共立女子大学の博士学位請求論文の公聴会へ♪
染織服飾研究の第一人者でいらっしゃる、長崎巌先生よりお声がけいただきました。
発表者は金井光代さん。大学卒業後に社会人としてメーカー勤務された後、大学院博士課程に進まれています。
論文のテーマ「日本人の〝衣服の季節感表現〟に関する研究 ~その特徴と文化史的背景~」
公聴会の聴講は久しぶりのこと。染織関連でははじめてです。
論文の概要は割愛いたしますが…、眼から鱗だったことをφ(.. )
「季節にあわせた装いを~。」などと、今日常的につかっている「季節」という言葉。「季節」という言葉は古くからあったものでなく、明治中期以降にあらたに出現した言葉なのだそう。日本の伝統文化と深く関わっていると思われる「季節」の語は、実は英語のseasonの訳語。従来のものでは表現できなかった新しいものゆえに生まれた言葉でした。なので今の季節という言葉の認識は明治前の日本人の感覚とは違うということ。
平安時代の「かさねの色目」は季節感表現のひとつだが、見立ての技法のひとつと解釈。この時代は平和だったゆえに、衣服による表現があったが、武家社会になると形骸化して失われていく。※生きるか死ぬかの時代は、祈りのような吉祥文様などが尊ばれる傾向だったと、以前に長崎先生の講義でもありました。
明治以降に衣服による季節感表現が大きくでてくるのは、三越の前身であった三井呉服店の衣服の流行をつくりだし季節の変わり目こそ新しい衣服の買い時という広告戦略によるものであった。という知見でした。
これは衣服の季節変化に対する心理的対応の説であって、衣更えなどの物理的対応の話ではなかったのですが、たいへんに興味深いものでした。
戦後に日本人の季節感覚が失われつつあることに危惧しだしたときに「季節感」という言葉がつかわれるということを鑑みても、現在のファッションの潮流に重なるものもあるような…。こういった研究と流通が上手く連動できないものなのだろうか…。←と、なぜか一般人の私が考えてしまう(+_+)
専門分野の先生方による質疑応答も含めて、とても勉強になりました。面白かった!
長崎巌先生と金井光代さんと
長い歴史の中での季節と衣服という事例、要因、さまざまな関連性の立証は、膨大な文献を漁ることになります。ここまで深く突き詰め研究されるということが羨ましくも思いました。
こちらは長崎先生の染織文化研究室。
膨大な染織関連資料と現存遺品、そして長崎先生から教えを受けるという贅沢さ!
学生時代は本当に学びたいことが把握できておりませんでしたが、今ならわかる…。
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「季節感表現」の出現と流用 / 共立女子大学の博士学位請求論文の公聴会へ
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