「夏を彩る手しごと展」が池袋東武百貨店にて開催中(~7月13日まで)
松枝忍先生の古布デコパージュかばんが出展されています。
松枝忍先生と
松枝忍先生の作品の中には、いつもどうしても連れて帰りたくなる出会いが…。
一目惚れしたのは、猫の籠バッグ
この形の籠バッグ、マチが広くたくさん入るのでつかいやすいのです。
手にした時のバランスも良し
裏面はミシンに横たわる猫。胸を打ち抜かれた(〃∇〃)
こちらのバッグはA4ファイルが入るつかいやすい形なのでヘビロテになること間違いなし。
両面が違う古布がつかわれているものは、旅行のお供にいいのです。
装いにあわせてコーディネートが2パターン楽しめます。
いくつあっても雀は可愛い
犬派の私ですが、今回はなぜか猫に魅かれました
内袋は巾着になっています。裏地にも招き猫が!
他にも連れて帰りたかったバッグたち。諦めきれず、考え中…(@@;
きものを着ることはなくても、アンティークきものの世界観を楽しみたい方は
たくさんいらっしゃると思います。実は洋装にもバッチリあうのです。
籠に古布を膠剤をつかってコーティングという技法は水に強く、雨の時季にもおススメ♪
そして、世界にひとつだけのものです。
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松枝忍 古布デコパージュかばん 夏を彩る手しごと展 at 池袋東武百貨店
西涼織の雨コートとピンク色地立涌文様の化繊の絽の小紋に腰原きもの工房のパラソルの絽塩瀬帯
小さい格子の濃淡で縞文様になっている薄絹の雨コート。西陣の西涼織です。
橘一さんにて通気性のある撥水加工をしていただいたのでとても着やすい。
真夏にはさすがに暑すぎますが、3シーズンの着用が可能です。
化繊のきものは滅多に着ることがないのですが、強い雨の日にはやはり便利。
立涌文様の化繊の絽の小紋に腰原きもの工房の腰原英吾先生作のパラソルの染め帯をコーディネート。
日傘がテーマだった美の壺はこの帯で出演すれば良かった…(*_*)
桔梗文様の絽の帯あげは加藤萬、帯〆は五嶋組紐
バッグはRADLEYのシグネチャーシリーズ。
このバッグの意匠、小倉遊亀「径」に似てる…。
24本富士絹クラシクスの雨傘はHANWAY 、ぞうりは伊勢の神宮会館で購入した神職用雨ぞうり。
今日は久しぶりに青空がみられそうです♪
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「2015年 NHK大河ドラマ特別展 花燃ゆ」内覧会 at 江戸東京博物館
2015年 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」特別展が江戸東京博物館にて開催中(~7月20まで)
「花燃ゆ」はあまり知られていない吉田松陰の妹であり、久坂玄瑞、小田村伊之助
(のちの楫取素彦)の妻であったひとりの女性、文(のちの楫取美和子)が主人公。
ドラマ制作をする上では、材料は揃っていて尚且つあまり知られていないことによって、
自由につくれて楽しいと思うのですが、視聴者は見た事も無い料理には食指がわかないのか、
視聴率としては苦戦しているようです。
この展覧会は、歴史的史料とともにドラマの登場人物でもある幕末維新を生きた人々の肖像や
所縁の品が展示され、ドラマと連動してみるとより深く楽しめます。
「吉田松陰自賛肖像」がズラッと。
安政の大獄で江戸に送られる前に松蔭が、吉田家、杉家、門下生に形見として与えたもの。
松下村塾が再現されていました。
畳はプリントで草履のまま入れます。
八畳一間の塾です。
下関戦争でつかわれた「荻野流壱貫目青銅砲」も展示。
これは連合国(イギリス、フランス、オランダ、アメリカ)の列強四国に摂取され、フランスの
アンヴァリッド軍事博物館の庭先にあったものがごく最近になって見つかったものだそうです。
現在は下関市に寄託されています。
さて、私が「花燃ゆ」で興味があるのは、この後、楫取素彦がどう描かれていくのか。
この人物、日本の近代化を大きく担った製糸業と生糸貿易の歴史と深く関わっているのです。
1872年(明治5年)に創業した富岡製糸場、官営工場時代は採算度外視でやっていて赤字経営。
8年後には明治政府から民間払い下げの決定が下され、払い下げ先がない場合は閉鎖にする意向
だったといわれています。
民間払い下げの目処がつくまでの官営存続に奔走した人物が、元長州藩士の小田村伊之助。
後の熊谷県権令(群馬県知事)の楫取素彦(かとりもとひこ)です。
この人がいなければ世界遺産となった富岡製糸場は今に残っていなかったかもしれません。
そして日本ではじめて生糸の直輸出を実現し「生きたる生糸貿易の歴史」といわれる新井領一郎。
当初の日本からの生糸の輸出は外国商人が間に入り莫大な利潤をとられていましたが、それを
打破する為にニューヨークに渡り市場を開拓し販路を確保した人物です。
これによって富岡製糸場は一気に出荷高が増え経営が軌道に乗ります。
新井領一郎の渡航費用や資金を工面したのは楫取素彦であり、最初の妻の寿は、兄である
吉田松陰の形見の短刀を護身用として新井領一郎に持たせたといわれています。
実は、この短刀が展示されているのではないかな…と期待していたのですが、ありませんでした。
日本の近代化に大きく貢献した製糸業と生糸貿易。
その道筋をつくった時代背景を知ることができるかもしれない(-_☆)
「花燃ゆ」のこの先の展開に期待しています!
