日本橋三越にて第57回東日本工芸展が開催中(~4月25日まで)
関東、甲信越、東北、北海道に在住の作家を対象に毎年開催されている公募展です。伝統工芸展は、重要無形文化財保持者(人間国宝)の先生方の作品の最新作と共に、公募展ですので入選すれば一般の方のでも同じように陳列されます。出品資格も問われないそうです。染織、陶芸、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門で厳しい鑑審査を経て選ばれた作品318点が一堂に展示されています。
さて、工芸展では、会場全体を取り囲むようにある染織の作品の数々がその回の工芸展の印象を左右するようなところもありますが、今回は全般的に色のトーンは落ちついたものが多く、複雑な組織のものやドーンとインパクトのある印象強いものはなかったような気がします。
今回は初日に工芸会の先生方の勉強会と懇親会があるとのことで…、毎回そこを狙って!?いくのですが…、色々あって家からでられず。いつもお目にかかる先生方にお会いできずで残念でございました。゚(T^T)゚。
会場での撮影許可はいただいておりますが、掲載の許可はお会いできた作家の先生からしかいただけないので、ご紹介できるのはほんの一部の作品ですが…。
「先生」と敬称づけるのをやめてほしい、というご要望もいただいているので、きものカンタービレの表記では「さん」づけで統一させていただくことにしました。
小千谷縮作家の樋口隆司さんと
「微睡の夏」
蜻蛉が青空と白い雲に向かっていくような爽やかな作品。絣がピアノの鍵盤のようでもあります。裾の濃い色から肩山への色のグラデーションも美しい〜。
江戸小紋作家の廣瀬雄一さんと
「鮫に竹よろけ」
鮫小紋地の型と竹文様の型で染められた江戸小紋。写真だとわかりにくいのですが実に立体的で立ち上る湯気のようでもあり気球のようでもあり、面白い作品でした。
こちらの日傘は、廣瀬雄一さんにオリジナルで染めていただいたものです。
紬織作家の西橋はる美さんと
「滄浪」
佐渡ケ島の草木で染められています。透明感のあるブルーは臭木だそうです。臭木による染めは堅牢度が低いそうですが、この澄みきった色は魅力的。
型絵染作家の遠藤あけみさんと
「時雨」
シックな色ですが、白がとても効いています。雨にうたれる麦のようでもあります。型絵染は自由に描かれる友禅では表せないシャープな線と独特の甘さがあるように思いますが、遠藤さんの作品はその魅力が顕著。型絵染らしい型絵染だなと、いつも思っています。
着物を着たい人も着る人も増えています。しかしながら、着物をどこで買ったらいいのかはわからないという人は相変わらず多いです。そんな中でも、つくり手が明瞭である作品は、ブランド志向でなく情報が正確であるという面においてだけでも、たとえ高額であっても買いやすいかもしれません。もちろん、自分がコレを着てみたい!と感じるものがあるかどうかが大前提です。その出会いの場のひとつとして、伝統工芸展は貴重な機会だと思います。
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