<洋服の中でも違和感のないきもの>が好まれやすい傾向にあるようですが、私は<きものらしいきもの>が好みです。歌舞伎座という非日常空間ではとくにです。
友禅の生みの親といわれる宮崎友禅斎は友禅染めの創始者ではなく、あくまでも扇面絵師であり、その意匠が小袖の文様につかわれたことから、友禅斎の名が糸目糊置きの防染に色挿しの技法をつかった絵画的表現の染めの名の由来となったということが、近年の考証で明らかとなっています。
日本には、散らし、雲取り、尽くしといった文様表現がありますが、扇面という手で持てる小さな面積の中の意匠としてつかわれていたものが、小袖という身体に纏う大きな面積のものにデザインとしてつかわれたことから、文様の中の意匠表現として、友禅染めと共に流行することになったことが興味深い。
風鈴や団扇に描かれる夏模様というのも文様の中の意匠というきものらしい表現のひとつ。歌舞伎鑑賞には、演目や役者にちなんだ装いをすることが多いですが、季節の装いで歌舞伎座へというのも楽しいです。
【7月25日の装い】東京◇晴れ(湿度73%) / 最低気温21℃ 最高気温28℃
鉄線文様の絽小紋に夏の意匠が描かれた風鈴文様の絽塩瀬の染め帯
団扇に花火の絞りの絽の帯あげは井澤屋、帯〆は龍工房
【7月26日の装い】東京◇曇り時々雨(湿度83%) / 最低気温23℃ 最高気温27℃
この日は雨だったので、紗布コート。紗布コートは既製品ですがシワになりにくく畳むとコンパクトになるので重宝しています。価格も安い。
秋草文様の絽小紋に団扇に朝顔、秋桜、桔梗が描かれた志ま亀の絽塩瀬の染め帯
帯あげは井澤屋、帯〆は志ま亀
七月大歌舞伎 夜の部は、グッと泣かせる江戸時代の世話物とパーッと歌舞伎の王道の荒事。猿之助のイクメンの子育てと別れの断腸の思いがビシバシと伝わってくる熱演にびっくり。←意外でした。巳之助の辰五郎がとても良かった♪ 「景清」は大スペクタクルな舞台装置が圧巻。海老蔵は画になるなあ〜と改めて。そして右近の猪熊入道が軽快で心地よい。
七月大歌舞伎 昼の部の千秋楽は、人の出世欲を描いた柳澤騒動、海老蔵の吉保も中々の嵌まり役。流星は面をつけかえ華麗に舞う猿之助丈。ラストは宙乗りで爽快に。
ドンと気合の入った熱演で見応えがありましたヾ(@°▽°@)ノ
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歌舞伎鑑賞の装い / 文様の中の意匠表現 夏の染め帯 / 七月大歌舞伎
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