※展覧会の撮影と「きものカンタービレ♪」への掲載は主催者の許可をいただいております。
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台北西華飯店(ザ•シャーウッド台北) / 2015年GW 台湾の旅 その17
逸仙公園と五位鷺 / 2015年GW 台湾の旅 その16 のつづき(^-^)/
台北西華飯店(ザ•シャーウッド台北)
台北中心部からは離れた松山空港の近くにあるヨーロッパスタイルの五つ星のホテルです。
内装がクラシック調でとても落ちつきます。レストルームの調度もオシャレでした♪
中洋折衷のレストラン怡園へ
各国の大統領もお忍びで訪れる正統派でありながら洗練されたレストラン
塩竈で蒸されたのは鮑
鮑というより常節のような…(^_^;)
食材は日本産のものが多かったのが印象的でした。
中洋折衷の広東料理ということでしたが、日本人好みのような気がしました~。
お味はとても安定していてどれも美味しかったです♪
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北村武資 作品展 at 日本橋三越
日本橋三越の呉服特選サロンにて「北村武資 作品展」が開催中
北村武資先生のお話が聞ける貴重なトークイベントがありました。
三越さんより撮影許可をいただいていたのですが、鏡張りのお部屋だったためお客様が
写り込んでしまったので、トークイベントでのお写真の公開は控えます。
「羅•経錦」重要無形文化財保持者の北村武資先生と
北村先生は今年で80歳。15歳から織物をはじめられ、織物にたずさわって今年で65年に。
第2回日本染織展に初出品した作品が日本工芸会会長賞を受賞して以来、常に新しいものを発表
しなければと思いオリジナルを追求し創作したけれど、毎年出品するようになって息切れ、限界を
感じたと…。その後、色と文様ではなく、経糸と緯糸をつかった織そのものの技術によって、
現代の意匠を織りあらわすことを意識するようになったのだそうです。
●羅の技術について
羅の構造は、簡単に言うと経糸を左右にクロスさせたところに緯糸を通して織りあげると、
経糸の綟れたところに空間ができ、網目ができるというもの。一張羅の語源でもあります。
2100年以上昔の古代中国、前漢の墳墓から発掘された羅の写真を見て、どうなっているのか
興味をいだき、古代には織られていたが現代では織れないとされていた羅の復元にチャレンジ。
資料を分析し織りあげるが、羅の構造は同じでも、糸の質、織りあがっている感覚を復元するのは
極めて難しかった。しかし古代の糸は極めて細いものだったが、糸の特性を考え追求し、
それを今の糸で織りだしたことが新しい創作となったのだそう。
●経錦の技術について
複数の経糸の浮き沈みで文様をあらわす経糸の密度の高い織物のこと。
綜絖の図案は、本来ならば専門家にまかせるものだそうですが、自分の思うような形にするには
自分でするしかないと思い、折に触れ書き訓練し自分で紋意匠図を書くようになったのだそう。
それによって統一感、緊張感がある作品ができるとのこと。
綜絖、筬などは独自で考えたものを使用しているのだそうです。
経錦はギッシリ詰まった経糸で織りあらわされます。経糸は4000本弱。緯糸は1色です。
古典柄の友禅とそれにあう帯が主流だった中、森口華弘先生や志村ふくみ先生の作品
にあう帯をつくってほしいという要望もあり、自分の作品が上手く調和したというお話も。
確かに…。森口華弘作品には北村武資帯があう。それ以外に思いつかない~(゚_゚i)
トークイベントの後に、織物はそもそもが身近にあったものを編むことからはじまったのでは…。
というお話をチラッとしていただきました。
織りの技であらわす文様表現は、そもそもの織りの根元でもあります。
それを追求することだけに留まらず、多様化された今の時代の美を産みだしている。
溢れんばかりの探究心がつくりだした美の賜物なのですね…。
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歩く水族館コーデ / 青地に小花の絞り絽小紋に南国の魚のアンティーク刺繍の帯
天空から見ると「円」の形をしていることでも有名。
