若い方からきもの周りのご相談をいただくことが多く、都度お答えはしているのですが、やはり土台となる環境 (和の習い事で着用する、きものを着る人が身近にいる生活、etc) とかけ離れてしまうと、きものは面倒でよくわからないものとなってしまうことが否めません。
そんなこともあり、ご要望にお応えする形で土台づくりともいえる、<きもの生活のススメ>、そして<きものを見る眼を養うプロジェクト>をはじめました。
題して「きものスチューデント♪」
「きものカンタービレ♪」とは別枠です。
個人情報もございますので、この様子についてのネット配信は当面いたしません。
きものを着ることが非日常のオシャレであるならば尚のこと、その特別なファッションは素敵でありたいもの。日常はお洋服で非日常的な特別なときにきものを着るという楽しみ方でも良いのですが、それだけでは仕草やTPOに相応しい装いというのは中々身につかないように思います。毎日きものを着る必要はありませんが、お出掛けだけではなく、生活の中にきものを取り入れてみるということからはじめます。
●「自分で考えながら着ること」
先ずはきものを自分で着てみます。そして着崩れしない着姿になるために、どう補うかを考えます。それからきものを着るために必要なものを(低価格で)揃えます。足袋、補正用のタオル、晒し、ステテコ、そして長襦袢。毎日きもの生活ですと、長襦袢の半衿付けが面倒なのですが、私はほとんど裁縫をしません。委託もしますし、日常用ならこれでいいのではというアイテムもつかっています。
着付けはその人の体型や手の動かし方によって楽なものが違います。マニュアルよりも自分で検証することが何よりです。ですが他の人のやり方を見るのは大事。ちょっとしたコツというのはあるものなのです。
●そして「着慣れること」
着方のアドバイスはいたしますが、着付教室ではありません。個々にきものを生活の中に取り入れ、着崩れを直しつつ実践で学ぶのが必須であり、その経験こそが意味のあることだと考えております。
きものは現代においては生活必需品ではなく嗜好品です。素材も技術も手仕事でなされるものから量産型のものまでさまざま。そしてそれは価格に反映されるものですが、店頭で売られるときには、素材も技の仕様も差異が生じていることがあります。そして価格はあってないようなものになっているようです。こういった現状に対して思うところがありますが、やはり信頼できる売り手に出会うか、購入する側が自分の眼を養うしかないのです。それはきものを見る眼と売る人を見る眼と両方です。
<きものの素材や技を見極める知識>の習得カリキュラムをつくりながら思うのは、着付教室のセミナーなどでありがちな<きものを(納得していただいてこの価格で)購入していただくための知識>とでは、重要視するところも、学ぶ順番も異なるということです。朝香沙都子は全力できものを購入する側ですので、発信している情報すべてが、必要に応じてきものを購入し着用する立場としてのものです。
●「知ること」そして「見極めること」
きものは、素材だけでなく用途にあわせてつくられた形式のそれぞれに名称があります。例えば「紬と小紋の違いはなんですか?」というご質問をいただくのですが、広義で考えると、紬糸で織ったものが紬です。しかし紬は産地によって違いがあり、大島紬のように今は生糸で織られているものもあります。小紋というのは白生地に型紙で後染めしたもの。生地の名称ではなくきものの形式の名称のひとつとなります。
…っと、このような話をいきなりしても、難しい…と思われるだけですので、まずは「白生地とは何か」を考えることにしました。これを知ることによって「紬とは何か」が理解しやすくなります。
試行錯誤で手探りではありますが、きものを着ることを次世代へ伝承していくために、そして自分自身も新たな視点からきものについて考察するためにやってみる価値はあるように思います。すでに始まっておりますが、ご興味のある方はお問い合わせくださいませ。尚、受講の対象は大学生のみとさせていただいております。
※関連項目 「きものの日」のニュースで考えた
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