橘はミカン科ミカン属の常緑樹の柑橘類の一種です。日本では単なる植物文様ではなく吉祥文様としてつかわれます。
田道間守が垂仁天皇の命によって不老不死の霊力を持つ黄金色の果実「非時香菓(ときじくのかくのみ)」を求めて常世国に遣わされるという話が「古事記」にあり、その中に「非時香菓是今橘也」とあることから非時香菓は橘であるとされています。しかし、橘は古の日本に自生していた柑橘類であることから、別のものでは?という説もあるようです。
蜜柑類の花は春から初夏、果実は冬に実ります。この訪問着に描かれているのは、写実的な橘なのか、それとも蜜柑なのか橙なのかわかりませんが、花と実が同時に描かれていることで写実的というよりもすでに文様化されているので、橘を含んだ広義の意味で「蜜柑」の訪問着として季節を問わずに着ています。お気に入りの訪問着です♡
蜜柑文様の訪問着に龍村美術織物の清韻唐草帯
重厚感のあるこの帯には漆箔糸がつかわれています。
ミカンの花
ミカンの果実
ちなみに、文様化された橘の花
ヤマトタチバナの花
ヤマトタチバナの果実