重厚感ある頑丈な設計から「辰野堅固」といわれる辰野金吾の建築です。
【7月11日の装い】東京◇晴れ(湿度55%) / 最低気温21℃ 最高気温31℃
べにきちのブーゲンビリアの日傘にこの帯をあわせてみたかった。
青地に小花の絞りの絽小紋に南国の魚のアンティーク刺繍の帯をコーディネート
とっても気に入っているアンティーク刺繍の帯です。
糸の色づかいも美しい~。
魚の眼には表情があり、ヒレには動きがあります
帯あげは加藤萬、帯〆は五嶋組紐、根付紐は藤岡組紐、小鳥はサハラグラスの海馬ガラス
松枝忍先生の蟹の古布デコパージバッグ、私のところにお嫁に来ました♪
こちらは描き疋田の扇面文様になっています。
テーマは、歩く水族館です。
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絹紅梅の浴衣をきものとして着る / 銀座伊勢由のオレンジ色絹紅梅と竺仙の藍色絹紅梅
「浴衣をきものとして着たい」というご相談をよく受けますが、おすすめするのは絹紅梅。
軽い日常のきものとして着ることができます。
長襦袢を着た上に着ても素肌の上に着る綿コーマの浴衣よりも涼しいです。
絹紅梅の「紅梅」とは、紅梅織のこと。
紅梅織とは、地糸よりも太い糸、または数本の糸を、経糸か緯糸または経緯の両方に一定の間隔で
織りこみ、格子状の畝を表面に浮き立たせた薄手の平織物。
勾配織 もしくは高配織とも書きます。「紅梅」は当て字です。
この畝で、皮膚への密着を妨げ肌にはりつかせないので、風通しの良いさらりとした着心地になります。
絹紅梅は、地糸は絹で、織り込んだ太い糸には綿を使うことが多いようです。
割合としては、絹85%綿15%くらいでしょうか。
とにかく蝉の羽の如く軽くて着心地が良いので、1日中着ていても疲れません。
やっと晴れた~♪と思ったら…、猛暑つづき
【7月12日の装い】横浜◇晴れ(湿度64%) / 最低気温23℃ 最高気温32℃
銀座伊勢由のオレンジ色の蜻蛉の絞りの絹紅梅のゆかたに竺仙の格子の麻の帯をコーディネート
日傘は大井川葛布の葛布の生成り色。持ち手はエゴの木の白木で誂えた朝香スペシャル第二段♪
葛布については別記事で詳しくあげます。
絽の帯あげは京都きねや、帯〆は龍工房
古布デコパージュの竹籠のバッグは松枝忍。たぶんこの籠バッグが松枝先生との出会いだったような。
【7月13日の装い】東京近郊◇晴れ(湿度54%) / 最低気温24℃ 最高気温34℃
台風の影響で、熱風が吹いていました。
竺仙の藍色の唐草文様の絹紅梅に西村織物の博多紗献上帯をコーディネート
日傘は江戸小紋の両面染めです。廣瀬染工場のKOMON HIROSE
星の絞り文様の絽の帯あげは京都きねや、帯〆は龍工房
籠のトートバッグはエポカザショップ
絹紅梅のきものの難点は軽くて空気を含むので、提灯のようになりやすいこと。
長時間の正座などでは着崩れしやすいです^^;
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「原始布•古代織への誘い 出羽の織座」 at 東京交通会館2F ギャラリー
昨年の秋に訪れて大感激した米沢にある原始布•古代織参考館の展覧会です。
初代館長である山村精(やまむらまさし)氏は、日本の原始布や古代織の復元と存続に取組み、
その際に集めた膨大な資料を蒐集され、原始布•古代織参考館をつくられました。
編衣、藤布、科布、楮布、葛布、麻布、蕁麻布、苧麻布、紙布、ぜんまい織、琴糸織、アッツシ、
裂織、つづれ織、津軽こぎん刺し、南部菱刺し、など貴重な布と織機、資料が展示されています。
麻を栽培し繊維を取る以前、遥か昔の話(縄文時代から)ですが、古代の人々は野山に
自生する靭皮繊維から布を織っていたといいます。木綿が庶民に普及しはじめると需要が
なくなり、大変な手間がかかる原始布(自然布)は都市から離れた山村の集落にのみ残り
わずかに伝承されているという状況…。1950年(昭和40年)ごろ山村精は古布を手に
山村の織り手を訪ね歩き、見聞きした記憶を記録し研究そして復元されました。
山村精氏のお嬢さんの洋子さんとご主人の山村幸夫館長
この原始機を織っていらっしゃる写真は洋子さんです。
