「きものカンタービレ♪」をみてくださる方からお問い合わせをいただくことが多い、松枝忍先生の作品展が池袋東武百貨店の「夏を彩る手しごと展」にて開催中(~7月5日まで)
どんな展示会も事前告知はせず、都度自分の眼で確かめてからブログでご紹介すると決めているので、できるだけ初日に伺うことにしております。今日は体力的に無理かな…と思っていたのですが、ふと思い立ち立ち寄りました。松枝忍先生と
夏にあいそうな素敵なコラージュバッグがありました♪
一閑張りに似ていますが、一閑張りは和紙をつかいますが、こちらは籠バッグに布を張りつけて漆と膠の特別な溶剤でコラージュしています。軽くて水をはじくので色々と便利なのです。
そして、東武百貨店のおなじフロアでは…。
つづきます(^-^)/
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松枝忍 作品展 「夏を彩る手しごと展」at 池袋東武百貨店
「大和和紀 画業50周年 記念原画展」at 東武百貨店
「大和和紀 画業50周年 記念原画展」が開催中。本日初日でした。(~7月12日まで)
大和和紀先生の描く物語は、『朝ドラ+大河ドラマ+月9』といっても過言でない世界観と人物設定の魅力があるのです。「あさきゆめみし」の平安時代、「イシュタルの娘」の安土桃山時代、「ヨコハマ物語」の明治時代、そして「はいからさんが通る」の大正時代など、その時代の出来事、背景、風俗、衣裳、あらゆるものをたっぷりと盛り込んで描かれている贅沢さ。物語の完成度の高さゆえに、漫画であるのに、画力にはあまり注目していなかったのですが…、原画をみるとスゴイです。ひとつひとつの文様の精緻さ、刺繍やレースの質感までの表現力。ため息ものでございました。
「あさきゆめみし」は源氏物語の漫画化。平安朝の女人は十二単にお垂髪の女性ばかりが登場するので、その書き分けとして、十二単の袿や唐衣など装束の文様がひとつひとつ事細かに丁寧に描かれています。
会場にあった撮影スペース。「あさきゆめみし」は紫の上の顔出しパネル。
布の質感や細やかな文様。これがすべて人の手で描かれていることに驚き、あらためて感動。尚且つ、大和和紀の物語で生きるすべての人々が魅力的すぎる:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
一番好きな物語
熨斗目文様の友禅でドレスをつくって鹿鳴館へいく、レース地で半衿、ブローチで衿留などお洒落要素も満載♪
さて、読み返そう。←それは至福の時間
しばらく、眠れないかも。。。
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太物スタイルズ 太物サミットその③ at 宮崎市民プラザ / 2016年5月 宮崎の旅 その4
太物サミットでの装い 太物サミット その② / 2016年5月 宮崎の旅 その3 のつづき(^-^)/
5月28日に宮崎市民プラザにて開催された <第1回 太物サミット> のレポートです。
このイベントの特徴は、大掛かりな<きものイベント>だけど「販売は一切ない」ことでした。
結婚式やお茶席などフォーマルなシーンでなく、普通のオシャレとしてきものを楽しみたい!!っという人が増えているこの頃。「きものには興味あるけれど…、呉服屋さんとか展示会とか買わされそうで怖い!?」とか、、、「買わないで見るだけでは申し訳ない」とか、、、そういった人も入りやすく、きものエンドユーザーの裾野を広げていくのにとても画期的な試みだったと思います。
この日は、朝から超土砂降りの大雨…。きものは太物なら問題なし。(水に強く丈夫な素材であることが特徴なので、その利点をおおいに発揮)
おそらく雨のせいで、フラッと立ち寄るという人はあまりいらっしゃらなかったようでした。が…、地元のテレビや新聞でご紹介されたこともあって、興味を持たれた方、そして地元の呉服屋さんも興味津々でいらしてました。東京からきものエンドユーザーが太物サミットのために来ているということに、とっても驚かれていました(^_^;)
●太物スタイルズ●
日本各地の太物をつかったコーディネート展示がありました。きものが資産的価値をもった嫁入り道具として持たされた時代は終わり、きものを着ることが多くの人にとって特別なことではありながらも、きものは箪笥の肥やしでなく着るものであり、さらにきものと浴衣の違いも定かではなくなりつつある昨今、木綿や麻のきもののトータルコーディネートは、今の若い人にとっても新しいオシャレの提案ともなるはず。
太物については 太物って何? 太物サミット at 宮崎市民プラザ その① を。
染織こだまの児玉加奈子さんと
薩摩絣、川越唐桟、備後絣、米沢木綿、有松鳴海絞り、近江上布、三河木綿、和泉木綿、などのブースも。
臙脂×黒の三河木綿。愛知県西尾の「あづまや」のオリジナルです。
シワの陰影がキレイにでそう。格子の織りがもっと大柄だと良いのだけどな~。
新潟県小千谷からは、江戸時代からつづく縮問屋の「西脇商店」の西脇一隆さん。
小千谷縮だけでなく、日本各地の自然布や希少な木綿織物も展示。
