着物には伝統と文化といった側面があり、まさしく日本の宝ですが、結局のところ、着物エンドユーザーに着物を買ってもらわなければ、伝承していくことはできません。リサイクルやレンタルだけでは着物生産者を支えきることはできないのです。
生活必需品ではなく、あくまでも嗜好品ですから、ファッションに惜しみなくお金をつかってくれる人によって支えられています。素材や技術に手間をかけてつくられる高級品であれば尚更です。
コストダウンのための量産品ではなく高額となってしまう素材と技にこだわった着物が伝承されていくかどうかは、独身時代にクリスマスというイベントに乗せられてたっぷりとお金をつかったバブル世代の人が、この先、着物を理解してどれだけお金を落としてくれるかにかかっているように思います。(この先というより現状維持というレベルでの話です。次世代の財布の紐はさらに固い)
しかしバブル世代の方々の中には今の自分が楽しめる着物が欲しいと思っている人はたくさんいるのに、どこで買ったらいいのかわからないという着物ジプシーとなってしまった方がたくさんいます。箪笥の中に嫁入り道具として揃えた着物はいっぱいあるけれど、それは今の自分が着たいものではなく箪笥の肥やしとなっていて、この経験からこれ以上損をしたくないのだそう。一生ものになる着物をどこで買ったらいいのかわからないという方が多いのです。
着物は1反の反物からつくる平面裁断のものですので、洋服のような形の流行はありませんし、親子2代で着ることができるものもたくさんあります。そういう面では、着物は一生ものといえますが、着れば痛みますし、着る用途がなければ箪笥の肥やしですし、それなりの流行り廃りもあります。
ですが着物というものは流行ではなくて、着物としての格であったり、産地のものでしたらその特性が重視されることになるので、その価値がなくなるということはありません。
その人が求めるもの、用途によって必要な着物をすすめることができる呉服屋さんを見つけることができるかどうかが肝心だと思うのです。
着物エンドユーザーは「知識、教養、感性、経験、そして誠意」これらを併せ持った信頼できる呉服屋さんを探すことになります。
クリスマスがイベントとして日本に定着したのに、着物を着ることが日本の生活に定着できない…という状況に憂いてしまったクリスマスの夜。
皆さま、良いクリスマスをお過ごしくださいませ♪
Merry Christmas!