編衣、科布、紙布、大麻布、蕁麻布、苧麻布、ぜんまい織、琴糸織、アッツシ、庄内刺し子、
津軽こぎん刺し、南部菱刺し、など。原始布•古代織参考館から貴重な布と資料が展示されています。
きものや帯、バッグ、ショールは「出羽の織座」としてつくられ販売もされています。
あまり市場では見かけないので貴重な機会です♪
日本最古の衣服といわれる網衣。
綜絖をつかった織機による織物以前の編み物、組紐に似ています。
米俵はこの技法で組まれているのだそうです!!←はじめて知った
これは琴の弦でつかわれる絹の琴糸。琵琶湖の北でつくられているのだそう。
強い撚りをかけて特殊な技で固めるとこんなに固い糸になります。
撚りをとるとこんな感じ。小千谷の湯もみによる縮みに似ていますね。
この撚りがもどった状態で織りあげると独特のシボと弾力性のある織物となります。
こちらは草木染めの琴糸織です。
ぜんまいの新芽は綿のような衣で覆われています。これは雪から新芽を守るためのシェルター
のようなもので、寒い地域のぜんまいほど、羊の毛のようにワタワタしているのだそうです。
春にぜんまいの新芽を採取した後、食用の茎と綿を分け、綿を集めてゴミを取り除いて、
天日でよく乾燥させます。夏になると90℃ぐらいで蒸し、乾燥させて真綿と混ぜあわせ糸を紡ぎます。
経糸は綿糸か絹糸、緯糸にぜんまいの糸をつかって織りあげた帯がこちら。
ぜんまい織は保湿性と防水性が高いのが特徴。
しな布、ぜんまい織、ぶどう蔓のバッグも充実。藍染めの暖簾は伊豆大島の菅原匠さんの作品。
こちらの藍染め、正藍型染師の田中昭夫さんの型に似ている。と思ったら、田中さんによる染めでした!
出羽の織座のものを染めていらしたのだそう。落款が「紺定」。
じつは5月に表参道のギャラリーであった田中昭夫さんの頒布会にて田中昭夫さんにお会いしました。
こちらはその頒布会でのお写真。
田中さんが最後に染められた藍染めは、じつは私が購入させていただきました♪
好みだわ~(〃∇〃)と思ったら、つながっていたのですね…。
途方も無い時間と手間がかかる原始布は、かつて時間だけはあった時代につくられたものであり、
せわしなく生きる現代に置いては贅沢なものとなってしまいました。
それだけに、時間の豊かさを感じることができます。
米沢の原始布•古代織参考館は布好きならば絶対に訪れてほしいところと太鼓判を押します♪
まずは東京での展示会で、布に触れてみてください(^-^)/
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結城へ! ふるさと納税の結城紬 / 奥順の100亀甲総柄の夏結城に腰原淳策のユキノシタの染め帯
栃木県小山市と茨城県結城市の結城紬の工房&問屋さんへ♪
鬼怒川沿いの地域は養蚕が盛んであり、かつて鬼怒川は「絹川」といわれていました。
結城紬の歴史は2000年前に遡るといわれ、崇神天皇の代に多屋命(おおやのみこと)が三野(美濃)の国
から久慈(常陸太田市)に移り住み、機殿で織ったという長幡部絁(ながはたべのあしぎぬ)がはじまりとされています。正倉院には献上された常陸絁が残っています。その後、鎌倉時代にこの地を治めた結城氏に由来し結城紬となったようです。
【7月15日の装い】結城◇晴れ(湿度63%、暑くて倒れそう…)/ 最低気温24℃ 最高気温34℃
奥順の100亀甲総柄の夏結城に腰原淳策のユキノシタの染め帯をコーディネート
ユキノシタは5月終わり~7月に咲く初夏の花です。
夏結城は結城紬の特徴である柔らかさを生かした夏の紬。真綿糸と強撚糸がつかわれています。
夏塩沢ほどのシャリ感はありませんが、適度に身体に沿ってくれてシワになりにくく着心地良し。
透け感を抑える黒色系の長襦袢を着れば5月の初夏~9月いっぱいの初秋まで着用できます。
日傘は大井川葛布の葛布パラソル。持ち手はエゴノキの白木です。
古布デコパージュのバッグは松枝忍、ぞうりは菱屋カレンブロッソ
裏面は夏らしく蟹 ところどころ刺繍されているので立体感があります。
思川桜染の結城紬の結城屋さんへ♪
結城紬は分業制ですが、こちらの工房では真綿掛け、糸紡ぎ、絣括り、染め、織り、糊付の工程が
一環して行なわれています。近いうちに工房見学をぜひ!
