きむらゆういち 原作 あべ弘士 画「あらしのよるに」
狼と山羊、食うものと食われるものの友情が描かれたお話。人間は登場しません。
昨年の南座での公演をみた方から「すごく良かったよ〜♡ 京都まで来る価値あり」とお聞きしておりましたので、歌舞伎座での公演をとっても楽しみにいたしておりました♪
さて、人間ではない動物たちをどう表現するのかしらん…、このポスターをみると邪馬台国の人と鬼のようにもみえるのですが。。。
さすがは役者さん。その動きや空気感は、下総角(みずら)に結った髪型の優し気な印象は山羊に、角のようにもみえた耳と獅子のような髪型は狼となりました。
※上記お写真は公演ポスターより
「あらしのよるに」は、客席を役者が走り回り、舞台からは嵐の風が吹きすさび(最前列だったので息ができないぐらいでした^^;) 、臨場感がたっぷりの舞台です。狼と羊の群れの対比表現や栗鼠や兎の可愛らしさは、歌舞伎版のライオンキング。
あらすじや前評判を知っていたこともありますが、それよりも印象に残ったのが、「これは歌舞伎ならではだわ〜」という空気だったのが、驚きでもありました。
思いがけなかったのは、新作歌舞伎なのに、ガッツリ古典歌舞伎の要素を抑えた演出です。台詞のない「だんまり」での襲い襲われの表現や、「飛び六方」での花道への退場。そしてしっかりと状況説明している長唄と義太夫節。
:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-以下ちょっとネタバレです:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-
演出で面白かったのが、「ともだちだけど美味しそう…」「ともだちだから」「食いたいな…」と、かぶの心の葛藤を義太夫が繰返し繰返し語るのに、かぶが義太夫に向かって「五月蝿いよ!なんでそういうこというの!?」と叫ぶのです(=◇=;)
義太夫が「食いたいな…」と本能を…、かぶは「やめやめ!」と理性を、そして義太夫があかんべーをするという━━━(゚o゚〃)━━━!!!
そしてこの世界観の中でも、梅枝の周りだけはどっぷり古典歌舞伎のお姫様であったというマイペース感が絶妙。
わかりやすい新作歌舞伎ですが、歌舞伎通の方にも「こうきたか!」と楽しめるような、この先の歌舞伎の可能性を示唆した舞台のように思いました。
「○○でやんすね」「ともだちだけど、美味しそう…」と呟く、優しくてお人好し(人じゃないけど)のかぶは獅童にピッタリ。この物語に新たな命を吹き込み、歌舞伎という世界に誕生させた獅童に拍手喝采を贈りたい
「あらしのよるに」は慌ただしい師走に心をホッコリさせてくれます。
観劇の後は、お鮨やお蕎麦つづきで、野菜に飢えていたので、山羊のごとく野菜尽くし。こちら、銀座のGUCCIカフェです。こんなヘルシーなメニューもありますよ♡
そういえば、めいは舞台で幸福草をムシャムシャと本当に食べていました。あれは三つ葉でできているそうです。