「きもの展」内覧会レポのつづき、その3 です。 疫病の流行がなかったら世界中で話題になったかもしれない展覧会。 世界中の人々に知っていただきたかった日本の染織の技と流行、その成り立ち。 安土桃山時代まではいわば特権階級までのものだったものが、江戸時代に泰平の世が訪れたことで町人にまで波及。そして日本の工芸の技は様々な革新を遂げます。木版技術が発展し出版文化が生まれ、庶民の識字率は世界で最も高いものでした。雛形という現代でいうファッション雑誌に類するものが誕生し、世界に魁けて流行という概念が生まれます。 「きもの展」の特徴は、技法や加飾表現が生まれた理由とその時代背景がみえるようになっているところ。 通常、小袖の展示は衣桁掛けされた後姿のみのことが多いですが、ガラスケースを中央におくことで、前姿もみることができるようになっている展示もあります。 豊富な資料と絵画展示によって着装姿もわかるように展示されているのが、モードを謳うだけのことはある。 着装姿であまり知られていないのは、安土桃山〜江戸時代の武家女性の夏の正装である腰巻でしょうか。 夏の小袖の麻地の帷子に絹の小袖を打ち掛けるには暑すぎる。そこで腰の位置で芯を入れて固くした提帯に小袖の袖をひっかけるようにして着装するようになりました。 左) 腰巻 黒紅練緯地梅椿花菱亀甲模様中)提帯 萌黄白段格子源氏車続きをみる
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