「芸術は、着れる」がサブタイトル。オートクチュールのはじまりから現代に至るまでの歴史、時代を反映した形、そして世界最高峰の技をみることができる展覧会です。
オートクチュールは19世紀後半にファッションの都、パリで誕生します。イギリス生まれのデザイナーであるシャルル=フレデリック•ウォルトがファッションモデルを採用したコレクションを年2回発表し、デザイナーの署名入りタグを縫い付けた高級仕立服の受注をはじめ、オートクチュールの基礎を築きあげました。ウォルトはフランス革命後、ナポレオン三世皇妃をはじめとした上流階級、そして振興中産階級を顧客とし、バッスルスタイルといわれるスカートの後背部にふくらみを持たせたドレスを生みだしました。日本では明治時代の鹿鳴館での洋装が、バッスルスタイルです♪
ウォルトのイブニングケープ(1898~1900)
クリスチャン•ラクロワによるウォルトに敬意を表してつくられたバッスルスタイルのドレス(1991年秋)
20世紀になると、コルセットから開放された直線的なドレスが誕生します。アールデコの時代です。
マドレーネ•ヴィオネのイブニングドレス(1924年)
ジェロームのイブニングドレス(1925年頃)
ヨーロッパでは昼夜でドレスコード(服装規定)が変わります。レストランでもディナーは男性のジャケット着用が義務づけられるのが普通。よくきものはTPOがあって難しい…という話をお聞きしますが、それは洋装も同じ…というか、厳密に考えたら洋装のほうが厳しいのです。日本での洋装のTPOが曖昧なだけにすぎません。
女性の夜間での正装であるイブニングドレスに匹敵する日本のスタイルは、振袖、訪問着、格を考えると紋付の留袖となります。イブニングドレスで外を歩くことなど考えられませんが、きものでしたら可能です。そして、きものには昼夜のドレスコードはないのです。
↑この部屋のみ、一般の方も撮影が可能となっています。
アフタヌーンドレスやカクテルドレスは昼の礼装。
ディオールのニュールックといわれた曲線を重視したエレガントなスタイル。
1960年代、新素材が生まれアート感覚的になっていくドレス
左◇ピエール•カルダンのスタロン社製モスリン風ウール生地のドレス
右◇クレージュの三重織ウールギャバジンのジャケットとドレスのアンサンブル
プレタポルテ(高級既製服)が主流になった現代(1970年代~)のオートクチュール
左◇カールラガーフェルドによるシャネルのコートドレス
右◇シャネルのテーラードスーツ
左◇イヴ•サンローランのドレスとジャケットのイブニングアンサンブル(1992年春夏)
右◇クリスチャン•ラクロワのジャン•パトゥイブニングドレス(1987年秋冬)
バレンシアガのイブニングドレスとペティコートのイブニングアンサンブル(1967年)
余談ですが、洋装の礼服について。礼服は本来は勲章をつけたときに着ることができるドレスと考えるとわかりやすいのかもしれません。ローブ•デコルテは首もとから肩が露出されたイブニングドレスの正装•礼服で、ローブ•モンタントは肩が露出されない立ち襟のドレスの昼の礼服となります。日本では女性皇族の方々の装いで拝見することができます。
昔は…、お洋服が大好きだった私ですが、今はきものの魅力に取り憑かれ、今展示会も、形よりも素材にばかり眼がいきました。オーガンザ(オーガンジーより張りのある透け感のある平織物)、クレープデシン(フランスちりめん)、タフタ(琥珀織)、シュニール糸(毛虫のような装飾糸)など。
ミュージアムショップでは、フランスのジュリアンフォール社のリボンやタッセル
色とりどりの美しい刺繍糸や
オシャレな裁縫セットもありました。プレゼントにも良いかもしれませんね♪
※会場内の撮影及びきものカンタービレ♪への掲載の許可を主催者よりいただいております。
朱色の羽織を志ま亀の小紋にコーディネート
羽織紐も気に入っております♪
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