米織会館 / 2014年秋 米沢染織巡りの旅 その3
のつづき
原始布•古代織参考館へ
明治中頃の米沢の最後の機蔵とからむし豪商の館を移築し復元した建物です。
「布について語るなら、ここには絶対にいっておいたほうがいい」と教えていただきました。
初代館長である山村精(やまむらまさし)が、日本の原始布や古代織の復元と存続に取組み、
その際に集めた膨大な資料を展示した施設の資料館です。
編衣、藤布、科布、楮布、葛布、麻布、蕁麻布、苧麻布、紙布、ぜんまい織、琴糸織、アッツシ、
裂織、つづれ織、津軽こぎん刺し、南部菱刺し、など貴重な布と織機、資料が展示されています。
麻を栽培し繊維を取る以前、遥か昔の話(縄文時代から)ですが、古代の人々は野山に
自生する靭皮繊維から布を織っていたといいます。木綿が庶民に普及しはじめると需要が
なくなり、大変な手間がかかる原始布(自然布)は都市から離れた山村の集落にのみ残り
わずかに伝承されているという状況…。1950年(昭和40年)ごろ山村精は古布を手に
山村の織り手を訪ね歩き、見聞きした記憶を記録し研究そして復元されました。
山村精氏の婿にあたる館長の山村幸夫先生から詳しくお話をお聞きしました。
この茶棉のような綿、なんだかおわかりになるでしょうか?
ぜんまいです!
ぜんまいの新芽は綿のような衣で覆われています。これは雪から新芽を守るためのシェルター
のようなもので、寒い地域のぜんまいほど、羊の毛のようにワタワタしているのだそうです。
ぜんまい織をつくるため、織機をもって山形の雪山を超えたのだそう。
春、ぜんまいの新芽を採取した後、食用の茎と綿を分け、綿を集めてゴミを取り除いて、
天日でよく乾燥させます。
夏、90℃ぐらいで蒸し、乾燥させて真綿と混ぜあわせ糸を紡ぎます。
経糸は綿糸か絹糸、緯糸にぜんまいの糸をつかって織りあげます。
ぜんまいの糸はフカフカの手触りでした:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
ぜんまい織は保湿性と防水性が高いのが特徴。水を垂らしても、この通り!
脅威の撥水性です\(゜□゜)/
ぜんまい織のコート纏ってみたいですね…。
蕁麻、からむし、大麻、藤、しな、など原始布になる靭皮繊維から取られた糸
山村氏が蒐集している原始布をみせていただきました
藤布
葛布の道中着
葛布の直垂
紙布の道中着とアッツシ織
日本最古の衣服といわれる網衣(アンギン•アミギヌ) ←きもの文化検定1級問題向き
綜絖をつかった織機による織物以前の編み物、組紐に似ています。
染織文化講座の中で「北村武資先生が最初の織物は平織でなく羅だったのではないか?」
と学術的なことからというよりも織り手として思う、とおっしゃっていたというお話がありましたが、
確かに織機の前は編みものだったわけで、、、すると、すんなりそう思えます。
編衣はからむし、蕁麻、赤苧などの繊維かた績んだ糸簾のように編んでつくられた布。
縄文時代の遺跡から出土しています。
明治初期まで新潟県十日町市付近ではつかわれており袖無しの編衣が残されています。
北国ならではのものといえば、刺し子がありますが、南部菱刺し、津軽こぎん刺し、庄内刺し子
とあり、特徴があります。
そして、編衣、カッペタ、アッツシ、台湾の織機、韓国の織機と、、、織機の源流。
別記事にてまとめます(^-^)/
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ぜんまい織•編衣 原始布•古代織参考館 その1 / 2014年秋 米沢染織巡りの旅 その4
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