経済産業省が導入を検討している「きものの日」
「和装産業の振興を図るために、スーツの代わりにきもので出勤できる雰囲気をつくり、
きものを日常生活に取り込むのが狙い」なのだそう。
きものを着る側も、きもの姿を見る側も慣れる状況をつくる、
仕事でもきものを着ることを容認する動きはとても喜ばしいことです。
しかし、毎日きもの派の私がいうのも変かもしれませんが、きものは洋装と比べたら、
着付けは手間がかかり、着脱も困難、動きやすいとは言い難く、機能的なものでもありません。
脱いだら洗濯機へポイとできるものは少なく、メンテナンスにもコストがかかります。
オシャレできものを着るなら全く問題ありませんが、きものを日常生活に取り込むのが
狙いで「きものの日」がつくられて、きもので仕事をするということなら、洋装以上に動けるぐらい
でないとかえってきものを着る人に対してのマイナスイメージが強くなることになりかねません。
通勤ラッシュとかもありますしね…。
きものを着慣れるには時間がかかるのです。
私はきものに慣れるために、お出掛けに着るのではなく、まず家の中でのきもの生活から
はじめました。仕事に行く時は洋服で出勤し、家に帰ってきてからきものを着るという生活です。
家の中では、外で着るにはちょっと…と思うような、汚れてもいいと思えるきものや浴衣で動き回り、
きものの汚れ落としや洗濯といったメンテナンスもできるだけ自分でやるようにしました。
何をするにしてもはじめは失敗は付きものです。
今でも失敗することがありますが、それによってわかることもあり、できるようにもなります。
なので、まずは家での浴衣生活からおススメいたします。
きもので仕事ができる状況に答えるべく、さらにきものに慣れ親しむことを!
昔の人は家できものを着ていて、オシャレでお洋服を着るという生活だったことをお忘れなく。
そしてもし和装振興を促すために国をあげてしなければならないことがあるとしたら、
教育ではないでしょうか。
子どもの頃から、きものに慣れる機会をつくること(着付けとか和裁とか含む)、
加えて日常着と準礼装、礼装の区別をきちんと把握することが必要だと思います。
今では大人でも曖昧になっていることが多いです。
栄典に関しては内閣府賞勲局が所管していますが、叙勲の伝達式は各省庁別なので、
主催者の省庁に問い合わせても、色留袖でも紋の数が五つ紋でないものがあることを
ご存じなかったり、比翼って何ですか?と聞きかえされたというようなこともあります。
きもの=普段着ではない=全てのきものはセミフォーマル以上
というような、きものを特別視する考えを取り払うために、きものを日常着として取り入れること
には大賛成ですが、紋付を日常に着るということが、ドレスを日常に着ることと同じであるということ
を知らない大人がほとんどとなってしまった現状を鑑みて、改めて教育としてとりいれることも
これからは必要ではないかと。きものは日本の民族衣裳なのですから…。
ちなみに私は日常着は気候と場所にあわせれば、とくに決まりはないと考えています。
(礼装、準礼装と区別するために、それを日常に着るようなことはいたしませんが…)
ヨーロッパでは昼夜でドレスコードがありますが、日本にはその感覚がないので、
きものは洋装よりも自由かもしれません。
きもの業界の方には、曖昧なスペック表示、不安定な価格、きものを売る側の知識力のなさ、
私たち消費者のきもの業界への不信感をまずは取り払っていただくことを改めてお願いしたいです。
和装振興を促すには、気持ちよくお買い物ができる状況をつくっていただくことが何よりです。
「きものの日」導入についての、朝香さんのご意見をというメールをいただいたので、
とりとめもなくお答えしました。
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