沖縄本島の今帰仁からは、ご主人が糸芭蕉の栽培から織りまでのすべての工程を手掛け、奥さまが紅型染めをされるという「バナナネシア」の福島律子さんと
沖縄県立博物館で開催された「城間三代継承展」のシンポジウムでお声がけをいただいた以来、半年ぶりの再会です♪
紺色の芭蕉布は琉球藍で後染めされたもの。紺地(クンジー)の芭蕉布は沖縄では祝い事の時に着るものと、以前、平良美恵子先生に教わりました。
芭蕉布は糸芭蕉というバナナの繊維からつくられます。後染めされている芭蕉布は珍しいですが美しいですね~。
芭蕉布に糸芭蕉の花の紅型染め、素敵(〃∇〃)
他にも、大阪や京都での勉強会や展示会でご一緒した方々と偶然に再会しました! (みんなバラバラで来ていて、目的が終わったらサッと帰るのもきものオタクらしい…)
中には、きもの業界の方もいらっしゃいますが、東京からご一緒した方や東京でお会いする方も含めて、圧倒的に、きものエンドユーザーが多かった…。
雑感を書いたら長くなったので、記事をわけます。
つづく。
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太物サミット雑感 太物サミットその④ at 宮崎市民プラザ/ 2016年5月 宮崎の旅 その5
太物スタイルズ 太物サミットその③ at 宮崎市民プラザ / 2016年5月 宮崎の旅 その4 のつづき(^-^)/
●宮崎のおもてなし●
サミット当日は、実行委員の皆さまによるおもてなしがありました。スタッフの女の子の太物にエプロン姿が可愛らしかった 生活に根付いた太物のリアルな着こなしをみることもできる素敵なおもてなしでした。
宮崎のお菓子が用意されていて、宮崎土産の参考にもなる心遣い。地元の方々の郷土愛が犇犇感じられるイベントでございました。これは遠方から来た参加したものとしてとても嬉しかったです♪
●太物サミット●
「太物」について語り合う参加討論の形で開催されました。きもの好きでも「太物って何?」という人が多い昨今に、東京でも京都でもなく、はたまた太物の産地でもない宮崎の地で開催され、そこに日本各地からきものエンドユーザーが集まったことがスゴイことです。(自分も参加していていうのも何ですが…)
そして何より、討論の場があるというのは、画期的でした!
会場にいる人も会場にはいない人もtwitter上の #太物サミット で発言できる趣向が用いられました。司会者は会場で進行しながら、twitter上での意見を拾うことになるので、大変そうでした(^_^;)
ちなみに、twitter上では会場での話を実況説明してくださった方がいました! この趣向は、後から太物サミットの流れを追うことができるという利点があるので、これが次への布石となると良いですね♪
きもので通勤し仕事をしている人、きもの業界の方、遠方からいらしている方、そして地元宮崎の方も、次々と壇上へ。
太物サミットの参加者は、<きものを着ることが普通>となっている人が多かったと思います。同じような経験をし、きもの好きゆえに同じような想いに至るのだなあ…、と改めて実感しました。こういった人で集まると「普段から着物を着てると、あるある話」になってしまいます…(-。-;)
心情的な話だけでなく、太物を着て生活なり仕事なりをしてみた上での、具体的な<太物のメリットとデメリット>の話がもっと広げられたら、さらにさらに良かったのでは。じつは私にもマイクがまわってきたのですが、発展的なお話につなげられなかったことを反省しています。
太物を着る人はきもので生活される方も多く、会場には自分できものを仕立てたことがあるという人がかなりいらっしいました! ならば、太物を水通ししたときの伸縮率の違いを「素材別、産地別」で検証してみるとか、仕立て前の布地の整理について語るとか…。太物は水で洗えるのが利点なのですから、そういった話がもっと掘り下げられたら、<太物サミットならではの会議>となって、販売会がなくても、遠方から、つくり手が参加する意義が見出せたのではないかな…と。
きものを着る人と着ない人、きものは自由と考える人ときものはしきたりを守らないといけないものと考える人、きものエンドユーザーときもの業界…、相反する意見や立場の人での討論は、今は見えないものが見えてくることがあります。せっかくの「サミット」という場なのですから、現状報告だけでなく、未来へ向けての発展的な意見がでてくる可能性を望んで、ぜひ次回は熱すぎるぐらいの激論!?があることを願っています。(きものオタクの意見ですので少数派かもしれません)
無責任な理想や発言を内輪だけで述べることは誰でもできますが、そこに発展性はありません。(自戒をこめて)何でも実行し形にするということは、責任が伴い熱意だけではどうしようもない労力が必要となります。
何事もはじめてみなければわかりませんし、やってみることに何よりも意義があったかと思います。
第1回太物サミットをやり遂げられた実行委員会の皆さまには、心からの敬意と感謝を表したいと思います。ありがとうございました
個人的には、美しいキモノ編集部でも話題になる伝説!?のブロガーさんをみることができたことが嬉しかった!
