枕草子に「青畳と高麗縁の取り合わせが美しい」とあります。私も大好きです。
着物収納のためにつくる部屋には、高麗縁の畳を敷き詰めたいと考えて、畳と畳の大紋高麗紋をあわせるため、紋にあわせて畳床の墨打ちをし、それにあわせて障子と収納を設計しました。
大紋高麗縁は雲形と菊が織りだされた綿糸の浮織物。神社仏閣の座敷や床の間でつかわれています。もともとは、皇族、摂関家、大臣が座る畳の縁につかわれていました。時代考証としては間違っていますが大河ドラマのセットではよくつかわれています。
畳と畳の文様をきっちりと合わせるには伸縮性のある綿の織物でないとできません。今では床の間につかわれるためのものなので痛みやすいのが難点。
これは、大紋高麗紋縁の白中紋。
大紋高麗紋縁には黒、茶、白とあり、大きさも、大中小があります。
その他に小紋高麗縁(九条紋)といわれるものがあります。公卿が座る畳の縁です。
大紋高麗縁は紋は四つの幅で織られています。
見本として取り寄せたポリエチレンの糸でつくったものはこちら。紋は2つの幅で織られています。こちらは布としては丈夫ですが織物としての重厚感がまったくありません。比べてみるとよくわかりますが、偽物ならではですね^^;
畳の縁つけの工程です。
畳の面に高麗縁の裏側を大きなステープラのようなもので固定
縁の内側に打下紙をいれて縫い込みます
大きなミシンのようなものでガシャンガシャンと縫っていく
縁の幅を均等にするために渡り線をいれます
畳縁を折返して角をつくります
畳縁の側面から縫い込みます
断熱性と防湿性の機能を重視して畳床にはスタイロフォームを使用
ちなみに、雛人形にみられる繧繝縁(うんげんべり)。
最も位が高く、天皇、上皇、太皇太后、皇太后、皇后、三后に準じた准后(皇族、摂関家、将軍家、高僧にも与えられた称号)だけが座ることができました。
繧繝はきもの文化検定1級に出題されたことがあります。
1420年(応永2年)に恵命院宣守の著された有職故実書「海人藻芥(あまのもくず)」 によると、「帝王、院は繧縣繝縁なり。神仏前の半畳は繧繝縁を用う。この外実に用うべからざるものなり。大紋、高麗をば親王、大臣これを用う。以下さらに用うべからず、大臣以下公卿は小紋の高麗縁なり、僧中は僧正以下同じ。有職か非有職は紫縁なり、六位侍は黄縁なり、諸寺、諸社三網等みな菫縁を用う云々。四位五位の雲客は紫縁を用うなり」とあります。
昔は畳によって「ここには座ってはいけない」とわかりやすかったのでしょう。着物収納部屋に格の高い大紋高麗縁というのもどうかと思いましたが、ここは部屋の調和と織物としての美しさだけににこだわることにしました♡
しかし…、せっかく畳ができたのに、リフォームの施工ミスが発覚し再び一部解体することに。いったいいつになったら完成するのか…(T▽T;)
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