「母衣への回帰 〜 志村ふくみ 〜」展が世田谷美術館にて開催中( 〜11月6日まで)
早春の京都、GWの沖縄と巡回していた展覧会ですが、満を持して東京での開催です。この世田谷美術館でのみの新作も展示されているのも見どころのひとつとなっています。
私がはじめて <志村ふくみ>という染織家の存在を知ったのは、中学の国語の教科書だったと思います。うろ覚えだったので改めて調べてみました。ネットって便利。
大岡信「言葉の力」光村図書出版 国語2 に載っています。
文章を引用したいのは山々ですが、著作権にふれますので、一言で説明すると…、
染織家の志村ふくみさんから、桜色は桜の花びらからではなく、開花直前の桜の樹皮から取り出すという話を聞いて、そこから、言葉というものの本質をあらためて知ったというもの。
この文章はとても印象に残っていて、桜は全身から春のピンク色に色づいていて花びらはその一端であるということに驚くとともに、言葉が人を表すように、その一端が全身を表しているということを自然が教えてくれる…ということにも感動したものです。解釈としてはじつは逆なのですが、私的には自然の命と力が印象強く残りました。そして自然が生みだす色というものにもはじめて興味を持ったように思います。
美しいキモノの特別読者鑑賞会では、志村ふくみ先生のお嬢さまの志村洋子先生による講演会がありました。
幼少の頃、志村ふくみ先生と東海道新幹線での移動中にみていたクレーの画集で色と形の面白さを知ったというお話や、小野豊(志村ふくみの実母)と富本憲吉、尾竹紅吉との交流、志村ふくみの紬に最もあういわれた国画会作家の古澤万千子の型にはまらない自由な染色のお話、そして展覧会の見どころなど、まさに、リアルにお聴きすることができた魂のリレーのお話でした。
展示されている作品群は、天井高く広い会場にあって何と力を放っていることか!豪奢な刺繍や文様があるわけではない、植物から染めた絹糸の紬。ですが、心が揺さぶられるのです。「美しいということは総てに勝る…」と、改めて感じ入りました。
私がとくに、ああ着てみたい〜と思ったのは、「秋霞」と「若菜」「半蔀」そして「月の湖」。ぜひ、肉眼でご覧になってみてくださいませ〜。
志村洋子先生のお写真は、鑑賞会の後に美しいキモノ編集長のご好意で撮影させていただく機会をいただきました。ありがとうございます♪
美しいキモノでヘアメイクと着つけを担当していらっしゃる松原志津枝先生がいらっしゃり、お直しとポージングも。
今回の展示会の見どころとなっている作品に、藍、白、黄金の琵琶湖の自然を表した三部作があります。日本人の原型の色であるというお話もありました。この日の洋子先生の作品も、藍と茶色が基調となっています。
何となく、志村洋子先生は藍の紬でいらっしゃるような気がしておりまして…、自分は紬ではなく藍色の染めのものを選びました。ジャパンブルーの織と染の共演!?
なので、このツーショットが撮影できてとても幸せ(〃∇〃)
お忙しい中をお時間をいただきましてありがとうございました。
志村ふくみ先生と洋子先生は、後継者育成事業にも力を注がれています。
次の世代への伝承に真摯にとりくまれ新しい試みもされるのだそうです。こちらは自分の眼でみてからまたご紹介させていただきたいと思います。
読者鑑賞会のお土産には鼓月のおせんべいをいただきました〜♪