<太物サミット>がこの先もつながっていくことを願って、きものエンドユーザーのひとりとして雑感でした。
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鉄紺地の杼柄の琉球壁上布に栗山紅型工房の鳥籠の紅型麻帯
昨日は暑かった…(^_^;)
しな布の日傘の透け感は、木陰のよう。自然の風を感じることができます。でも熱風でした…^^; 夏の自然布はお出掛けにテンションがあがりますね~♪
帯は中国産の手績みの苧麻で織られたザックリした麻生地に、栗山工房さんにて型を選んで紅型染めをお願いしたもの。同じ生地を4反、ご縁があって譲っていただいたので、京紅型、江戸紅型、琉球紅型、そのまま、と誂えて違いをみてみようという試みなのです。
栗山紅型工房の西田さんが、藍色地の夏きものにあうよう彩色してくださいました。セルリアンブルーと赤のポイントがザックリした素材に効いていてとっても素敵☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆!!!
この麻生地は固くて伸縮率も安定せずでとっても糊置きがしづらかったそうです。そしてお仕立てもしにくい素材で大変だったのだそう。江戸紅型と琉球紅型の誂えは来年に持ち越しかなあ…。
ちなみに、生地は生地は古代織産地連絡会の村井龍彦先生に鑑定をお願いし、中国産手績み苧麻糸で織られたものと判明しました。
【7月3日の装い】東京◇晴れときどき曇り(猛暑! 湿度63%) / 最低気温25℃ 最高気温35℃
鉄紺地の杼柄の琉球壁上布に栗山紅型工房の鳥籠の紅型麻帯をコーディネート。透け感をおさえようと思ったわけでもないのですが、黒地の長襦袢を着ているので透け感がない。
流水にメダカ文様の紗の帯あげは加藤萬、帯〆は龍工房
しな布の日傘は、鶴岡のしな織創芸いしだ。自然布は民芸調?な小物が多いのですが、こちらのセンスはシンプルで好み♪
うん、生成地の麻帯にピッタリ~(〃∇〃)
籠バッグは松枝忍の古布コラージュ、ぞうりは菱屋カレンブロッソ
今日も暑くなりそうです…
きものの暑さ対策なども随時ご紹介してまいります。
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松竹大歌舞伎 at サンシティホール / 歌舞伎鑑賞の装い/ 浮花織の生紬に木賊に兎の刺繍帯
越谷サンシティホールで開催された「松竹大歌舞伎」へ♪
歌舞伎の地方巡業のひとつ。この越谷を皮切りに7月いっぱい日本全国を廻ります。
これが中々良かったのです!
●歌舞伎の魅力と鑑賞のポイントを解説する「歌舞伎の見方」●
幕が開くと、大薩摩の唄い方と三味線方による演奏。萬太郎丈が登場し、舞台の上手と下手、花道、そして付け打ち(役柄や場面にあわせて拍子木で音をだす演出)と立役と女形の走り方の違いなど。鳴りものの実演では、萬太郎丈が音にあわせて雨を表現。←ガラスの仮面の北島マヤを連想した
亀寿丈も加わっての解説は、国立劇場の「歌舞伎鑑賞教室」よりもさらに進化していました!そしてご当地名物の越谷ダルマも登場。きっと各地方で地方ならではのものがあるのでしょう~♪
萬太郎丈と亀寿丈は、「鳴神」の白雲坊と黒雲坊、「三社祭」の悪玉と善玉でも、とても良いコンビネーションをみせてくれました!
