今年はゆかたの売れ行きが好調なのだそうですヽ(゚◇゚ )ノ
最近はセオαという東レの新素材が速乾性があり涼しくて水洗いOKで人気があるのだとか。
着てみなければ着心地はわからないので、ぜひ試してみたいと思っているのですが、
染め(プリント)が好みのものが見つからず…。ここが残念というか複雑なところです
昔ながらの伝統的なものも継承して着ていきたいし、合理的な新素材も試してみたい。
蒸し暑い日本の夏ですが、見た目だけでも涼しげに夏の風物詩を楽しみたいものです♪
ゆかたは元々は身分の高い方が沐浴(蒸し風呂)の際に着用した麻の帷子のこと。湯帷子が語源。
江戸時代になって国産での綿花栽培ができるようになると、木綿のゆかたが急速に普及します。
庶民が風呂屋をつかうようになると、湯上がりに着替えて着るものとなり、さらに家の中での
くつろぎ着となっていきました。祭礼では踊りの衣裳ともなり現在の用途に近くなっていきます。
今はワンピース感覚のオシャレ着といったところもありますが、ゆかたにも色々あります。
【長板中形のゆかた】
江戸後期に江戸小紋を染める技から長板本藍染めの技法が生まれました。特徴は両面染め。
6.5mの長板に白生地を張り、型紙をおいてヘラで防染糊をおきます。
生地を乾かした後、さらに生地の裏に表の模様とピッタリ重なるように糊をおきます。
その後、藍に何度も浸す浸け染です。これにより白が映える藍染になります。コレが魅力
江戸小紋のようにヘラで染める「しごき」は片面だけ糊をおけばよいのですが、
長板中形は何度も藍に浸すために両面に糊をおく必要があります。
小紋は小柄なので小紋、ゆかたは小紋柄よりも大きく中柄なので中形となったのだそう。
中柄というか大柄文様の型紙は、やはりゆかた用につくられたもの。
同じ型紙で綿コーマや綿絽でもつくられていますが、どちらもきものとして着るのではなく、
半衿なしでゆかたとしてスッキリ着たほうが良いと思います。
白地のゆかたを日中のお出掛けに着るのも避けたいところ。
きものはもちろん大丈夫というか、白地のきものとゆかたではまったく印象が違うものです。
白地のゆかたをきもの代わりとするなら許容範囲としたいところですが、藍地のものと比べ
ても難しいかな…。白半衿をつけてもゆかた色が強くでてしまう、ゆかたです。
【注染の綿コーマのゆかた】
注染とは約1m毎に蛇腹状に重ね折りながら型付け(糊付け)した反物を染台にのせていき、
(1反につき12回折り返します)染めたい部分の周りに糊で土手をつくってから、じょうろ型の
薬缶で上から染料を注ぎ込み、同時に染台の足下のペダルを踏み込んで下から吸引して
一気に染み通らせる技法のこと。大正時代に開発され(諸説あり)一気に普及したようです。
部屋着&ご近所着が注染のゆかたなのですが、あまりに日常のことで写真がありません。
昨今では、ゆかたはワンピース感覚のファッションのひとつとされつつありますが、若い
お嬢さんなら可愛くても、アラフォーのミセスでは厳しい…寝間着と紙一重ですね。
白地のゆかたはを夜目に映えるので、花火大会には絶対白地がおススメ
綿コーマ以外にも綿絽などでも染められていますが、綿絽には要注意です。
絽目が入っているので一見涼しそうに見えますが、とにかく綿の平織は暑いのです
しかし、透け感は強いので襦袢や浴衣スリップを着ていないと、光の当たり具合で、
足の形までハッキリとわかることも多々あって、目のやり場に困ります(゚_゚i)
最近はゆかたで行くと割引や特典がある美術館や水族館もあります。
ゆかたで電車に乗ったりすることに今ひとつ抵抗があるのは、ゆかたが部屋着となっている
からでしょうσ(^_^;)
【絹紅梅のゆかた】
夏の高級ゆかたのひとつですが、白半衿付の長襦袢と白足袋を身につけることによって、
