木村孝先生が11月2日にご逝去されました。
行年97歳(数え)。
文字通り「生涯現役」でいらっしゃいました。
いつまでも、いつまでも、お元気でいてくださるものと思っておりました。
またすぐにお会いできるものだと思っておりました。
お会いしてから20年、きもののことだけでなく、人として女性として、大切なことをたくさん教えていただきました。
年を重ねることが素敵だと思える、本当の豊かさを体現してくださいました。
きものを纏うことは、文様に込められた祈りや願い、四季を謳歌する喜び、日本文化を表現することだと、導いてくださいました。
人生の岐路に立たされた時、背中を押してくださいました。
「ボキャブラリーが豊富だったらネガティブなことも言い換えることができるの。だからあんたは大丈夫やと思う。けどな、目立つようになったらな、隙をみせたらあかんのえ、気構えと心構えが大切え。」
先生に最後にお会いしたときにいただいたお言葉です。
まだまだ教えていただきたいことがたくさんございました。
その報に接したとき、先生にお会いしたくてお会いしたくて…。もうお会いできないかと思うと悲しくて、辛くて、そして震えました。信じられませんでした。
「私は書くことが好きなの、伝えたいことがたくさんあるの、書ききれないのよ」といつもおっしゃっていました。棺には原稿用紙と鉛筆が納められました。
先生あっての今日の私でございます。
心より感謝申し上げます。
在りし日のお姿を偲び、心よりご冥福をお祈り申しあげます。
合掌
朝香沙都子拝