●歌舞伎十八番「鳴神」●
約束を守らなかった朝廷に激怒した鳴神上人は、龍神を滝に封印してしまいます。雨が降らず困った朝廷は、絶世の美女の雲の絶間姫を差し向けて、その色香で鳴神上人を籠絡させるというお話。 夫の形見の衣を洗いに来た未亡人というのがまた艶かし~い感じがする…。艶っぽい梅枝丈を見ることができました♪
鳴神上人は女性を知らない!?ゆえに、雲の絶間姫の色仕掛けに負けてしまいます。純粋で初心な少年の心を持っていたゆえに色仕掛けにひっかかり、さらに裏切られたときは炎を纏った雷神と化すのです。松緑さんは初心な感じがよくでてました。
火焔と稲妻の装束は、紗綾形の白装束の肩山にある糸を引き抜くと現れます。これを<ぶっかえり>という。ぶっかえることで装束が変わって人格も変化するというもの。この糸は蝋が施されたものがつかわれると以前松竹衣裳の方からお聞きしました。
●「文売り」●
台詞はありますが、舞踊です。時蔵丈は目線から手先の動きまで無駄がない、洗練された動き!
地方巡業は廻り舞台やスッポンなどはありませんが、演目の上映時間のバランスや価格も含めて、時間と交通費をかけてもいく価値ありだと思いました。
時蔵丈の奥様と
いつもよくしていただきありがとうございます♪ このチケット譲ってくださった方にも感謝です。
【6月30日の装い】越谷◇曇り(晴れ女だから?雨の予報が晴れました!) / 最低気温20℃ 最高気温28℃
小田島克明の浮花織の生紬にれえすの花の木賊に兎の刺繍帯をコーディネート
ちなみ柄でもなんでもない装いになってしまいました^^;
帯あげは渡敬、帯〆は五嶋組紐
籠バッグに古布をコラージュしたバッグは松枝忍
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ククヌチムチリーとトーニー柄の琉球壁上布に腰原淳策のユキノシタ文様の絽塩瀬帯
今日は薄物で外を歩くとヒンヤリ感じました。
【7月5日の装い】東京◇曇り時々小雨(湿度83%、雨が落ちてきそう)/ 最低気温21℃ 最高気温26℃
ククヌチムチリー(9つの群れ)とトーニー(餌箱)柄の琉球絣の琉球壁上布に腰原淳策のユキノシタ文様の絽塩瀬の染め帯をコーディネート
若さが全く感じられないシックな色目のきものと帯なので…、帯あげと帯〆は明るいものをチョイス。
並に千鳥文様の絽の帯あげは加藤萬、レースの帯〆は龍工房
ユキノシタは湿った日蔭に咲く常緑の多年草。
5月~7月に咲く花です。
河童の古布コラージュの籠バッグは松枝忍、ぞうりは菱屋カレンブロッソ
伝統工芸青山スクエアへ
近江上布展が開催中です(~7月6日まで) 近江上布の詳細レポは別記事でまとめます。
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港町ヨコハマでの七夕前夜の七夕コーデ / 芝草に桔梗の花文様の絽小紋に銀砂子に千鳥の絽塩瀬染め帯
港町ヨコハマでの七夕前夜の七夕コーディネート
きものの文様は星のようにみえますが、桔梗の花文様です。そして帯の銀砂子が天の川っぽい。
日傘とバッグは港町ヨコハマにあわせてチョイス。
横浜高島屋「三人の手しごと展」へ。本日初日。(~7月12日まで)
右から、西川はるえさん、原千絵さん、勝山英恵さん。
横浜ではワークショップも開催されるのだそうです!
