2017年の「重陽の節句」は10月28日です。その頃はちょうど菊の見頃ですね。 今年の夏は雨も多く幾分か涼しくはありますが、五節句は旧暦でつくられたものですので、現在のグレゴリオ暦の重陽の節句である9月9日は自然界では菊の花は咲いていません。 ですが、菊の花は日照時間が短くなると開花する特性をもっていますので、それを利用し人工的に黒い袋で覆うことで開花を早めることだできます。栽培される電照菊は夜間は電球の明かりをつけ夏の昼間の長さに調節することで開花を遅らせ、希望の時期に照明時間を短くして花を咲かせているのだそう。 中国では奇数は陽の数とされその極みの9が重なる日は「重陽(ちょうよう)」とされました。菊は奈良時代末期に唐から伝来し、当初は薬草として使われ後に観賞用になります。ただし確証はなく、万葉集、古事記、日本書紀などには書かれていません。平安時代に極限られた人々によって栽培されますが、一般に普及したのは江戸時代になってから。重陽の節句が日本に伝わると、宮中では菊の花を浮かべたお酒を飲む菊花の宴を催し、菊花の杯で邪気を祓ったとされています。 節句の前夜には菊の花を真綿で覆い菊の香りを移します。重陽の節句の早朝に露に湿ったこの真綿で顔をぬぐい長寿を祈願するという日本独自の行事が生まれました。これが「菊被綿」です。 そういえば、シナ布の産地研修で山形県関川にいったときに食べた紫菊の酢の物がとても美味でした。「延命楽」「もってのほか」というのだそう。「天皇さまの菊の御紋を食べるなどもってのほか」とか「もっ続きをみる
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