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天然の冷蔵庫 「荒船風穴」へ その2 / 風穴と蚕種

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富岡製糸場と絹産業遺産群 世界文化遺産「荒船風穴」へ その1 のつづき(^_^)/

 

これが天然の冷蔵庫、世界遺産「荒船風穴」、国指定遺跡「荒船•東谷風穴蚕種貯蔵跡」ですヽ(゚◇゚ )ノ

 

そもそも風穴とは…?

天然の冷気が吹き出す洞穴や岩場のこと。洞窟の内外で生じる温度差や風圧によって、洞窟の出入り口から大気循環があるところのこと。日本では富士山麓や信州に多く点在しています。風穴は夏でも冷風が吹き出すことから古くから地元では貯蔵庫代わりにつかわれていたようです。

 

1865年(慶応元年)信州安曇野にある稲核風穴を前田喜三郎が蚕が孵化してしまわないように、卵のまま(蚕種のまま)とっておくために風穴をつかったのが風穴の蚕種貯蔵庫としてのはじまりとされています。こちらが蚕の卵を産みつけた蚕種紙。

風穴の利用によって年1回であった養蚕が年に数回可能になり、明治〜昭和初期の繭の増産しいては生糸の大量生産技術の向上に貢献しました。そして昭和初期冷蔵庫の普及とともにその役目を終えました。

 

荒船風穴は荒船山の北側山麓、下仁田町の西端の標高840mの山間にあります。荒船山の形、エアーズロックみたいです。

眼下には西上州の山並みに囲まれた集落があります

荒船風穴は文化財保護のために今年の春から有料となっています

地元のガイドの方がいらして説明をしてくれます。これは富岡製糸場もそうだったのですが、群馬県は観光として世界文化遺産の普及につとめているようです。見学証の繭は真中が凹んでいるので日本原産種ですね

荒船風穴は地元で蚕種製造業を営んでいた庭屋静太郎が1905年(明治38年)に私財を投じて建設。風穴の蚕種貯蔵庫としては最大級に成長しました。風穴の運営は風穴の管理棟と7km離れたところにある春秋館(庭屋家の自宅兼事務所)に専用電話をひいて行なわれ、日本各地だけれなく朝鮮半島からも貯蔵の依頼がありました。庭屋家の次男は高山社蚕種学校の卒業生で、風穴での蚕種の貯蔵の知見があったのだそうです。運搬は上野鉄道、下仁田駅からは車、春秋館からは馬車がつかわれました。

風穴の冷気はこの岩壁から下りてきます

1号風穴の中は1.8℃(((゜д゜;)))、現在地は20.9℃

ここは外気との温度差が体感できる真夏に行くのがおすすめ♪

世界遺産の中でも<体感型>というのは、他にはないのでは。

風穴の中は四角に区切られていてかつてはここに貯蔵庫がありました

明治時代の荒船風穴の写真

石積みに囲まれた倉庫になっています

2号風穴は4℃、現在地は23.1℃

足元が冷やっとする、と思ったら、足元にも温度計があり19.2℃でした

山の中ではありますが、道は舗装されていますので、きものに草履(カレンブロッソ)なら問題ありません。もちろん、きものを普段着として考えればの話ですが。

ちなみに岡谷近代化産業遺産群巡りの旧岡谷上水道集水溝は、カモシカに会っちゃいましたしモンペに地下足袋が望ましいです。レポはこちら☆

 

自然がつくりもたらした、天然の冷気が日本の近代産業の礎となっています。

 

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