今回お伺いしたのは小山市の「ふるさと納税」の特典にこちらの結城紬があるからなのです。
「ふるさと納税」とは、任意の地方自治体に寄付をすることによって寄付した金額のほぼ全額が税額控除されるという制度。この手のお話はとんと苦手なのでよくわかっていなかったのですが…、もしかしたら、winwinの形できもの産地に貢献できるのかしら?とも思い、参考までにみせていただきました。
小山市のふるさと納税の謝礼品のひとつ、結城屋の100亀甲飛び柄の地機の結城紬。
とくに決まったものがあるわけではなく、その時に同じ条件のものを選ぶことになるのだそうです。
つづきます(^-^)/
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PR: ABARTH 695 Biposto登場
結城紬の里帰り 奥順 / 産地入れの湯通し &地機で織り
結城紬の産地製造問屋である奥順へ
1907年(明治40年)創業以来、機屋と連携し結城紬の企画から製造、流通までを行なっています。
こちらは国の有形文化財に指定されている創業当時からつづいている仕入れ場。
奥順の奥澤武治社長と 社長がお召しになっている夏結城の羽織の絣が蟹文様でした。
今回は奥順の夏結城を着て里帰りさせました♪
それとは違った里帰りが結城紬にはあります。産地地入れといわれる「湯通し」の工程です。
結城紬は真綿から紡いだ撚りのかかっていない手紡ぎ糸をつかって織られます。
真綿1枚に繭5個、1反分には400枚の真綿が必要です。
撚りがかかっていない糸は弱いのです。織る前に毛羽立ちとスレから防護するために
小麦粉糊(うどん粉の糊)がかけられています。
この写真が糊づけされた糸の状態。仕立てる前にはこの糊を落とすことになるのです。
2年前の夏に奥順さんにご案内いただき、湯通し工場を見学させていただきました
結城紬は人肌ぐらいの温度のぬるま湯に一昼夜つけておき、
糊が柔らかくなったら表面の糊を落とします。
1反づつ反物を送るように何度もくり返し洗い、芯糊といわれるように少しだけ糊を残します。
季節や織元によって糊の具合が違うため、この少しだけ糊を残して落とすのが難しいのだそう。
この加減は結城紬の小麦粉糊の性質を知った職人でないとできないそうです。指がセンサー。
仕上げは水で洗います。
反物の幅を常にチェック
天日干しされます。
ここに張られた反物はお嫁入り先が決まっているということですね(^-^)
湯通しして縮んだ生地幅を整え幅だしをします。
下から蒸気がでていて回しながら整えます。
結城紬は洗い張りも結城に戻したほうがいいのだそう。とにかく糊が他産地とは違うのです。
糊が取れてしまった場合糊づけもしてくださるのとのことでした。
他産地は布糊、蒟蒻糊、もしくは合成樹脂をつかった油性糊がつかわれます。
うどんになる小麦粉糊をつかっているのは、結城だけです。
お土産でいただいた、つむぎうどん。
地機を織っていらっしゃるところも見学させていただきました~♪
地機で織られたものの中から、絣をあわせて織るのには熟練された技が必要。
緯糸の杼は600gもある大きなものがつかわれます。
経糸は腰につけた紐とつながっていて、緯糸を打ち込む時にグッと腰を引くのだそう。
結城紬は経糸と緯糸の太さが若干違うのも隠れた特徴のひとつ。
やや太めの経糸で織られることで着装した時にほっそりみえるのです。
【結城紬の重要無形文化財の指定条件】
①使用する糸はすべて真綿より手つむぎしたものとし強撚糸を使用しないこと
②絣模様を付ける場合は手くびりによること
③地機で織ること
さて、先日の話に戻します。
じゃ~ん\(゜□゜)/ここにあるもの、すべて結城紬です
こんなにたくさんの結城紬があるとたまには違った雰囲気のものにチャレンジしてみようかしら…と
迷ってみたり…(@@;
しかし「こんな帯にあわせる、こんな絣柄の結城紬が欲しい!」と具体的にお願いしたら、
バッチリのものを持ってきてくださいました。ありがとうございます~ヾ(@^▽^@)ノ
100亀甲の雲文様の結城紬。誂え中のあの帯にピッタリ~
結城紬の特徴は、とにかく軽くて暖かいこと(普通の絹織物は700g~800g、結城紬は550g~650g)
その秘密は糸にあります
糸は撚ることによって空気を排出し固くなりますが、結城紬の糸は糸に撚りがないので空気を
たくさん含んでおり、真綿のしなやかで身体に沿うような着心地が生まれるのです。
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PR: ABARTH 695 Biposto登場
