昨年の秋、突然の訃報が飛び込んできました。
実業家であり着物デザイナーでありアンティークきものの蒐集家でもあられた池田重子先生のご逝去。
アンティークきものの中でも、本当に良いものを所蔵され状態良く保存していらっしゃいました。
池田重子先生の格と時代を揃えたコーディネート。そこには、遊びごころがあり、季節感があります。
主張ある、きもの、帯、小物、それぞれの良さを最大限に生かすため、色の調和にこだわり、素材同士の風格を大事にされています。
今回のコレクションを拝見して感じたことは、池田コレクションにみられるものは、単なる古典柄でもなく、今風のモダンでもない。刺繍や絵画調で描かれる、花鳥風月やドラマチックともいえる意匠を受けとめるコーディネートの元となっているのは、それぞれの素材の良さでした。
絽ちりめん、紋意匠御召、結城縮、ちりめん。触ってはおりませんが、マネキン着装のコーディネート展示ですので裾回しや袖口、おはしよりなどをじっとみると素材感がわかります。
現代のきものや帯に遊び心のある素敵なものが少ないことを残念に思っていますが、都会にあうとかあわないとかではなく、重厚感ある意匠や刺繍を受けとめることができる素材がつくられていない…。(とくに夏物)そんな気がしました。
おしゃれに必要なものはルールではなく「美しいものを見る眼と愛する心である」ということを改めて思ったコレクションです。
池田重子先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
朝香沙都子拝
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~池田重子先生が語られていたコーディネートの極意~
•あと一歩先に行けば命がない谷底に落ちてしまうような野暮ったさとの崖っぷちギリギリを歩いているようなもの。このギリギリの線が一番魅力的で美しい。この線を見つける為にコーディネートしている。
•立派でなくても幸せであればいい。豪華でなくてもおしゃれなきものを。
•色、柄、時代を合わせることが大切。自分でドラマをつくる。
•帯留はきものに命を吹き込む、画竜点睛。最後に眼を書き込むと生きる龍の如く、最後に帯留を合わせることできものが生きる。
•季節、環境の中で美しく装うということは、その季節を満喫しながら歩いているということ。
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「池田重子コレクション ~日本のおしゃれ展~」 (~1月18日まで)
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