衣紋道高倉流のふたあいの会
●大君姿(直衣布袴)について●
直衣は「直の衣」の意で日常着のこと。ですが雑袍許可といわれる天皇の許可をいただければ、直衣姿での参内も許されるようになります。その際は、烏帽子の代わりに冠をかぶることとなります。これを冠直衣といいます。ただし冠直衣が許されるには、身分、年齢によって、さまざまな決まりごとがあるのです。
大君姿とは冠直衣姿の下襲の裾を長く引いた布袴にしたこの装いはとくに礼を尽くした装いです。
源氏物語「花宴」の箇所ででてくる、光源氏の直衣布袴(のうしほうこ)姿。
「ー桜の唐の綺の御直衣、葡萄染めの下襲、裾いと長く引きて。皆人は表の衣なるに、あざれたる大君姿のなまめきたるにて、いつかれ入りたまへる御さま、げにいと異なり。花の匂いもけおされて、なかなかことざましになむ。ー」
朧月夜の君と再会する右大臣邸に招かれての藤の花の宴では、正装の束帯の中で、光源氏だけが、華やかな直衣布袴の装束を纏える身分であり年齢でありそして季節だったということです。
●大君姿(直衣布袴)の着装実演●
小袖に指貫姿
単を着つけます
蘇芳色の穀織の下襲を着つけます
二藍の穀織の三重襷文の袍を着つけます
込み入れし全体を整え袖を取り流します
下襲の裾を引くとこんな感じ
二千円札にみられる「源氏物語 鈴虫二」
横笛を吹く夕霧は直衣布袴姿。欄干にかかっているのは、下襲の裾です。
束帯も裾を長く引きます。歩く時など石帯に引き掛けにするとこんな感じ。
帯のお太鼓結びと用途は同じようなものなので、姿も似ていますね。
十二単(五衣唐衣裳)の裳、束帯の裾
ウエディングドレスにみられるトレーンも裾が長ければ長いほど格が高いとされますが、動きにくいものを優雅に扱うということが品格の証ということは、西洋も同じということかもしれません。
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大君姿(直衣布袴)の着装実演 / ふたあいの会 at 衣紋道高倉流東京道場
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