染織文化講座 「友禅」/ 千總に志ま亀の京友禅鉄板コーデ / 2014年夏 金沢の旅 その10
のつづき
宮崎友禅斎が晩年に身を寄せたといわれる、加賀藩御用紺屋の頭取「太郎田屋」
の家督を務めた鶴見吉太郎の直系の工房、鶴見染飾工芸へ。
鶴見吉太郎の孫にあたる日展の加賀友禅作家鶴見保次先生
きものは着姿が大事。芸術品というよりも、人が着用した時に一番美しく見えるように
常に柄の配置を考えているとのこと。
加賀友禅の落款は朱肉でなく糸目糊で作品ひとつひとつに描き入れられるのが特徴。
加賀で加賀友禅作家と称されるには加賀染振興協会に落款登録をすることが必要です。
加賀友禅作家のもとで7年間以上の修行をし、独立すると相応しい技能をみにつけたときに
加賀染振興協会の会員2名の推薦を受けて申請することができます。
加賀友禅の作品は、毎週木曜日に加賀染振興協会の審査があり赤い証紙と割り印がおされます。
息子さんである加賀友禅の鶴見晋史(つるみくにちか)先生
青花下絵、彩色、中埋め、地染め、蒸し、友禅流しの工程の説明をしていただきました。
加賀友禅は手描きによるもの。
鶴見先生の工房の棚には過去の下絵がギッシリ(ノ゚ο゚)ノ
今回は見学だけでなく、実地研修ということで体験もありヾ(@°▽°@)ノ
●下絵
白生地に青花で図案をなぞっていきます。
青花は大帽子花の色素から採取されるもの。水洗いで落ちます。
●糸目糊置き
ご指導くださったのは、糸目糊置師の東正博先生
加賀友禅は分業ではないといわれていますが、専門の職人の方もいらっしゃいます。
糸目糊置きの技能を競う賞もあるのだそうです。
加賀友禅でつかわれる糊の成分は、糯粉・糠・塩・石灰。糊は白いので置いた糊を
わかりやすくするために蘇芳が入った糊(赤糸目)と亜鉛末が入った末糊(黒糸目)を
つかいわけるのだそう。蘇芳が入ったものがより細い線でつかうとのこと。
筒先から絞り出すように糊を置いていきます。
糊を均一にだすのが難しい…。持ち方にコツがあるようです。
●彩色
加賀友禅ならでは「先暈かし」の色挿し
伸子を持たずに彩色していたことに後で気がつきました…(゚_゚i)
●中埋め
彩色したところに地染めの色がつかないように糊を伏せ大鋸屑をかけます。
大鋸屑は糊が乾いて割れるのを防ぐためと、引き染や蒸しの工程で軟らかくなった糊が
他の生地に触れて付着するのを防ぐためにつかいます。
●地染め→蒸し
地染めをし蒸して染料を定着させます。
●水元
友禅流しです。余分な染料や糊を落とします。
鉄分が少ない軟水のほうが良いとされ、浅野川での友禅流しは金沢の冬の風物詩として
印象強いです。
今は水元を持っていない工房は加賀友禅染色団地で行なわれることがほとんどだそう。
加賀友禅の工程の中のいくつかを体験させていただいた貴重な工房見学となりました。
その技の難しさを身を以て知ると、ますますきものが好きになりますね
丸山先生と鶴見先生のお話がまた興味深く、耳をダンボにして聞いていました~。
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染織文化講座 「加賀友禅 実地研修」at 鶴見染飾工芸 / 2014年夏 金沢の旅 その11
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