昨日、ひとえ仕立ての着物を着ていたら、「着物にはルールがあるの。貴女は雑誌にもよく載っていて目立つのだから、せめて胴抜き仕立てにしたら…。」と、アドバイスをいただきました。 <胴抜き仕立て> とは、文字通り、胴裏の胴周りの裏地がない、裾回し部分と八掛のみがついた一見、袷のようにみえるお仕立てのことです。 かつて、胴抜き仕立ての着物をつくったことがあります。固すぎた紬、足さばきが悪い木綿、そしてお茶会用の一つ紋付の色無地です。お茶席では袖口のふきが目立つので、単衣を袷にみえるように胴抜き仕立てにしました。 いずれも、袷よりは幾分かは涼しいかも…という程度で、ひとえ仕立てと比べたら暑く、何よりも、汗をかくのは帯周りですので、その部分に胴裏がないと、汗をかいたときに表地や帯に汗シミがひびくということがわかり、リスクのわりにはメリットが見出せず、それ以降は胴抜き仕立てはつくっていないのです。 そして「貴女は目立つのだから…せめて…」というお気持ちに反して申し訳ないのですが、目立つ存在であることを利用して「日常の着物は自由。衣更えの着用ルールよりも気候と体感を優先する」ということをむしろアピールしています。着物警察に注意されても諦めない着物生活をあえてネット配信しているようなものです。 9月に薄物を着る場合は、面積で透けてみえるとかなり悪目立ちしますので、そう違和感のないように墨色の長襦袢を着用するなど透け感を抑えています。 単衣か袷かは外見上は袖口と裾のふきが有る無しの違いだけで、共八掛が主流の今は目立ちません。なのでさほど気にしておりません。 なので、アドバイスはありがたく受けとめつつも、日常の単衣は袷に見せる必要も無しと考えております。 「続きをみる
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