伝統工芸士の方々の中では周知のことでも、一般人には以外と知られていないのがこのイベント。伝統的工芸品月間国民会議全国大会は、伝統的工芸品の理解と普及を目的として1984年にはじまりました。産地の活性化を推進させる目的もあり、全国各地で11月に開催されます。そして今回はじめての東京大会となりました。東京国際フォーラム、KITTE、TOKIA、丸ビルの4ヶ所で、展示、販売、実演、体験といった、様々な工芸を知る催しが行なわれています。 伝統的工芸品とは、伝産法によって定められた必要条件を満たしたものをいいます。 ①主に日常生活でつかわれるもの(生活に密着し一般家庭冠婚葬祭行事を含む)②製造過程の主要部分が手づくり(補助的工程に機械導入も可能)③伝統的技術または技法によって製造(100年以上の継続が条件)④伝統的に使用された原材料(100年以上の継続、ただし持ち味を変えない範囲で同種の転換は認められています。)⑤一定の地域で産地を形成(おおよそ10企業、または30人以上を想定) 2017年現在は225品目、その内染織関連は52品目が認定されています。これらには、伝統マークがついた伝統証紙(通称:伝産証紙)が貼られています。 「この証紙がないと偽物なのか…?」というご質問がありそうなので、先に申しあげますが、伝産証紙はあくまでも<伝産指定になっているものか、いないものかの違い>です。また都道府県や各組合が発行する証紙もあります。ときには問屋が独自で発行するまがいもののような証紙も…。それはまたいずれ。 初日には日本伝統工芸士会会長の京友禅作家の田畑喜八さんと博多織の小川規三郎さんによるトークショーがありました。 ☆伝統的工芸品はなぜ高いのか…?つくるのに時間がかかる(制作だけではなく技を身につける時間を含めて)。そしてやはり流通の問題。 ☆着物を着ることについて何月から単衣とか袷とか気にする必要は全くない。第三者に失礼にあたらない装いだけを心がけること。そして、絹でなくても、化繊でも何でも良いから着物を着て欲しい。はっきりいって伝統工芸品は高い。なのでまずは量産でも廉価版でも何でも良いから着物を着ること。着ていたら違いはわかるようになる。 田畑先生からは、着物と帯はあくまでも人を美しくみせるものであり、着物を着る人を華主(かしゅ)という。着物や帯でなく着る人が主人公でありだから化粧は大事。そして着物と帯の関係は1+1=2ではなくて、5や10にならなければいけない。小川先生からは、帯は着物があってこそ生きる。常にそれを意識してつくる。つくり手は、ニコニコ、コロコロ、ハキハキが大事。学ぶには常に時間より早く準備をし、周りを清潔にし、心をキレイにしておくこと。 会場は、伝統工芸士を目指す若い女性が多かったこともあって、そうした方々へ向けたお話でした。 小川規三郎先生と7月にご自宅兼工房を見学させ続きをみる
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