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古代米琉 諏訪好風先生のお話 at 野乃花染工房 / 2014年秋 東北染織巡りの旅 その2

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上杉神社~上杉家御廟所 / 2014年秋 東北染織巡りの旅 その1 のつづき

米沢にいくチャンスがあったら、ぜひ行きたいと思っていたのは、米琉の工房見学。

ここでおさらいφ(.. )
米沢、長井、白鷹で生産されている紬の総称を「置賜紬」といいます。
名君として有名な米沢藩9代目藩主上杉鷹山は藩の財政立て直しの政策として、
養蚕を奨励し越後や京都から織物の職人を集め技術を習得させ技術を定着させました。
その技術は現在まで受け継がれています。

江戸時代、北前船の交流によって北に運ばれた琉球の織物は千石船に積まれて
最上川を遡って山形県長井市の辺りまで運ばれていました。
この辺りは置賜地方といわれ紬織の産地であり、琉球絣の影響を受けたといわれています。
1875年(明治8年)から琉球色の強い長井紬は「米沢琉球織物」通称「米琉」
といわれ、明治後期にその生産は隆盛を誇りました。
戦後その技術は途絶えてしまいますが、置賜紬伝統織物協同組合連合会の研究に
よって、1999年(平成11年)米琉は「古代米琉」として復興されました。

米琉はきもの文化検定の教本などでは「置賜地方で織られる琉球絣に似ているもの」
とあるのですが、今回の米沢行が決まって各所に問い合わせをしたところ、現在、
米沢に米琉をつくっている工房はない…とのこと。。。ガーン( ̄□ ̄;)!!

置賜紬伝統織物協同組合の理事長が諏訪先生ということがわかり、諏訪先生にご連絡すると、
「米琉のことを説明するなら3時間は必要」とのことで、きもの文化検定の工房見学の
前日に個人的に工房にお伺いさせてただくことになりました。

野乃花染工房5代目の諏訪好風先生とカメラ

見せていただいた米琉の裂。あれ?、琉球絣とは似ていないような…。

明治中頃には「大島•結城•米琉」と紬の代名詞のようにいわれ広く流通したのだそうです。

諏訪先生はある蒐集家の方の裂地を年代別に仕分ける作業を手伝ったことから、
米琉に魅せられ、戦後途絶えてしまったこの織物を復興することに尽力されることになります。

残された小裂から絣の技法、染料を研究。素材となる生糸づくりから開発することに。
生糸は白鷹産の曙という品種の蛾を5匹、小淵沢にあった農林水産省蚕糸試験場から
譲り受けて生育するところからスタート。この曙の生繭を宮坂製糸所の座繰りで生糸にします。
宮坂製糸所の生繭の座繰りについてはこちら☆
これによって、細くて光沢と弾力のある生地が織れるようになったとのことでした。
琉球絣と似ているのは普通の紬よりも膨らみと弾力がある生地のことだったのだそう。

染料は、黒喪服の3度黒染めにもつかわれるヘマチン(ログウッド)とカッチの草木染めです。
カッチは東南アジアに生息するマングローブの一種で双子蛭木の樹皮からとれる染料のこと。

樹皮にタンニンが多く含まれクロム媒染で独特の茶色を生みだすのだそう。
このカッチはもう手に入らず、これ以上つくることができないのだそうです。

絣は小裂から約30種類の復元に成功。
この経緯絣を織るために織機も開発することになったのだそうです。

上に木枠がない織機でした!

絣は種糸をつかった手括り。年代別に区分されサンプルがつくられます。

まずは藍染めで復元されました。これも素敵~(〃∇〃)ドキドキ

こうして戦後途絶えていた、米沢の染織の技が甦ったのです。

古代米琉の口織と置賜紬の証紙。
米沢、長井、白鷹で各々組合があったのが規模が縮小され置賜紬として統合されたのだそう。


すると…、私の着ているものは? 
米琉の特徴は赤小口といわれる赤い絣足。そういえば久米島紬にもみられますね!
この辺りが、今、広義でいわれるところの米琉もしくは米琉風?の特徴なのかもしれません。

戦前の米琉は琉球絣と絣が似ていたというわけでないそうですが、後からつくられた
長井などで米琉として織られているものは、琉球絣を意識してつくられたということかも。


米沢にいったら米琉がたくさん織られているのかな~っと、調べるまでは思っていたのですが、
米沢では、米沢織、米織という言葉は聞いても、米琉の名前はでてこない。
残念ながら今の米沢で米琉はつくられていないのだと実感いたしました(ノ_・。)

明治の技を復興するための探究心と不屈の精神、それを体現する技。
こういったお話をお聞きするのはワクワクします♪ そして勉強になりました!
諏訪好風先生ありがとうございましたm(_ _ )m

野乃花染工房見学は日参することに。
後ほど別記事でまとめます(^-^)/


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