8日、10日 14時~ マッチ箱で機織り体験
9日 14時~ 真鍮とパールでつくる帯留体験
そして、原千絵さんの新作帯ができあがっていました♪
タッサーシルクと生皮苧の市松織の帯。浮き立つように陰影ある市松に味のある粗い生皮苧の線が素敵。
太さの違う糸で織る場合、千巻きを分けてつかうようになるのだそう。平織りと絽織りもそうらしい。素人目にはその苦労はわからないのですが、作品の完成度+その作品ならではの話を聞くと惚れてしまう(〃∇〃)
【7月6日の装い】横浜◇晴れ(湿度70%) / 最低気温21℃ 最高気温28℃
芝草に桔梗の花文様の絽小紋に銀砂子に千鳥の絽塩瀬の染め帯をコーディネート
鉄線文様の絽の帯あげは加藤萬、藍の笹波組の帯〆は龍工房
港町っぽく、RADLEYのシグネチャーシリーズのバッグとHANWAYのカモメのパッチワークの日傘
トリコロールカラーでマリンの印象が強くなったので、港町コーデにもちょうど良いかな♪
丹後の小林染工房の丹後ブルーのしけ引きの花緒の菱屋カレンブロッソ
旅立った燕が夜になると帰ってきます。なんか嬉しい♪
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七夕の節句 at 衣紋道高倉流東京道場 / 葦に水鳥文様の付けさげ絽小紋に流水にアイリスの絽綴帯
本日は七夕の節句。そして晴れましたヾ(@°▽°@)ノ
今夜は織姫と彦星が出会えそうですね
衣紋道高倉流の七夕の節句行事へ
七夕は、古代中国の<星伝説>と<乞巧奠>の風習に日本の<棚機女>が結びついた節句行事です。
星伝説とは、いわゆる織姫と彦星のお話のこと。娘である機織上手な織女(琴座のベガ)と働き者の牛追い牽牛(鷲座のアルタイル)が結婚したことによって働かなくなってしまったことに怒った天帝が、天の川で二人の中を隔てて引き離してしまいます。ですが年に1度の7月7日だけ会うことを許し、この日は鵲が天の川に橋を架け、二人は会うことができるようになります。雨が降ると天の川の水かさが増し橋を渡ることができず、二人は会うことができないというお話。星の逢引であることから星合ともいわれます。
乞巧奠は、女性が針仕事が上手くなるように織女に供え物をする宮中行事のこと。現在の宮中では行なわれていないようですが、京都の冷泉家では乞巧奠が行われています。梶の葉をに和歌を書き、五色の布に吊るします。星の座といわれるお供えをし、角盥に水を張り梶の葉を浮かべて星を映す用意をし、琴と琵琶もお手向けしているそうです。短冊に願い事を書くのは乞巧奠の風習から、短冊や笹を川に流すのは禊からきたもの。
棚機女(たなばたつめ)とは、豊作をもたらす神の神衣を織る乙女のことで、この棚機女と織女が奈良時代に結びつき七夕(たなばた)の名前の由来になったといわれています。
衣紋道高倉流東京道場の乞巧奠の室礼は、平安末期の「雲図抄(うんずしょう)」という清涼殿における儀式の際の配置を参考に再現しています。
四隅には竹を立て細い縄を張り渡して、梶の葉と5色の紙が垂らされています。かつては梶の葉に願い事を書くこともあり、しで(垂、四手、幣)は、昔は木綿(ゆう)という晒した麻を用いたものが、5色の紙になり現在の願い事を短冊に書き吊るすようになりました。
乞巧奠は星合の祭。かつては星合を待ちながら、和歌、蹴鞠、囲碁、立花、貝合わせ、楊弓、香の七種の遊びをしたとのことで、今年の宗会頭の仙石宗久先生の七夕のお話は楊弓と双六の解説。これがまた、興味深く面白かった! 大君姿の直衣布袴の解説についても、それぞれ別記事でまとめます。
さまざまなレポが溜っておりますが、リアルタイムのコーデ、会期中の展覧会や展示会を優先的にアップし、工房見学や勉強会などはじっくり復習しつつまとめていきたいと思います。
いただいたお菓子が可愛らしく美味しかったです(*^▽^*)
【7月7日の装い】東京◇晴れ(湿度60%、猛暑日) / 最低気温22℃ 最高気温37℃
葦に水鳥文様の付けさげ絽小紋に流水にアイリス文様の絽綴帯をコーディネート
春蘭のような花菖蒲のような抽象的な花なのですが、漠然とアイリス(アヤメ科の英名)ということにしています。
帯あげにはチラッと星文様があります(-_☆)
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織田工房の燕柄の捺染絣の小千谷縮に栗山紅型工房のヴァイオリンに鳥の紅型大麻帯
染織の技はそれぞれに魅力があり、それぞれがその良さを生かしつつ、今の時代にあった進化をしていて眼が離せません! 今の紅型は、どことなく洋風な感じもありつつ紅型独自のパワーがあって、色づかいが優しいものがおおいように思います。
京紅型の栗山紅型工房の西田裕子先生にお願いしたヴァイオリンに鳥文様の紅型の大麻帯ができあがりました♪
紙を彫ってつくる型紙は文様のどこかが繫がっていないと抜けてしまいます。ヴァイオリンと弓をト音記号やエキゾチックな建物と唐草で巧みにつなげられている文様にあらためて感動〜♪
毎年恒例の夏の避暑地の音楽祭にあうようにっとリクエスト。エレガントな彩色でつくっていただきました。
そしてさらに…オリジナルマイエンブレムをつくっていただきました〜☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
朝香のワガママでお願いした、非売品
無理矢理入れていただいたマングースが鳥と鍵盤とト音記号に♪とつながっている!!!
