代の後深草天皇の頃にはじまったとのではないかといわれています。公家間の贈り物は、和紙、香木、硯、花入れ、茶器など。宮中では八朔の日に、芒の穂を黒く焼いてお粥にいれる“尾花粥”というものを厄よけに召し上がるとか。あまり美味しいものではないそうです。
武家では、徳川家康が1590年(天正18年)8月1日に公式に江戸城に入場したとされ、徳川幕府は八朔の日を正月に次ぐ祝日とし、諸大名、旗本は白帷子を着て登城し祝詞を述べました。
祇園など京都の花街では、田の実→頼みということで、新暦の8月1日には芸奴さんや舞妓さんがお茶屋さんや芸事の師匠のお宅へ御挨拶にまわります。 ※写真は2012年の八朔の祇園
祇園界隈では黒紋付の正装姿の芸舞妓さんが連れ立って石畳の街を歩く姿を見ることができます
京都の夏の暑さは半端じゃないですが、こうした伝統行事は残ってほしいものですね♪
五穀豊穣を祝う八朔祭は、旧暦にあわせて9月1日もしくは9月の第1日曜日に行なわれることが多いようです。初穂の実りの頃があうというか、日本の祭礼や伝統行事は旧暦のほうがしっくりきます。
ちなみに果物の八朔は江戸時代末期に因島のお寺にあった原木から始まったとされ、このお寺のご住職が
「八朔(旧暦8月1日)には食べられる」と言ったことからこの名がついたそうです。しかし、実際の収穫期は12月末くらいとのことです。
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海沿いローカル線と海の幸♪ / 織田工房の捺染絣の小千谷縮に犬の麻帯にキタムラの晴雨兼用日傘
かつて好きなテレビ番組は「世界の車窓から」でした。
国内でも海外でも、車よりローカル線の旅が好き
海沿いを走るローカル線、線路の脇は大海原〜。
というか、駅のホームのすぐ下が海だった\(゜□゜)/
台風のときとか、ホームまで波が来ますよね…@@;;
車窓からの風景がこの絶景ってすごいです。
麻のきものと帯は突然の雨でも安心♪
絽の帯あげは加藤萬、帯〆は井澤屋、根付の小鳥は海馬ガラス
キタムラの犬のアップリケの晴雨兼用の日傘は小袋になっています。
入道雲がモクモクの夏空は急な夕立があるので、晴雨兼用傘は重宝します。
これでもかっ!というぐらいいっぱいの海の幸を堪能中
でっかい鮑〜( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚
海の幸の中でも貝が好き♪
ちなみに蛸は丸ごと齧るのが好き!といったら野蛮だといわれた…(・_・;)
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祇園祭(7月13日) 会所巡り♪ 綾傘鉾と鶏鉾 / 2016年祇園祭 その4
祇園祭(7月13日) 会所巡り♪ 長刀鉾 / 2016年祇園祭 その4 のつづき(^-^)/
京都の街は住所や番地ではなく通り名で位置確認する慣習がありますが、5日間グルグルと山鉾巡りをしていたら、通り名ではなく、山鉾の場所で位置関係が把握できるようになりました…^^;
宿泊は四条烏丸のからすま京都ホテル。ここは山桙町の中心にあり、途中着替えに戻ったりもできたので、とっても便利でした〜♪
●山鉾建て (10日の早朝からはじまります。通りすがりに見学可)
●鉾の挽き初め (12日、13日にの午後。通りすがりに参加可)
●会所飾りの一般公開と売店 (13〜16日)
●鉾への搭乗 (13〜16日、粽の購入や搭乗料でのぼれます。長刀鉾、放下鉾は女人不可)
●菊水鉾のお茶席 (13〜16日会所飾りを拝見しながら、名物の「したたり」とお茶がいただけます)
「綾傘鉾の会所拝見」
蛇の目傘柄の宮古上布に日傘で、傘鉾訪問〜♪ きもの姿を褒めてくださり団扇をくださった!
