北の大地へ / 石下結城紬にミミズクの帯 / 2015年初冬 アイヌの聖地 二風谷の旅 その1 のつづき
二風谷アイヌ文化博物館へ
アイヌは北海道、樺太、千島列島、ロシア南部の先住民族。19世紀からの列強の同化政策によって固有の言語や文化が失われていきます。アイヌでは文字を持たず、生活の知恵や口伝はすべて口承で伝承しました。2013年に二風谷イタと二風谷アットゥシが経済産業省の伝統的工芸品の指定を受けますが、指定条件のひとつである100年技術と技法が伝承されているということを証明するのが大変だったということを、この地に来て知りました。
豊かな自然の恵みを採取し狩猟と漁猟を生業としたアイヌの暮らしは自然を尊び共に生きるもの。そこから生みだされる布、アットゥシを深く知るためにその背景を学びます。
とはいっても入るなり飛んでいって見てしまったのが、アットゥシの展示
アットゥシは晴れ着としてつくられた筒袖の装束。男性、女性用の区別はなく、シナノキやオヒョウの樹皮からとられた繊維で織りあげられ、木綿が貼られ魔除けとなる渦巻きや括弧文といわれるアイヌの文様が刺繍されています。袖口や裾の文様は悪い霊が入り込まないように、魔除けの意味があります。
交易によって手に入れたであろう木綿の絣地を切り伏せ刺繍が施されている、チカラカラペ。
絹布の切り伏せ刺繍のカパリミ
アットゥシの機織り機。
アットゥシカラペといいます。
綜絖にも木彫り細工
経糸を揃えるのにつかうペラ
さまざまなアットゥシも展示されていました
両面ガラス張りの中に入った画期的な展示ケース。これは萱野茂二風谷アイヌ資料館にもあり。
アットゥシのクローゼット♪
今日はコレとか、毎日選んだら楽しいだろうな~:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
祈りが込められた刺繍、アットゥシはカッコイイ
江戸時代にアイヌが中国沿海の民族と交易で手に入れた雲竜を織りだした山丹服。蝦夷錦ともいいます。
鶴もいました!
こちらがオヒョウの樹皮を剝いだもの
身につけるものにも魔除けの刺繍がされてます。アイヌの女性は求愛を受けた男性に自分が刺繍した手甲(籠手)や脚絆を贈ったのだそう。
エムシアッといわれる刀下げ帯。匠の道ではこれを織っている職人さんがいらしたそうで、私は見ることができなかったのが残念!
もちろんアイヌの生活や信仰に関する展示も充実しています
カムイノミの儀式でつかわれる、イクパスイ(奉酒棒)とトゥキ(杯)
イヨマンテ(熊送り)の儀式でつかわれるもの
二風谷イタ(お盆) 、小刀、トンコリ(五絃琴)
アイヌの唄や踊りの映像も流れていて、アイヌの文化や暮らしと歴史のアウトラインを知ることができました。もっとじっくり鑑賞したかった!
染織に興味を持たなかったら、こういったことにも魅かれなかったかもしれません。
二風谷の滞在で感じたさまざまなこと、点と点をつなぐようにレポートしていきたいと思います。
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二風谷アイヌ文化博物館 / 2015年初冬 アイヌの聖地 二風谷の旅 その2
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