染織文化講座の秋の産地研修は房総半島へ
10月半ばのこの日は晴天続きの中、珍しく雨
それでも房総半島へ向かうと晴れ間がでてきました♪
里見八犬伝の舞台となった安房の国、館山には一子相伝といわれている染織があります。それは館山唐桟。伝統的な技法そのままに、今でも唐桟が織られているのは明治新政府がつくった士族授産所で染織を学んだ館山の齊藤家だけといわれています。
唐桟とは室町時代に伝来した木綿の縞織物。インドのセント•トーマス島からもたらされたことから、サントメ縞といわれ、唐渡りの唐サントメから唐桟となったといわれています。※オランダ船によってもたらされましたが、当時は舶来ものは唐ものといいます。
細い木綿糸で織られる唐桟は江戸時代は庶民の手に届くものではなく、とても高級品でしたが、欧米での産業革命によって細い木綿糸がつくられ、開国後は日本に安価の細い木綿糸が輸入されるようになり、それに目をつけた川越商人によって川越唐桟が織られるようになりました。川唐といわれ親しまれたのだそう。川越唐桟は衰退しましたが現在は川越唐桟手織りの会によって織られています。詳細はこちら☆
士族授産所で学んだ齊藤茂助の曾孫にあたる館山唐桟当代(4代目)の齊藤裕司先生。
資料でみたことのある工房でしたし、同じ高機のバッタン織機でしたが糸は掛かっていなかったので、近々では織られていない様子。こちらで染料の説明がありました。手にしていらっしゃるのは山桃の渋木の樹皮で染められた糸です。他に藍、五倍子、檳榔樹、カテキュー、ゲレップ、夜叉五倍子(やしゃぶし)の7種類の染料を中心として300色以上に及ぶ色をつくりだすのだそうです。他に茜、コチニール、化学染料もつかわれるとのこと。
カテキュー。アカシアの葉や樹皮や実から煮だして固めた褐色染料
ゲレップ。クワ科の樹皮と芯から抽出したもの
手前がインド茜、奥が日本茜で染めたもの
コチニール。カイガラムシから抽出したもの
通常は海風の吹かない晴れた陽の朝4時から草木染めをするそうでう、こんな雨の日に草木染めをすることは全体にないのだそうですが、この日は見学者のために草木染めの実演をしていただきました。
館山唐桟の草木染めは、染料の調合は計量するものでなく、味覚での判断。これが伝承されてきた一子相伝の技なのだとか…。←技も色々ですね。
染料が渋みが強ければ濃い色、甘くなると薄い色になるのだそう。味覚が判断基準なので、草木染めをする前は何日も前から香辛料の強い物やお酒はいただかないのだそう。
何事も体験してみなければわからないので、舐めさせていただきました。この時は渋かった(><;)
山桃の樹皮からとった染料です。というから渋くても美味しいのかと思ったのですが不味かった薄めると若干甘い味に。
泡立つほど染料を木綿糸に練り込むように浸けていました。
絞って水気を切って
石灰水の入った媒染剤に浸けると、見事なオリーブグリーン!
この色、素敵!と思うのですが、これで留まることはないのです。藍染めと同じく空気に触れた一瞬だけの色。染めは2回繰り返しますが媒染は1度。なぜなら糸が痛むからだそうです。
齊藤先生が手にしていらっしゃるのが、媒染後の木綿糸です。優しい茶色に染まりました。
館山唐桟の魅力は木綿でありながら絹の如く柔らかいところにあるように思います。それは織りあげてからの砧打ちの成果かと。3000回の砧打ちをすることで柔らかく織り目がしまって光沢が生まれるのだそう。
館山唐桟は明治以降になってからつくられたものなので、元々和棉ではなく米綿やエジプト綿がつかわれています。
一子相伝の技とお聞きすると気になるのは後継者ですが、齊藤先生にはお嬢さまが二人いらっしゃり、興味をもっていらっしゃるのだそう。成人式に館山唐桟の振袖を着ていらっしゃったお写真を拝見いたしましたが、とても素敵でした♪
次は、房総半島の真ん中へ藍染めに向かいます(^-^)/
この館山で喘息の発作が勃発し…、この秋は最悪の体調がつづいています
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館山唐桟の斉藤裕司先生を訪ねる / 染織文化講座 秋の産地研修
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