山鉾の最も古い形態を持つ傘鉾。台車に丸い大きな傘が立ちます。
綾傘鉾の巡行は、水干狩衣を纏った稚児が6名参加します。長刀鉾のように鉾には搭乗しておらず巡行では地に足をつけて歩きます。そして赤熊と面をつけた棒振りと鬼面をつけた太鼓の棒振り囃子が疫病退散の踊りを披露するのも見どころ。※詳細は山桙巡行のレポで
森口華弘の蒔糊友禅の垂傘を巡行ではみることができます
ご神体の金の鶏は卵を抱えていていました
「鶏鉾の会所拝見」
16世紀末にベルギーでつくられたとされる飾毛綴織のタペストリー。トロイ戦争を題材としたホメロスの叙情詩「イーリアス」のトロイア戦争を主題とした「ヘクトール王子と妻子の別れ」。重要文化財に指定されています。輸入や伝来の経路は不明。支倉常長の慶長遣欧使節団が持ち帰ったものとか京都の豪商が輸入したものだとか諸説あり。16世紀末のものですから、天然染料で染められているものです。
こちらは、2003年に龍村美術織物によって復元新調されています。
鶏鉾は粽や手ぬぐいを購入すると女性でも鉾に搭乗できます。鶏鉾の由来は、古代中国の尭の時代、天下は治まり泰平であり、訴えごとのある時に打つ太鼓に苔がむして、鶏が巣を作った」という史話「諫鼓」に基づいています。
前日(12日)には鶏鉾の挽き初めをしましたが、鉾が横にグラグラと揺れていました(((( ;°Д°))))
下を覗き込んでみると…
高いです! 祇園祭の山桙巡行では囃子方はここに腰掛けたまま辻廻しなどがありますが、かな〜りスペクタクルだろうな…。
きっとスポンサーなのですね。
学生さんへ / 夏休みの浴衣生活のススメ♪
きもの生活をしている私にとっての浴衣(ゆかた)は、寝間着でありルームウエア。なので祭礼以外のシチュエーションの真っ昼間の公共の場で、(自分が)浴衣を着ているということには抵抗があります。ですが浴衣によって、目的と着こなしで< ワンピース感覚の真夏のファッション >としてありだと思っています。
日本人にとって、きものや浴衣を着ることが滅多にないことで、さらに日常化した洋装がどんどんカジュアル化されている現代では、浴衣は< 気合の入った特別感のあるファッション >のひとつと考えるほうが自然かもしれません。
浴衣を着てお出掛けすることが、非日常的な特別なことだとしたら尚のこと、素敵に着こなしたいもの。
浴衣の着こなしで大切なのは < 清涼感 >と < 清潔感 >です。
夏休みの学生さんにおすすめしたいのが、浴衣で生活してみること。
着慣れるとちょっとした仕草が変わってきます。
スッキリとした清潔感のある着こなしは、マニュアル通りの着つけではなく、自分の身体に沿った着つけと着慣れた仕草で生まれます。着て日常生活で動き、それによって起こる着崩れを治しながら自分にあった楽な着つけを身につけることです。そして洗濯もし生乾きで畳むことでアイロン入らずのきものの手入れにも慣れていくのです。
<きものスチューデント>では、この夏はじめての合宿をしますが、これは合宿でなくても日々の生活でできることなのです。
学生時代にしかないかもしれない、自由な時間。ぜひ有効につかってみてください♪
これは寝間着の浴衣。糊づけもせずクッタリさせてます。
こういった白地に藍の浴衣では、日中のお出掛けはひかえます。わかりやすいでしょ?
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祇園祭(7月13日) 船鉾と岩木山の挽き初め♪ / 2016年祇園祭 その6
祇園祭(7月13日) 会所巡り♪ 綾傘鉾と鶏鉾 / 2016年祇園祭 その5 のつづき(^-^)/
きもの文化検定主催のレクチャーは、13日の午後にからすま京都ホテルにて開催されました。懇親会レポと一緒にまとめますφ(.. ) 募集人数を大幅に上回る申込みがあったそうで、総勢60名! これを引率して、各山鉾を廻るのは難しい…ということで、船鉾の挽き初めに参加し、あとは各自が自由に巡り、懇親会の会場で改めて集合ということになりました。
船鉾の挽き初めです♪
船鉾は山鉾巡行の殿をつとめます。こちらは前祭の船鉾。神功皇后の三韓征伐の説話から軍船の形をしています。
船首にある鷁(げき)。想像上の瑞鳥。風に耐えて大空を飛ぶといわれ水難よけの船首につかわれます。これは1760年(宝暦10年)長谷川若狭の木彫総金箔の名作。
挽き初めならではの臨場感を味わっていただくために動画を。
神功皇后はご懐妊のまま出陣され、戦勝後に皇子(応神天皇)を出産したことから安産の神とされています。
挽き初めは試運転だそうですが、通りすがりの一般人も参加できるイベント。お祭りはこうでなくっちゃという楽しさ♪
勇壮な音頭取りがカッコイイ(〃∇〃)
試運転のお役に立てているかどうかは謎ですが、鉾を挽くと無病息災で過ごせるということで、幸運ですね♪
挽きはじめは、新町通りを北上し後退します。
鉾を引っ張っていき、また追いかける
そして同じ新町通りには、岩戸山
鉾と同じく車がついた挽き山。山なので松の樹が立っています。
岩戸山の浴衣は首抜きの車文様
14日の夜には岩戸神楽が奉納されます。これを見ることができなかったのが残念。
祇園祭レポ、まだまだまだつづきます。
この夏は、信州と東京、横浜を行ったり来たりしておりますが、祇園祭レポを優先的に。所々でリアルタイムレポや夏のきものの暑さ対策なども盛り込みます。宮崎レポも、お待ちください〜。
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