これから栗山紅型工房でお誂えをお願いするときにはこれをどこかにチラッと入れていただこうという目論みなのです。わーいわーいヾ(@^▽^@)ノ
西田裕子先生ありがとうございましたm(_ _ )m
【7月8日の装い】東京◇曇り(湿度70%、陽射しはないものの蒸し暑い) / 最低気温22℃ 最高気温30℃
織田工房の燕柄のマンガン捺染絣の小千谷縮に栗山紅型工房のヴァイオリンに鳥の紅型の大麻帯をコーディネート。日傘は瀬底島の紅型工房べにきち。
帯の生地は中国で手績みの大麻糸をつかい手機で織られているもの。ザックリした素朴な生地ですが苧麻のものほど野生味がないような。そしてこの文様と色づかいなら絽の小紋にもあわせられそう(-_☆)
日傘にも鳥、バッグには♪と鍵盤と、帯を意識してリンクさせてみました♪
絽の帯あげは加藤萬、帯〆は龍工房
ぞうりは菱屋カレンブロッソ
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「ブータン 〜しあわせに生きるヒント〜」展 at 上野の森美術館
「ブータン 〜しあわせに生きるヒント〜」展 が上野の森美術館にて開催中(〜7月18日まで)
2011年の秋、第5代ブータン国王がご成婚されたばかりの美しい王妃とともに来日されたことは記憶に新しいかと思います。そのときに身につけていらした両陛下の民族衣裳の美しさにも眼を奪われました
ブータンは1989年より国民に公的な場での日常着での民族衣裳の着用が義務づけられています。1974年に鎖国をといた際に「ブータンは近代化はするけれど西洋化はしない」と、第4代国王が明言されたことから、今でも国の伝統文化である織物を重んじ守る政策を行なっています。自国の民族衣裳を着ることが<普通であり当然である>ということになっているのです。
日本人がきもの生活をしていて、目立ってしまう…日本人のひとりとしては、とても羨ましい。。。
ブータンはヒマラヤ山脈の麓にある小さな国で大きさは九州ぐらい、人口は約75万人。
ブータンの民族衣裳の中でも珍しい貫頭衣「シンカ」と「キシュン」
木綿、野蚕、イラクサの繊維がつかわれています。 ブータンでは19世紀まではイラクサの布が織られていましたが衰退し消滅してしまいます。しかし現在はイラクサ織りの再興の動きがあるのだそうです。
女性の衣裳「キラ」。「キ」は巻き付ける、「ラ」は〜するもの、という意味。
形状はインドのサリーに似ています。複数枚の布をつなぎあわせた約1.5m×2.5mの大きな布を巻き付けて「コマ」というブローチでとめます。
着方の映像も流れていて面白い。
技法は、片面縫取織、両面縫取織、経浮織など。素材は木綿とウールが主で、特徴的なものには、野蚕、イラクサ、ヤク。ヤクは戊辰戦争の官軍の毛付き陣笠にもつかわれたあの毛。白熊(はぐま)といわれる高山にすむ牛です。
文様部分は「ブラ」といわれる野蚕糸。ブータンでは殺生を嫌うので羽化した後の繭から紬糸をとります。
絹地のキラの高級品。白地に片面縫取織で精緻な文様を織りだした「キシュタラ」
女性用の装束の「テュゴ」 長袖のショートジャケットのようなもの
女性の衣裳の正装では「ラチュ」といわれる平緒のような布を左肩からかけます。寺院や役所に入るときや儀式や式典では必ず身につけるものなのだそう。
男性の衣裳「ゴ」。日本のきものと同じ衿合せのヘチマ衿がついた袷仕様の筒袖。きものと同じく、おはしよりをつくってたくし上げて帯でとめます。日本の丹前や褞袍にも形状が似ていることから、ゴと呉服であるきものは同じルーツだという説もあるようですが、ゴの起源は中央アジアチベットです。
ゴは下に着ている白地のシャツごと袖口をカフスのように折り返して着るのが特徴
ヤクの毛で織られた、レインコート「ヤタ•カルチャプ」
ブータンの手織りの織機の紹介映像。
腰機は日本の天秤腰機や傾斜型地機にとてもよく似ています。
カードを回転させて織るカード織で帯が織られます。
この展覧会は、祭り、生活様式、信仰、そして王室について紹介されています。
その土地が育んだ衣裳が、伝統文化としてだけでなく、生活の中で生かされている。それはどうして可能なのか。まさに「しあわせに生きるヒント」かと。
つづきます(^-^)/
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ブータンの衣裳を着てみた♪ 「ブータン」展 at 上野の森美術館
