美術館にはそれぞれ得意分野やこだわりがあります。 三菱一号館美術館は過去に「KATAGAMI style」「浮世絵」など、肉筆ではない技法に着目した面白い展覧会を企画しています。その流れなのでしょうか、現在開催中の展覧会は、版画とポスターです。 「パリグラフィック ロートレックとアートになった版画ポスター」展 (〜1月8日まで) 産業革命後、技術革新が進み様々な分野での効率化と量産化が進みます。そして人は都市部に集中し広告の需要が高まりました。そういった中で19世紀末のパリはロートレックやミュシャが新たな芸術分野を切り開きます。 カフェコンセール(音楽喫茶)の宣伝ポスターアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「ディヴァン•ジャポネ」 石版画(リトグラフ)の技術の発達は大判の紙に多色刷りの絵を可能とします。リトグラフとは水と油の反発作用を利用した版画です。 ロートレックが実際につかっていた石板。今でも刷ることが可能なのだそう。ファン•ゴッホ美術館の所蔵 こちらはジャン•エミール•ラブルールの木版画の版木。版木をみるとインクがのる部分とのらなかった箇所が確認できます。 量産品である版画は世紀末の前衛芸術家たちによって絵画と同じ芸術の域に高められ、これを収集する愛好家が生まれました。そして、版画、ポスターといっても大衆への広告向けと上流階級の鑑賞向けのものがつくられるようになります。この辺りは染織品と同じ潮流ですね。 展示室ではロートレックのポスターが貼られパリの街並を再現するという新しい趣向も。ポスターにあわせてマフ続きをみる
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