早稲田大学で開催中のきもの学。
打ち合わせとお手伝いで学生さんに混じって聴講させていただきましたφ(.. )
公開講座ではないのでチラッとだけ。
小千谷縮の樋口隆司先生と
●小千谷の歴史
1868年(明治元年)10月1日創立の小千谷小学校は日本で最も古い公立の小学校なのだ
そうです。江戸時代は天領地でありながら、早々に新政府軍に恭順の意を示した地でもあり
後に会津との話し合いの場になったところなのだそう。
そんな中で、誰でも勉強できる環境を真っ先に整えた地域でもありました。
●小千谷縮の歴史
越後では昔から山に自生していた山苧をつかった越後麻布という上質な麻織物がありました。
後に青苧と名づけられる麻を畑で栽培して麻布をつくるようになります。
全盛期は江戸時代、寛文年間に堀次郎将俊(明石の浪人だったことから明石次郎とも)が
越後麻布を縮ませしぼをだすことに成功し小千谷縮を誕生させました。
縮の技法は緯糸に強い撚りをかけて糊(布糊といわれる海草からできるもの)で固定しておいて、
それを織りあげてからぬるま湯でもむことによって、糊が落ちて撚りが戻り布が縮んでしぼを
だすというもの。元禄年間には将軍家の御用縮に指定され武士の式服となります。
●小千谷縮の重要無形文化財の指定条件
①すべて苧麻を手績みした糸をつかうこと②絣模様は手くびりによること③居座機で織ること
④しぼとりは湯もみ、足ふみによること⑤雪晒しをすること
越後上布とほぼ同じですが緯糸に撚りをかけシボがあるのが小千谷縮の最大の特徴。
1782年(天明2年)22万反、明治はじめ13万反、1884年(明治17年)1万反、
現在は重要無形文化財の指定条件を満たす小千谷縮は2or3反。
小千谷縮の糸は昭和村で栽培される苧麻(からむし)がつかわれます。
苧麻を細かく裂き手で紡いでつくる麻糸は織りあげると丈夫な布となりますが、糸の状態では
乾燥に弱く切れてしまうという特質があります。雪深く湿度が高い越後の風土は麻織物を
つくるのに適した土地なのです。
こちらは、第57回日本伝統工芸展に出展された樋口隆司先生の作品「風渡る」
樋口先生は工学部出身でコンパスと電卓をつかって念密な計算のもとに図面をつくられます。
自然を写しとったかのように織りだされる色の濃淡に注目
糸は機械紡績のものをつかっているので重要無形文化財指定条件のものではないそう。
手績みの苧麻糸ではこういった細かなものはつくれないそうです。
スカッと爽やかな風が渡りそうです。蜻蛉が下向きなのはそのほうがカッコイイからとのこと。
確かに、降下するほうが勢いがあるような。
小千谷縮は寒く湿度がある雪国だからこそ生まれた、最高に涼しい夏の織物。
今年の夏に活躍した、樋口先生につくっていただいた雪輪と雪の結晶文様の小千谷縮。
工芸会出品作の価格の話で学生がどん引きしてましたが、伝統工芸展に出品される
ものは年に1反つくられる芸術品としての価格です。
もっとお安い価格帯のこういったものもつくられています。どうぞご安心を。
麻は身体に沿わないから涼しいのですが、着姿は難しい。
この小千谷縮はお気に入りです
↧
樋口隆司先生のお話「雪国の織 小千谷縮」
↧