「ブータン 〜しあわせに生きるヒント〜」展 at 上野の森美術館 のつづき(^-^)/
ブータンの衣裳を着てみる体験コーナーがありました。これは嬉し〜いヽ(゚◇゚ )ノ
きものと帯の上からなので、宇宙服のようになってしまっておりますが…^^;;
着付けていただきました♪
「キラ」という約1.5m×2.5mの大きな布を巻き付けていきます
「テュゴ」を羽織ります
大乗仏教の仏具「マニ車」。
時計回りに廻すとこの筒の中に入っている経文を唱えたと同じ功徳が得られるといわれています。
もちろん、廻してみました。
きものにキラの重ね着なので動きにくい…(^_^;)
実際に衣裳を着て動いてみて実感したのですが、ブータンの衣裳の素材や織りは、きものよりも重たいのです。生活をするにはけっして楽なものではないであろうということ。でも慣れてしまえばできる。Tシャツにジーパンのようなスタイルと比べたら動きやすいものではありませんし、着つけも面倒ですが、義務づけられていることで、誰もが着ることができるし、慣れれば学校へいくにも仕事をすることもできる、ということを証明しています。
今の日本で、公的なところへは、きものの着用を義務づける…ということは、絵空事ですが…、こうして行なわれている国もあるということが、素晴らしい。
ブータン、ぜひ行ってみたいです♪
カフェでは、ブータンのタクツァン寺院が型押しされたカステラとブータンのサフランティー
このサフランティーはブータンに生育するサフラン、紅花、シナモンを摘み、乾燥させて作ったオーガニックティー。とっても美味しい!!!
ブータン王室の衣裳コレクションも必見です (こちらは撮影掲載不可)
織物の紹介がとても充実している美術展ですので、染織好きの方はぜひ♪
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「西洋更紗 トワル•ド•ジュイ」展 at Bunkamura ザ•ミュージアム
「西洋更紗 トワル•ド•ジュイ展」がBunkamura ザ•ミュージアムにて開催中(〜7月31日まで)
「更紗(さらさ)」とは、インドが発祥の地(諸説あり)である木綿の染め布地のこと。インドでは2000年以上も前から更紗染めがあったといわれています。
更紗が世界に広がるのは大航海時代の東インド会社の設立によって交易でヨーロッパにもたらされ、木版プリントが実用化されていきます。日本へは明(中国)から勘合貿易によってもたらされ、茶人に名物裂と銘々され珍重されました。
「西洋更紗 トワル•ド•ジョイ展」でも展示されていた更紗の襦袢。※2点とも染織文化講座の講座記録として撮影。
「寄裂半襦袢」江戸時代後期(19世紀初頭)
身頃は錦や更紗、繻子地、紅絞り、格子、モールなど多様な裂が継ぎ合わされているもので、袖はヨーロッパ更紗。
「更紗寄裂下着」江戸時代(19世紀前半)の男物の長襦袢。
古渡更紗と称されるヨーロッパ更紗の裂地がつかわれています。
インドから西洋にもたらされてた木綿の更紗は、絹よりも丈夫で織りよりも量産ができたことから爆発的な流行を生みだします。しかしそれによって織物の生産者からの反発を買うこととなり、フランスではルイ14世の治世1686年から73年に渡って、綿の栽培、更紗の製作、そして更紗の着用が禁止されます。亜麻、羊毛、絹の織物の産業の保護が目的。しかし罰則も効果をださず木綿の捺染染の流行は広がることとなります。禁止令が解除されるとフランスでは多くの捺染工場がつくられました。
「トワル•ド•ジョイ」は、オーベルカンプによって創立されたパリから30kmのジュイ=アン=ジョサスにある
捺染工場で染められた木綿布地のこと。木版プリントから筒書きのような防染、銅板プリントと新たな技術を取り入れて卓越したデザインで、マリーアントワネットをも魅了し世界の人々を夢中にさせたのです。
プリント技術がプリントされているテキスタイル
マリーアントワネットのドレスの断片がブックカバー地になっていました。
綿のドレスはリラックスできるから好まれたと推測されていますが…、ドレスの形状で着心地の良さを考えるなら絹に勝るものはないように思います。マリーアントワネットが木綿ならではの風合いや堅牢度や水洗いできるかどうかを考慮して木綿地を好んだとは考えにくいので、やはり「トワル•ド•ジョイ」のデザインに魅せられたのではないかな…と、勝手に予想。