軽い日常のきものとして着ることができます。
絹紅梅の「紅梅」とは、紅梅織のこと。紅梅織とは、地糸よりも太い糸、または数本の糸を、
経糸か緯糸または経緯の両方に一定の間隔で織りこみ、格子状の畝を表面に浮き立たせた
薄手の平織物で、勾配織もしくは高配織とも書きます。紅梅は当て字です。
この畝で、皮膚への密着を妨げ肌にはりつかせないので、風通しの良いさらりとした着心地に
なります。とにかく軽くて着心地が良いので、1日中着ていても全く疲れません。
お稽古やショッピング、都心のホテルでもランチぐらいには着ていけます。
歌舞伎座は納涼歌舞伎だったら許容範囲でしょうか…。
平成中村座や金比羅歌舞伎のような芝居小屋にはピッタリだと思います。
絹紅梅は長襦袢を着た上に着ても、素肌の上に着る綿コーマのゆかたよりも涼しいです
地糸は絹で、織り込んだ太い糸には綿がつかわれています。割合は絹85%綿15%くらい。
ゆかたではありますが、絹なので洗濯機では洗いません。琉球壁上布と同じく、着用後には
自分で汗抜きをするというお手入れをしています。アイロンもかけます。
この2点は、長襦袢を着てきもの代わりとして着ていますが、ゆかたにしか見えません。
白半衿をしても伝統的なゆかた色は消せないということでしょう。
【綿紅梅の雪花絞りのゆかた】
綿100%だったり、綿麻混紡なので、ネットに入れて洗濯機で洗うことが可能
絹紅梅と比べると、着心地は暑いです。生地にもよりますが、これは透け感はなくても、
綿絽に比べると涼しい気がしました。本来は素肌にサラッとゆかたとして着るものです。
長襦袢の上に着てきものとして着るのは28℃以下の日、透け感もないので、真夏は避け
きものの単衣の感覚で。レトロなきものといった風情になります。
白地に藍の雪花絞りの着用写真がないので、追ってご紹介します。
藍地の雪花絞りはお仕立て中です。
【有松絞りの綿絽のゆかた】 スッピンで失礼します
ゆかたとして着ていますが、これは大柄でも文様がさほど多くないので、長襦袢の上に
きものとして着てもいいかも。綿絽は透けるのに暑いので気温しだいです。
避暑地などで日中の装いとして、長襦袢に白半衿、足袋を履いてきものとして着るのは
ありだと思っています。
「ゆかたをきもの代わりに着るのはどうでしょう?」というご質問を度々いただきます。
個人的には、普段着はとやかく言わずまず着てみることが大切だと思っているので
「ゆかたの下に長襦袢を着て足袋を履いて、きものとして着るのはあり」とお答えしています。
ですが、きものの代わりにもなるゆかたと、ゆかたとして着たほうが良いゆかたがあります。
例としてあげるならば、竺仙さんの伝統的なゆかたは、きものとして着るよりも、ゆかたとして
着たほうがやっぱり素敵だと思います。ダメというわけじゃなく、好みの問題です。
それから、ゆかたは綿なので水で洗える利便性もあり価格も手頃なものが多いですが、
綿は絹よりも暑いということをお忘れなく
素肌に纏うゆかたよりも、長襦袢を着た上での絹のきもののほうが涼しかったりします。
麻のきものですとさらに涼しいです。
「きものは暑い!」という意見が多いのは、実はきものでなく、ゆかたを着たときの暑かった!
苦しかった!という辛さからきているのではないかな~?と思っています。
手軽にきものに慣れ親しむために、ゆかたをきもの代わりに着るのは良いのですが、
もう二度と着たくない!と思わないためにも、夏のきものもおススメですよ
と考える今日この頃です。
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ゆかた色々。長板中形、注染の綿コーマ、絹紅梅、綿紅梅、有松絞りの綿絽
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