第54回 染芸展へ(~3月6日まで)
春を迎えるころに開催される、東京都工芸染色協同組合主催による東京手描き友禅のコンクールです。
染織業界の組合の名前はとても似ていて混同してしまうのですが…(@@;
「東京都工芸染色協同組合」は、型紙をつかわない東京友禅(東京染友禅、東京手描友禅、江戸友禅の手描き友禅)の組合。手描きさんといわれます。
「東京都染色工業協同組合」は、型紙をつかって染める小紋、無地染めを行なう浸染、染めものの色を抜く練抜の組合。小紋さんといわれます。
東京友禅は京友禅と加賀友禅と共に三大友禅のひとつ。雅やかさではなく、渋く押さえ目の色調で粋とモダン。金彩や刺繍はほとんどなく都会感覚の洗練された意匠と高い技術力、作家の強い個性が打ちだされた作品が特徴です。
今年も生駒暉夫先生にご案内をいただきました♪ (お忙しい中、ありがとうございます!)
伝統工芸展に出品される作品はバーンと衣桁にかかった<きもの>が目立つ印象ですが、染芸展の作品は<着こなし>が楽しめそう。
雪の結晶がモチーフのものは様々な作品がありますが、生駒先生のつくられるものは降り積もっていく雪の躍動感も感じられます。
染谷洋先生と
古典的なものから独創性あふれるものまで幅広いものをつくられています。
ぜんまい紬地に描かれた四季の花。手描きの良さがでています!ぜんまいの節糸が描きにくそうに思うのですが、滲まないので意外とそうでもないとのこと。
水橋さおり先生と
流水と金魚のシルエットに躍動感があります。柄の配置も涼し気で素敵♪
佐藤洋宜先生と
赤富士にかかる波と網干の勢いがスゴイ。粋な方が着こなされたら素敵でしょうね。
蛇の目傘に雨。雨の線と蛇の目に傘骨の透け感が素敵。こういった絵画調が東京友禅の魅力。
葡萄の訪問着の八掛にはチラッとワインが!
町田久美子先生と町田先生の作品を着こなしていらした方
大田区中馬込の烏を描いてという依頼でつくられたそうです。烏の濡れ羽というのでしょうか、黒一色なのに遠目からでも羽がわかりました。鋭いクチバシと眼もどことなく都会の烏っぽい!
岩間奨先生と
「東京友禅の新しい試み」ということで、結城紬に描いた東京友禅の色留袖。色留袖は礼装となるので紬地は難しいと思いますが、刺繍の日向紋を入れてウィーンのニューイヤーコンサートに着るなど良いかもしれません。冬のウィーンは寒いですしね。
高橋孝之先生と
天然藍で手描き染めした日傘! こちらも東京手描き友禅の新しい試みのひとつ。
でも藍は色が退色するので、どんどん色が変わっていきます。その移り変わりを楽しむ!?
墨流し体験で何度か訪れたときに彩色されていた振袖ができあがって展示されていました!
小紋と初め帯のコーディネートとして、さきに説明した小紋さんの組合とのコラボのコーナーもありました!
他にもご紹介したい作品がたくさんありました!
染芸展の魅力は、作家の先生方から直接お話を聞くことができること。そして価格表記もされています。販売が目的ではないので(あくまでもコンクール)購入をすすめられることはありませんし、じっくりと肉眼でみることができます。土日は友禅体験もあります。
※会場内での撮影及び掲載の許可を主催よりいただいております。↓取材許可証
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東京手描友禅コンクール 第54回 染芸展 at 東京都立産業貿易センター台東館
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