この1週間、どこへでかけても、リオオリンピック2016閉会式での小池百合子東京都知事の話題でもちきりでした。
三つ紋付の色留袖はご自身のもの。着つけは帯同された着付師の方がされたのだそうです。着付師は公費からではなく小池都知事が個人的に手配されたとのこと。つまりすべて自腹。※ 東京都庁広報課を通じて確認いたしました。
小池百合子さん、本当に着物を愛する方なのだと思います。こういう方が日本を代表する立場にいらっしゃることが、着物好きとして心から嬉しい。
着付けや着姿のことが賛否両論の話題となっていましたが、次回開催地の代表として五輪旗の引き継ぎという式典に相応しい装い。ごく自然な着姿であったというか、所作も含めて、着慣れた堂々たる美しい着こなしでいらしたと思います。小池都知事は容貌が美しすぎるゆえに、ドラマの中の女優さんや雑誌の中のモデルさんの着姿と比べられてしまうのかもしれません。
ブータンのように<自国の衣裳を着ることは普通であり当然>とまではむずかしくても、現実に着物を着ている人を多く目にする機会があれば、自然な着姿というものが理解されるようになるかと思います。着物を着ない人も着物について一家言あるということが如実に現れた今回の話題。日本人がまだまだ着物に興味があるが故のことと考えたら、着物業界の衰退化が懸念される中での光明となりそうな…。東京オリンピックを迎えるにあたって、<日本には着物がある>と日本人が誇れるように、たくさんの人が着物を着る波がくるように願っています。
服飾史を学ぶ中で、着物昭和史についても調べていますが、その中で、着付教室が台頭したキッカケをつくったのは、1964年(昭和39年)東京オリンピックであるという説があります。東京オリンピックの開催前に、オリンピックに華を添えるコンパニオンを募集し、その教育の一貫として着物をキレイに着付けるための勉強会があり、これが着付教室へと発展していったということなのですが…。
東京オリンピック1964当時のことを知っている方は、すでに現役を退かれていて、正確な情報が得られていません。糸口となりそうな些細なことでもかまいませんので、もしもご存知の方がいらしたら、ぜひご連絡いただければと思います。
生活の中で自然に覚えていくというごく当たり前のことだったことが、着付教室で学ぶものになったことよって、マニュアルがつくられ、わかりやすくするための固定観念(季節の着用ルールなど)や信念のようなものまで生まれたように思います。
着付教室の普及というのは、世界の服飾史の中でも、とても興味深いです。