そしてこの銅板プリントに描かれている女性はマリーアントワネットだといわれています。1785年製作のものなので、フランス革命前につくられたもの。
絹ではなく木綿、織りではなく染め、という染織の新しい素材と技法。捺染(プリント)技術によって量産も可能となります。
「トワル•ド•ジョイ」の鳥の顔が個性的なのも染めのなせる技かと
フランス革命後、「トワル•ド•ジョイ」は衰退し83年で歴史を閉じます。その間につくられた布は幻となったのです。しかし西洋更紗はウィリアム•モリスなどに受け継がれ、今もファッションやインテリアに生きています。
フランスで更紗禁止令の時代には、日本でも国産木綿栽培が普及し、友禅という染めの技法が流行を生みだしているということも興味深い。染織の学びは尽きることなくどんどんつながっていく。深い…。
ドゥ•マゴ•パリでお茶…ではなく、モヒート。夏だなあ…。
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天秤腰機の機織り体験♪ 「近江上布展」at 伝統工芸青山スクエア
近江上布を織ってみました♪
伝統工芸青山スクエアにて開催の「近江上布展」へ (会期は終了しています)
琵琶湖の湖東地域は室町時代から麻織物の産地として有名です。江戸時代には上質の麻織物である「高宮布」の産地として名を馳せます。高宮布は高度な技によって績まれた大麻糸の織物。苧麻や絹の交織もあったようです。精緻で光沢があり品格ある布であったといわれます。彦根藩は高宮布を幕府への献上品とし、高宮布、近江上布の生産を奨励し保護しました。近江商人は麻織物を全国に売り財をなします。髙島屋、西武、伊藤忠、住友なども近江商人の流れ。明治時代に紡績糸の導入や近代化によって高宮布の生産は途絶えてしまいますが、麻織物の産地としてその後も発展します。
●近江上布の伝統的工芸品の指定条件●
近江上布の生平
①経糸は苧麻糸、緯糸は手績みの大麻糸をつかった平織り②緯糸につかう手績み大麻糸は水に晒すこと③居坐機(天秤腰機)で織られること ※規制がないので、経糸は機械紡績苧麻糸(ラミー)、緯糸は手績みのものなら中国産のこともある
近江上布の絣
①先染めの平織り②絣糸は緯糸絣、または経糸緯糸絣③絣糸の絣及び耳印を手作業にて柄あわせ及び耳あわせし、絣模様を織りだすこと④絣糸の染色は羽定規を用いる、もしくは櫛押し捺染、型押し捺染⑤シボを出す場合は手もみによること
近江上布の絣には羽根巻捺染といわれる技法がつかわれます。羽根といわれる金枠に緯糸を巻いて両面に型紙で捺染します。きもの1反に13枚の羽根が必要となるのだそう。
櫛押し捺染は近江から能登へと伝わったのだそうです。
糸績みの実演もありました
そして、近江上布の産地でつかわれる地機の天秤腰機で機織り体験♪
実は2013年の「麻•藍•布 〜繊維つくり、布つくり、染めの技の伝承公開〜」でも経験していますが、コースター織り体験どまりですので、身体が覚えて調子がでてきた頃に終わってしまうので、いつも初心者^^;
経糸は機械紡績苧麻糸(ラミー)、緯糸は大麻糸をつかって織りあげます。
緯糸は中国産の手績み大麻糸、国産の手績み大麻糸、大正時代の手績み大麻糸の3種類から。
私は大正時代の手績み大麻糸をチョイス。大正4年の新聞紙にくるまっていたのだそう。
腰をグーッとひいて経糸を上下に開口させます
左から右へ杼を通します
真ん中でトントン
右足で踏み板を寄せて踏んで経糸を上下に開口させます
右から左へ杼を通して真ん中でトントン
杼を通すときに穴を抑えて緯糸がでてきすぎないように
身体の真ん中でバランスをとらないと打ち込みが偏ってしまい難しいーーーー(>_<)
しかし、やり方はわかっているので、織っている姿はプロっぽいらしく…、実演と間違われました
でも、織りはこんなです(x_x;)
はじめは強く糸を挽き過ぎたので少し緩めにしたら耳が揃ってない。。。
地機は背中にも力が入りますので、体力が必要ですね
この天秤腰機は組み立て式なのだそうです。家に欲しいなあ…。
ご指導くださった、伝統工芸士の南和美先生と
伝統工芸青山スクエア、通称伝産センターというのですが、染織の展示会や実演が充実しているので要チェックです♪
近江上布の日傘の文様がなんだろう…と思ったら、海老と豆。近江の郷土料理なのだそうです!
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