記憶の扉を開けて、昨年秋の古代織産地連絡会の産地研修レポのつづきです。
木頭村へ / 2016年晩秋•阿波太布染織の旅 その5 のつづき^^/
旅の主目的の阿波太布製造技法保存伝承会のご指導による「阿波太布」づくりのワークショップ。この日はあいにくの大雨でできるかどうか危ぶまれたのですが、ちょうど甑蒸しをするときには小降りになっていました。強運♪
那賀川沿いで楮を甑蒸しし、創芸館で靭皮を取り出します。その後、太布庵で糸にして織ります。
阿波の太布は、阿波太布製造技法保存伝承会が原材料である楮栽培、糸づくり、機織りを古代からの手仕事として伝承していることと日本の服飾史の重要資料であることから、2017年に「国重要無形民族文化財」に指定されました。
国指定の文化財は時事的な試験問題としてつくりやすいので、きもの文化検定1級を目指している方は要チェック!試験をクリアするには問題づくりから。何でもそうですが相手の目線でまず考えるのが攻略の近道です。
●「太布」についておさらい●
「太布」は広義では綿花以外の植物から繊維を取り出して糸にし織りあげた布すべての総称。現代は工芸品として考えられ、主に楮や梶などの樹皮繊維の布のことをいいます。阿波地方では古くから楮から太布が織られていました。
●原料となる楮●
楮(コウゾ)には、赤楮(あかかじ)とうし楮(かじ)があるそうで、赤楮は和紙につかわれ、七夕の梶の葉にも似ています。うし楮は中が空洞になっていて表皮が厚いのが特徴。コウゾもカジノキもクワ科の植物ですが古来より読み方を含めて混同されることが多いようです。現在の主なコウゾはカジノキとヒメコウゾの雑種とされています。どちらもクワ科のコウゾ属の落葉木。
この木から葉が落ちた寒い1月に繊維を取り出すのです。
●甑蒸しによる楮蒸し●
甑(こしき)は日本で弥生時代からつかわれたという穀物を蒸す容器のこと。木製の桶や曲げ物になったのは平安時代からといわれています。蒸籠の原型。
口径85cmの大釜でお湯を沸かして
2mの穴がひとつあいた甑の中に楮の束をいれて2時間蒸し上げます
蒸し上がると…
蒸し上がりました♪
●樹皮を剥いで靭皮を取り出す●
この印は天地を揃えるためのもの。
スルスルスルッと靭皮が剥けて白い木が出現します。
自然布の糸づくりが楽しいのは、この植物の構造がみえることかも
ちなみに繊維となるのは剥がした靭皮のほうです。この白い木はつかいません。
この後、靭皮を灰汁で煮て籾殻をまぶして足で踏みこんで鬼皮(一番外側の表皮)を取って流水に晒します。そして三昼夜表と裏を返しながら凍らせます。凍ると繊維が柔らかくなるのだそうです。そして乾燥。(ここはワークショップでは割愛)
●木槌で叩いて柔らかくする●
乾燥させた皮がこちら
柔らかくするために木槌で叩きます
わりとドンドコ叩く。根元のほうが固いのでそこは入念に。
次は糸づくり〜織りです♪
しばらく阿波の旅レポがつづきます♪
そして宮崎と。来月の旅までにアップできるかな…@@;
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