2015年の重陽の節句を旧暦に換算すると10月21日です。ということは今夜は重陽の節句前夜。
菊の花を真綿で包む菊被綿(きくのきせわた)の夜です。
古代中国では、奇数は陽の数とされその極みの9が重なる日は重陽とされました。平安時代に重陽の節句が日本に伝わると、宮中では菊の花を浮かべたお酒を飲む菊花の宴を催し、菊花の杯で邪気を祓ったとされています。
節句の前夜には菊の花を真綿で覆い菊の香りを移し、翌朝に露に湿ったこの真綿で顔をぬぐい長寿を祈願するという日本独自の行事が生まれました。これが「菊被綿」です。
皇室の菊の御紋の由来は、後鳥羽上皇が殊の外に菊の花を好み自らのお印として愛用され、その後、後深草天皇、亀山天皇、後宇多天皇が継承されたことから慣例のうちに菊花文は皇室の紋として定着しました。菊紋のうち、「十六弁八重表菊」が菊の御紋と言われる天皇及び皇室を表す紋となります。「十六弁八重表菊」が正式に天皇家の御紋とされたのは1869年(明治2年)の太政官布告から。
ちなみに、パスポートでつかわれるのは、「十六弁一重表菊」。1920年の国際交通制度改良会議でパスポートの表紙に国章を記すと決められたときに、日本の法定の国章がなかったことから、菊の御紋をデザイン化した「十六弁一重表菊」と決められ1926年から採用されました。
秋になると叙勲や褒章の記念品やお菓子をいただくことがありますが、微妙に菊の御紋が違うことがあります。正しくは中心線が花びらの真ん中にきます。
ありがちな間違っている御紋がこちらだ。
※衣紋道高倉流宗会頭のお話を参考にまとめさせていただきましたφ(.. )
菊の花言葉は高貴、高潔、そして真実です。
重陽の節句は菊の節句ともいわれますが、新暦(グレゴリオ太陽暦)の9月9日はまだまだ残暑厳しく、本来は菊の花は咲いていません。やはり旧暦の重陽のころから菊の花は咲きはじめるのではないでしょうか。
きものの着用時季としては、写実的な菊文様はやはり秋が相応しいとは思いますが、抽象的な菊文様は季節を問わずに着ています。役者にちなんだ観劇の装いとしても着ているので年中です。
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重陽の節句と菊被綿 / 菊の御紋の十六弁八重表菊とパスポートの十六弁一重表菊
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