東京国立博物館本館にて開催中の呉服商「大彦」の小袖コレクションへImage may be NSFW.
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呉服商「大彦」は当時友禅といえば京都だった時代1875年(明治8年)に大黒屋初代、野口彦兵衛
が東京にて創業。
様々な染色技術の研究を行い独自の意匠で、京友禅に劣らない東京友禅をつくりだしました。
あまりにも芸術性の高すぎるその作品は、観賞用として世界中にコレクターがいるといわれています。
野口彦兵衛には功造と真造という息子がおり、次男の真造が「大彦」を継ぎ、長男の功造は「大羊居」を創業。その後、功造は子に恵まれず、真造の娘が養女となって「大羊居」を継いだそうです。
現在の「大彦」は新しいものをつくっていないため残念なことに新作をみることはできません。
「大彦」の三代目野口彦太郎の夏の訪問着の装い
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大彦はきものの原型である江戸時代の小袖を数多く蒐集しました。
文明開化後の明治時代には江戸時代の小袖は歴史的美術的価値を見出されることが無いままに
古着として売り買いされていたのだそうです。その中で呉服商のコレクションは貴重。
大彦コレクションは震災と戦争で数が減ってしまったといわれていますが、残ったものが昭和40年代
に東京国立博物館の所蔵となりました。
現在も常設展で度々展示されていることや、資料としてつかわれることが多いこともあり、
美しいキモノなどでお馴染みの作品がズラリ。
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「帷子 白麻地風景模様」
茶屋染といわれる帷子(麻の単衣)の代表的なものImage may be NSFW.
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茶屋辻の茶屋とは茶屋染という江戸初期(寛文)の頃に開発された模様染めの技法のことであり、
辻とは帷子のこと。中級武家の女性に好まれた夏の正装のきものです。
大奥の衣服制度にも取り込まれ、中臈以下が着用。ちなみに御台所や御簾中が着用したのは本辻。
明治維新後、庶民にも格の高いきものとして受け入れられ、茶屋辻に染め上げられていた模様そのもの
を「茶屋辻」というようになりました。
麻地に藍染めを主として部分的に薄黄色が入ったもので、水辺の風景に橋や蛇籠、草花、
家屋が総模様で描かれています。昔はこの家屋が茶屋なのかと思っておりました(^_^;)
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「小袖 薄黄縮緬地縞島取梅枝模様」
この縞は織りでなく友禅の技法で描かれていますImage may be NSFW.
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この縞は織りでなく友禅の技法で描かれています。
大彦コレクションでは、友禅のことを「友禅」ではなく「加賀染」と表記しているのも特徴。
糸目糊置きをつかったものが友禅の技ですが、この謂れは諸説あります。
私的には、随所にみられる大彦の着物オタク的なこだわりが、大彦の作品に反映されているところ
に強く魅かれているのかもしれません。
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「振袖 白綸子地鶴亀松竹梅模様」
段熨斗目に意匠が配置されています。
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魅かれたのは、正面から描かれた蓑亀
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「小袖 白綸子地遠山帆船東屋模様」
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雲や遠山模様というと薄暈しになっているものが多いですが、これは輪郭を刺繍し際立たせています。
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コレクションの中には、インド更紗や彦根更紗も。
大彦の意匠は古典的なものより、オリエンタルなものが多いのですが、こういったものから影響を
受けているのかもしれません。
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「彩色雛形九重錦」
現存する最古の彩色雛形本。青井南ト筆。天明4年。
雛形とは、いわば江戸時代の美しいキモノのようなもの。きものの見本帳でありファッション誌です。
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古典的な意匠はそれを生かす技があれば何時の時代でも素晴らしい衣裳となります。
問題はそれを生かす技があるか、体現できるだけのもの(時間だったり予算だったり)があるか、
ということになるようにも思いますが…、大彦が今はなくなってしまったということが、
本当に残念でなりません…。
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東京国立博物館の常設展は東京国立博物館所蔵のものに限って一般の撮影が許可されています。
今回は、広報室に事前許可をいただき、撮影ときものカンタービレ♪への掲載許可をいただいております。
「きものカンタービレ♪」のFacebookページImage may be NSFW.
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呉服商「大彦」の小袖コレクション at 東京国立博物館 本館特別室
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