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「ファッションとアート 麗しき東西交流」展 内覧会 at 横浜美術館

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ここ数年、染織に関するものや、服飾文化を美術として捉えた展覧会が増えてきたように思います。着物を着る人も増えて着物で美術鑑賞を楽しむ方も増えて相乗効果♡

 

横浜美術館にて開催中「ファッションとアート 麗しき東西交流」(〜 6月25日)の内覧会へ。

 

菖蒲の季節にあわせて菖蒲の御所解文様の染め帯でいきました。すると菖蒲文様のドレスが展示されておりましたヾ(@°▽°@)ノ

 

日本の着物は江戸時代にオランダ商船を通してヨーロッパへ流出していたといわれています。そして明治になり武家社会が終わるとともに、大量の型紙をはじめとした日本の工芸品が一気にヨーロッパに流出することになります。産業革命後のヨーロッパでは日本の手仕事による工芸品は洗練された工業的意匠として賛美され、アールヌーボーやユーゲントシュティールに多大なる影響を与えました。そして浮世絵と共にジャポニズムの大ブームを巻き起こすことになります。


明治期の染織の技法や意匠のヨーロッパと日本の関係は、数多くの美術工芸品に反映されていますし、日本の染織や工芸、そして美術だけでなく、西洋の服飾にみられるところも追っていくととても興味深いです。

 

西洋では建築や庭をはじめとして衣裳も中央からの左右対称が基本。これは日本の影響を受けたと考えられているフランスのドレス。

日本の装束は左右比対称の柄の配置が多くみられますが、自然がもつ美は左右対称ではないこと、そして着物をキャンパスに見立てるという独特の考えから基づいていると思われます。

 

こちらはフランス製のコート

よくみると兜が刺繍されているのです。

 

この展覧会は横浜美術館にて開催されることに深い意味があります。

1859年に横浜港が開港され、横浜は日本の近代化を大きく担った製糸業と生糸貿易の世界へ結ぶ窓口となりました。そして居留地ができ異国の文化がいち早く入ってくるようになります。日本の工芸は西洋で人気を博し横浜はその中心地となったのです。

 

羽二重地のキルティングの室内着ドレスは来日外国人向けのガイドブックで紹介された織物商の椎野正兵衛商店の製作。組紐の房つきになっています。

後ろの屏風は芝山細工の芝山象嵌。

 

西洋はコルセットで雁字搦めのドレスの時代。日本のきものはコルセットをしなくても着ることができる開放的なものとして室内着として流行したのだそう。

 

孔雀の刺繍の打掛のようなものは、飯田髙島屋がつくった輸出用室内着

 

左は絹サテン地の輸出用イブニングコート。飯田髙島屋の製作

右は絹縮緬地の輸出用イブニングコート。波に千鳥の刺繍が入っています

 

日本の染織が海外でドレスとなった例。

大和和紀の「ヨコハマ物語」を彷彿させます。

軍配文様に四季草花の描き疋田の御所解文様。江戸時代末期の武家女性の小袖です。

真ん中の赤いドレスは紋織物、右の竹に雀は竹は摺り友禅、雀は豆描き友禅の楊柳地。

 

日本が西洋に与えた影響だけでなく、開国によって西洋化した日本の服飾にも着目されています。

 

女性の洋装化はまず宮中で推進されました。そして1883年(明治16年)鹿鳴館ができドレスの着用と西洋式マナーが必須とされたことによって、日本では上流階級から洋装化がすすみます。

 

昭憲皇太后の大礼服(マント•ド•クール)

 

大礼服は最も格式が高い礼服です。明治~昭和初期の戦前まで、即位の礼や新年の拝賀に着用されました。

ワンピースのように見えるのですが実はツーピース型です。
それは「お清」と「お次」という宮中の習わしからきています。衣紋道と同じく、陛下の上半身をお着せする女官と下半身をお着せする女官がおり、衣裳はすべてツーピースの仕立てになるのです。

 

見どころはなんといっても、ドレスガウンといわれる輸出用室内着です。日本の着物は一反の反物を8分割しますが、これにはマチがあり裁断図からつくられていたのだそうです。

そして西洋のドレスは活動性と機能性からコルセットから開放されていきますが、直線的で平面的なデザインにつかわれたのが日本的な意匠であったということにも着目しています。

ああ、深く考えるとキリがないほど、興味深い…。

※撮影及び「きものカンタービレ♪」への掲載は横浜美術館より許可を得たものです。
 

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相互交流までの余裕がなく心苦しく思いますが、励みになっております。
皆さまの寛容さと染織に対する好奇心が私の原動力です♡

 

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