角界には流儀があります。すべてが番付順。髪型、着物、浴衣、帯、足袋のあるなし、履物、すべてが番付によって決められているといっても過言ではないと思います。 三段目に昇進すると下駄からエナメルの雪駄を履くことが許され、幕下に昇進すると足袋の着用が認められます。そして博多帯をつかうことが許されます。博多帯は力士のひとつの目標なのです。 十両に昇進すると関取となり場所入りには染め抜きの着物を着ます。畳敷きの雪駄も許されます。 視覚的に番付を表現することは、向上心を煽る効果があり「上のものは若い力士へ < いつか自分も! >と思うものをみせなければならないから…」と、横綱稀勢の里は語っていました。 五月場所の楽しみは、入り待ちでみる力士の夏の着物の着流し姿。 十両以上の力士が着用を許される力士の夏の着物には、勝負に賭ける想い、郷土愛、そして四股名などが染め抜きで意匠として表されます。1反の反物を平面裁断することによってつくられる着物は、纏うことのできる絵画でありキャンパス。着物には意匠表現を可能にするための様々な染織技法がありますが、力士の夏の着物は技法よりも続きをみる
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