大倉久和大飯店(オークラ プレステージ台北) / 2015年GW 台湾の旅 その18
台北西華飯店(ザ•シャーウッド台北) / 2015年GW 台湾の旅 その17 のつづき(^-^)/
大倉久和大飯店(オークラ プレステージ台北)
台北の中心部に3年前にオープンした日本のオークラホテルズ&リゾーツです。
電話でも日本語が普通に通じるので、海外にいることを忘れてしまいます(^_^;)
旅情感は薄れてしまいますが、言葉のストレスフリーです。
ゴールデンウィーク中は日本からの観光客で全館満室でした。
日本料理の山里。
和食は眼にも美味しいですね♪
台北ではホテルからタクシーに乗ると、乗車カードが渡されます。
後で忘れ物をしたときに問い合わせるためのものだそうで、とっても便利。
私のような忘れ物常習者にはありがたいシステム♪
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台北喜来登大飯店(シェラトン グランデ 台北) / 2015年GW 台湾の旅 その19
台北喜来登大飯店(シェラトン グランデ 台北)
シェラトンって漢字で書くと「喜びが来て登る」というお目出度い字になるのですね~。
台北駅からも近く観光名所にも行きやすい立地にあります。
ゴールデンウィークのこともあってか、日本人の観光客が多かったです。
ロビーはラグジュアリー感に欠けますが、エグゼクティブフロアは落ちついていました。
朝食のバイキングも豊富~。パパイヤ食べ放題。
シェラトンは台湾の中では大型ホテルで、大浴場、プール、レストランと設備が充実。
エグゼクティブフロアのみでどこも利用しなかったのですが、もったいなかったかな…。
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綿絽の長板中形をきものとして着る / 竺仙の青海波に千鳥文様の綿絽の長板中形
この長板中形は透け感のある綿絽で誂えたので、半衿付きの長襦袢を着てきものとして着ています。
きものとして着ることを想定して、麻の居敷当てをつけてのお仕立てです。
藍を落ちつかせるため、お仕立てまで反物のままで1年以上寝かせました。
正直なところ綿絽は麻や絹紅梅と比べると暑いです
気温が30℃以上の日の着用は苦しいですが、綿は雨に強いので雨の日には重宝します。
長板中形は江戸時代中期末に生まれた技法。特徴は藍の浸染による両面染めです。
6.5mの長板に白生地を張り、型紙をおいてヘラで防染糊をおきます。
生地を乾かした後、さらに生地の裏に表の模様とピッタリ重なるように糊をおきます。
その後、藍甕に何度も浸す浸染です。これにより白がパキッと映える藍染になります。
江戸小紋のようにヘラで染める「しごき」は片面だけ糊をおけばよいのですが、
長板中形は何度も藍に浸すために両面に糊をおく必要があります。
小紋は小柄なので小紋、ゆかたは小紋柄よりも大きく中柄なので中形となったのだそう。
中柄というか大柄文様の型紙は、やはりゆかた用につくられたものです。
長板中形は浴衣なので、本来は半衿なしで浴衣としてスッキリ着るもの。
そういえばこの長板中形も千鳥だった…。
【7月16日の装い】東京◇曇りのち大雨(台風の影響で夜は大雨) / 最低気温24℃ 最高気温29℃
竺仙の青海波に千鳥文様の綿絽の長板本染中形に西村織物の格子の博多帯をコーディネート
水玉に金魚の日傘は遊中川×前原光栄商店
ラフィアのトートバッグはエポカ•ザ•ショップ、ぞうりは菱屋カレンブロッソ。
この日は老舗洋食屋さんにて女子会
気軽な夜のディナーなら、浴衣をきものとしての装いでも良いと思います♪
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第88回 社会人の為の歌舞伎鑑賞教室「義経千本桜」at 国立劇場
歌舞伎鑑賞教室「義経千本桜」の観劇へ(~24日まで)
国立劇場の母体である日本芸術文化振興会によって、伝統文化育成の為のひとつとして、
より多くの世代に楽しんでもらえるよう、毎年6月と7月は「歌舞伎鑑賞教室」が開催されています。
わかりやすい解説付でお手頃価格で楽しめるのです。その中でも、スペシャルな企画があり、
7月18日~24日は親子割引がある「親子で楽しむ歌舞伎教室」
7月10日と17日は夜18時半開演の「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」
