織機・出羽の織座 原始布•古代織参考館 その2 / 2014年秋 米沢染織巡りの旅 その5
のつづき
北国には実用性の中から生まれた美の世界があります。
少しでも暖かく、そして丈夫に…。
山村幸夫館長に寒冷地ならではの知恵と工夫から生まれた「刺し子」に
ついて教えていただきました。
庶民が麻織物しか着ることが許されなかった江戸時代にはじまった刺し子。
水に強く比較的強度はある麻織物も農作業のような労働の作業着としては心もとなく、
さらに涼しい素材であり、あまり暖かくはありません。
そこで、麻布を藍染めすることで生地に強度をもたせ(蛇よけの効果もあり)、
さらに布を重ねて細かく刺し縫いすることで、耐久性と保温性を高めました。
布を重ねて刺し子されつくられているので吸水性があることから、火消しの際に水を通し、
防火の役目をはたした火事装束にもつかわれています。
●津軽こぎん刺し◇津軽地方(青森県弘前のあたり)
江戸時代は麻織物に麻糸で刺し、明治になって木綿糸での刺し子が主流となります。
北国では木綿は貴重であり農民が身につけられるようになるのは明治期になってから。
嫁入り前の娘は幼少からこぎん刺しの技を身につけ、自分用と夫用の刺し子きものを
嫁入り支度に用意したのだそう。
経糸に沿って奇数の目をすくって刺します。(例外もあるそう)
●南部菱刺し◇南部地方(青森県八戸、十和田あたり)
歴史的背景は津軽こぎん刺しと同じ。しかし、津軽地方と南部地方は隣でありながら相容れ
ないところもあり、相互関係によったものではなく、状況と用途から別々に生まれたものだそう。
経糸に沿って偶数の目をすくって刺します。横長の菱になります。
アッツシ織の襟の部分が、南部菱刺しでした。
からむし織の南部菱刺しの暖簾
●庄内刺し子◇庄内地方(山形県酒田あたり)
歴史的背景は、津軽こぎん刺し、南部菱刺しと同じであり、日本三大刺し子といわれます。
刺し目は計算されたものでないのが特徴。
斜に襷のようになっているのはそり引きのための補強の布であることから。
こちらも、そり引き用の袖無し
原始布•古代織参考館、ここだけでも米沢まで来る価値があります!
知らないことがたくさんあるなあ…と沁沁。。。
山村幸夫先生、ありがとうございましたm(_ _ )m
米沢の旅、まだまだまだつづきます。
当初の目的であった、きもの文化検定工房見学会もこれからです! ←レポート渋滞中
終わらないうちにまた山形にいくことになりそう…(・_・;)
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日本三大刺し子 原始布•古代織参考館 その3 / 2014年秋 米沢染織巡りの旅 その6
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