2015年 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」特別展が江戸東京博物館にて開催中(~7月20まで)
「花燃ゆ」はあまり知られていない吉田松陰の妹であり、久坂玄瑞、小田村伊之助
(のちの楫取素彦)の妻であったひとりの女性、文(のちの楫取美和子)が主人公。
ドラマ制作をする上では、材料は揃っていて尚且つあまり知られていないことによって、
自由につくれて楽しいと思うのですが、視聴者は見た事も無い料理には食指がわかないのか、
視聴率としては苦戦しているようです。
この展覧会は、歴史的史料とともにドラマの登場人物でもある幕末維新を生きた人々の肖像や
所縁の品が展示され、ドラマと連動してみるとより深く楽しめます。
「吉田松陰自賛肖像」がズラッと。
安政の大獄で江戸に送られる前に松蔭が、吉田家、杉家、門下生に形見として与えたもの。
松下村塾が再現されていました。
畳はプリントで草履のまま入れます。
八畳一間の塾です。
下関戦争でつかわれた「荻野流壱貫目青銅砲」も展示。
これは連合国(イギリス、フランス、オランダ、アメリカ)の列強四国に摂取され、フランスの
アンヴァリッド軍事博物館の庭先にあったものがごく最近になって見つかったものだそうです。
現在は下関市に寄託されています。
さて、私が「花燃ゆ」で興味があるのは、この後、楫取素彦がどう描かれていくのか。
この人物、日本の近代化を大きく担った製糸業と生糸貿易の歴史と深く関わっているのです。
1872年(明治5年)に創業した富岡製糸場、官営工場時代は採算度外視でやっていて赤字経営。
8年後には明治政府から民間払い下げの決定が下され、払い下げ先がない場合は閉鎖にする意向
だったといわれています。
民間払い下げの目処がつくまでの官営存続に奔走した人物が、元長州藩士の小田村伊之助。
後の熊谷県権令(群馬県知事)の楫取素彦(かとりもとひこ)です。
この人がいなければ世界遺産となった富岡製糸場は今に残っていなかったかもしれません。
そして日本ではじめて生糸の直輸出を実現し「生きたる生糸貿易の歴史」といわれる新井領一郎。
当初の日本からの生糸の輸出は外国商人が間に入り莫大な利潤をとられていましたが、それを
打破する為にニューヨークに渡り市場を開拓し販路を確保した人物です。
これによって富岡製糸場は一気に出荷高が増え経営が軌道に乗ります。
新井領一郎の渡航費用や資金を工面したのは楫取素彦であり、最初の妻の寿は、兄である
吉田松陰の形見の短刀を護身用として新井領一郎に持たせたといわれています。
実は、この短刀が展示されているのではないかな…と期待していたのですが、ありませんでした。
日本の近代化に大きく貢献した製糸業と生糸貿易。
その道筋をつくった時代背景を知ることができるかもしれない(-_☆)
「花燃ゆ」のこの先の展開に期待しています!
※展覧会の撮影と「きものカンタービレ♪」への掲載は主催者の許可をいただいております。
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「2015年 NHK大河ドラマ特別展 花燃ゆ」内覧会 at 江戸東京博物館
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