着物は着るものですが、礼節と教養が見え隠れするのが着物の良いところでもあります。これはマウンティングではなくて「わかる人にはわかるかもしれない…」ただそれだけのこと。人様に押しつけるような言動はそれこそ恥ずかしいことだと思います。あくまでも自己満足の世界です。 世界でも稀な戦乱のなかった江戸時代に泰平の世が訪れたことで、文化は特権階級のものだけでなく町人へ波及。そして日本の工芸の技は様々な革新を遂げます。木版技術が発展し出版文化が生まれ、庶民の識字率は世界で最も高いものでした。絵画的表現を可能とした友禅染めの技術によって雛形が刊行され流行が生まれ、浮世絵では多色刷りの技法が確立し役者絵の中の意匠にまで精緻な文様表現がされるようになり役者文様を流布させることにもなります。歌舞伎役者文様としては「かまわぬ」「菊五郎格子」「斧琴菊(よきこときく)」などがあります。 こうした文様表現を纏う楽しみというのは、着物ならでは。 例えば「留守模様」人を描かずに道具立てで物語の場面を暗示させた意匠のことです。わかりやすいところでは、燕子花と八橋で「伊勢物語 第九段」、紅葉と火焔太鼓で「源氏物語 紅葉賀」、御所車と夕顔で「源氏物語 夕顔」など。 教養というより駄洒落に近いかも…というのが、前述した歌続きをみる
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