この日は、社会人のための歌舞伎鑑賞教室でした♪
歌舞伎鑑賞教室はパンフレット、台本、歌舞伎についての冊子が無料配布されるサービスもあります。
●解説「歌舞伎のみかた」
波打つように上下するセリの廻り舞台にのって紋付袴姿の萬太郎が現れます。
素の廻り舞台とセリの上下というのが、とっても新鮮。
付け打ち(役柄や場面にあわせて拍子木で音をだす演出)と立役と女形の走り方の違い、
下座音楽についての解説では黒御簾からは太鼓が登場し、水音の表し方を解説、
度に「お願いいたします」と丁寧に礼をする萬太郎の所作と滑舌よい声がまた素敵
そして演目の「義経千本桜」について。
史実とは違うけれど、歌舞伎の世界では「もし○○だったら…」という物語があり…、
歴史と混乱しないようにわかりやすく、イラストをつかっての解説でした。
源平合戦の紅白の旗が運動会の紅白戦につながってるなど豆知識付き。
イラストの義経が萬太郎に似ている~と思ったら、「では、義経で登場します」と幕引き。
とても良い流れの解説でした。
萬太郎丈の新たな魅力を知りました(-_☆)
●「義経千本桜」から「渡海屋の場」と「大物浦の場」の二幕
兄頼朝から追われ義経が泊まった渡海屋の主人、銀平。登場した時に、アッツシ文様の長着を
羽織っていたのに目がいき、ああそういえば歌舞伎の衣裳としてでてきたな…改めて。
ちなみに、アッツシとはこちら。オヒョウの樹皮繊維からなる自然布です。
秋には二風谷へアッツシ織を訪ねます。
海の男というのには、品がありすぎた菊之助ですが、目力強し。
相模五郎演じる亀三郎の魚尽くしの台詞の捨て台詞で「二人目も生まれたのにひでえ…」
というアドリブがあり菊之助がニヤリと笑ったかにも見えました…^^;
真っ白な狩衣に銀の兜という知盛の装束を纏った菊之助はオーラを放ってる!
大物浦の知盛は隈取りがされ血だらけ…。口の中も真っ赤で眼にも紅がさされ凄まじい形相。
子供が見たら泣いちゃいそうですが、菊之助の碇知盛は驚くほど良かった。
若すぎる…?と思っていたけど、若いからこそかもしれない新鮮さもあり、
吉右衛門や仁左衛門にはない鮮烈な印象を受けました。
年を重ね重厚感ますであろう今後も楽しみ♪
そして、銀平の女房のお柳と典の局の梅枝。
お柳から典の局になった梅枝の凛とした気高さが素晴らしい!
十二単を着て危なげなく安徳天皇を抱き上げるのもお若いからか。重い装束に長袴でも後見なしで
颯爽と歩かれるのも、ある面では歌舞伎らしからぬ感があるのですが、素直に感情移入できて
こちらも涙腺が崩壊しました。語りは丁寧でずっしりと響き、素晴らしかった:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
清々しい気持ちで国立劇場を後にしました~♪
この日は「社会人のための歌舞伎教室」というだけでなく、時蔵丈の奥様の友人の方が
主宰してくださった茶話会がありました。
こちらは別記事でご紹介します(^-^)/
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茶話会 at グランドアーク半蔵門 / 観世水に花菖蒲文様の絽小紋に水辺の花の刺繍の絽綴の帯
国立劇場での観劇の前はグランドアーク半蔵門のカフェにて茶話会でした
時蔵丈の奥さまとご友人の方が主宰してくださり、バッグステージツアーがあったり、
萬屋の皆さまとお話できるというとっても贅沢で貴重な機会♪
主宰の方がつくってくださるレジュメもいつも楽しみにしています。
今回は公演の合間の貴重なお時間に萬屋の皆さまがいらしてくださいました~ヾ(@°▽°@)ノ
右から中村梅枝丈、中村萬太郎丈、私、中村時蔵丈の奥さま、中村梅枝丈の奥さまと
中村梅枝ご夫妻の間に入ってちゃっかりスリーショット♪
奥さまのお輿入れ支度は「美しいキモノ」でも紹介されています。素晴らしかった:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
このご夫妻とのお写真は自虐的だな~と思いつつも両手に花で嬉しい私
梅枝丈、萬太郎丈、若手の方の成長ぶりの勢いにこのところ眼が離せませんが、このお二人は
爪の先まで気持ちが行き届くような丁寧なお芝居で素晴らしいと思います。
今回は「歌舞伎のみかた」の解説で、萬太郎丈の新たな魅力も知り、この先が楽しみ~♪
【7月17日の装い】東京◇曇りのち晴れ(湿度63%) / 最低気温23℃ 最高気温30℃
台風の影響が心配されましたが晴れ女集結で見事な晴れっぷりでした!
