日本人にとっては絹と同様に、いえ、一般人にとっては絹以上に身近にあったであろう「大麻」という繊維。戦後に大麻取締法が制定され日本では大麻草の栽培が禁止され現在では一部の農家での許可制となっています。
日本人の生活と共にあった大麻の使用目的は、かつては茎から採取される繊維としてだったはずなのですが…、葉と花にあるテトラヒドロカンナビドール(THC)という薬理作用による使用目的のものと混同されてしまい、「大麻」…という言葉を口にすることも憚られるような状況になってしまっています。大麻という植物にはTHCの含有量が多いものと、繊維として向いているものがあります。かつての日本に自生していた大麻は繊維として向いているものです。
そして、「麻」という言葉が、大麻(ヘンプ)、苧麻(ラミー)、亜麻(リネン)、黄麻(ジュード)などの草の皮から繊維を採る靭皮繊維の総称としてつかわれていることにより、さらに紛らわしい状況となっています。麻といわれるものは60種類以上あるのです。植物学の属性ではアサ科アサ属は大麻だけであるにも関わらず、1962年に制定された家庭法品質表示法では、リネンとラミーに限るとされ、ヘンプは指定外繊維となってしまっています。今の日本で麻として流通している繊維はほとんどがリネンです。
大麻(たいま•おおぬさ) / 英名 Henp(ヘンプ) ◇ アサ科
日本では海外産のものをヘンプ、向精神作用を伴う吸引のものをマリファナといいます。私は繊維としてのことしかわからないので言及はしません。
苧麻(ちょま•からむし) / 英名 Ramie(ラミー) ◇ イラクサ科
繊維として機械紡績苧麻糸の総称がラミーとなっているのがまたややこしい。
亜麻(あま) / 英名Linen(リネン) ◇ アマ科
今の日本で流通している麻といわれているもの。
言葉の定義の乱雑さが生みだしてしまった「大麻」に対する誤解と偏見が少しでも取り除かれ、正確なことをぜひ、この本で知っていただきたい。
日本人にとって、米に匹敵する農作物であった大麻を、歴史的観点、農業として、自然布として、神事に欠かせないものとして、今に残る痕跡などを有識者へのインタビューを交え、さらに現状と今後の課題を考察しています。
とても冷静で現状を見据えた捉え方であり、危機に瀕したところにありがちな、悪いのは誰々…的なところもなく、俯瞰した目線でまとめられています。
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大麻という農作物 日本人の営みを支えてきた植物とその危機
大麻博物館館長の高安淳一さんと産經新聞にて「葛城奈美の直球&曲球」のコラムを書かれている葛城奈美さんと
Henpのつかい道が紹介されている、こちらの団扇。麻の葉文様地です。
そして、団扇の柄と縁は米と大麻のセルロースでできているのだそう。散らばっているのは大麻。大麻には繊維としてだけでなく工業製品としてさまざまにつかうことができるのだそう。
医療用とか、工業用とか、色んな可能性があるのでしょうけれど、まずは、日本人の営みのなかで自然とあった「繊維としての大麻」を知ることで、多くの方の誤解や偏見が取り除かれることを願っています。
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