さて、この日の装いですが…。
「義経千本桜」は題名に桜が入っていますが、本当は桜が登場しない戯曲といわれています。
現在の「吉野山道中」では舞台は桜いっぱいに彩られますが、史実ではあれは梅の頃。
「義経千本桜」の満開の桜は平家物語に関わったすべての人への手向けの華なのです。
桜の小紋で観劇することが多かったのですが、絽の桜の小紋は手持ちになかった…。
なので、勝負と菖蒲をかけ武士に好まれたという花菖蒲の小紋にしました。
観世水に花菖蒲と沢瀉の水辺の花の絽小紋に水辺の花の刺繍の絽綴の帯をコーディネート
絽綴の帯の花は菖蒲なのか春蘭なのか今ひとつわからず…(^_^;)
抽象的ゆえにあわせやすいので、初夏~初秋までつかっています。
絞りの帯あげは京都きねや、帯〆は藤岡組紐で誂えた細め。
古布デコパージュのバッグは松枝忍
この日はヘアセットしていただいたのですが、その際にメイクもすすめられ…。
断りきれずお願いしましたが…、やっぱり自分じゃないみたい(>_<)
う~ん…ヘアはともかく、、、やっぱりメイクはできるだけしたくないです。
歌舞伎の演目にちなんだ装いとして「渡海屋の場」の魚尽くしにちなんで、
魚の刺繍の帯の装いというのもありでしたね。
萬屋の皆さま、会を主宰してくだった方に感謝いたします♪
舞台の前から楽しい時間をありがとうございましたm(_ _ )m
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アンティークの宮古上布に向日葵が描かれた変り織の染め帯
梅雨が明け夏本番です
いよいよ、麻織物が活躍します。
麻は身体に纏わりつかず風を通すから涼しいのですが、着姿がどうにも嵩高くなり奴さんのように
なってしまうものと、シワは気になるもののスッキリと着ることができるものがあります。
スッキリと着ることができるのは、宮古上布、越後上布、能登上布でしょうか。
アンティークの宮古上布に向日葵が描かれた変り織の染め帯をコーディネート
夏の花といったらやっぱり向日葵。日本へは17世紀に伝来したといわれます。
帯あげは渡敬、帯〆は龍工房、ガラスの小鳥は海馬工房のサハラガラス、根付紐は藤岡組紐
紅型の日傘は屋富祖びんがた工房、猫の籠バッグは松枝忍の古布デコパージュ
糸を知り布を見極める勉強会へφ(.. )
各産地のつくり手の方からお話を聞いたり、産地へいって糸づくりを体験しておりますが、
手法は時代によって変わることもあり、こうだからこうと断言できるものでもありません。
でもそれが繊維の中でも何なのかは風合いでわかりますし、さらに時代を追うことで、
糸のつなぎで見極められるようになるそうです。(私はまだまだ勉強中ですが…)
各産地の撚りつなぎで苧麻糸を績んでみました。
はじめはヒネリッソというZ撚り、途中からはニホッソというZ撚りと最後にS撚りで。
勉強会の方がみせてくださった芭蕉布のコート。
糸は機結びでなく撚りつなぎなので八重山の芭蕉と思われます。
透け感を試したくては織らせていただきました。
とっても良い感じに透けて素敵!
かなり昔に織られたものだそうです。糸がうっとりするほど綺麗:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
とても細い芭蕉の糸でところどころに捩り織が入っていました。
神職の御家のものだったそうですが、人形仕立てなので男性用。なんてオシャレな方なんでしょう。
芭蕉は水に強いので、雨除けにもなる夏の道行は良いと思います。
芭蕉の繊維は触るとヒンヤリするのですが、きものとして着るとゴソゴソしてしまうので、おはしよりのあたりが気になったのです。本来は対丈で着るものですので、当たり前なのですが…。
芭蕉布でコートをつくったら素敵だわ~ヽ(゚◇゚ )ノ
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