「横浜発おもしろい画家 中島清之 ~日本画の迷宮~」展が横浜美術館にて開催中(~1月11日まで)
日本画の迷宮ってなんだろう…(・_・;)
中島清之という画家を知らなかったので、迷宮ということはエッシャーみたいな絵を書くとか?
知らないままに鑑賞しました。
中島清之は、この歌舞伎座の緞帳の画でも知られる中島千波の父にあたる方です。
迷宮と題されたのは「変転の画家」と称されるほど、一つの画風に縛られること無く、さまざまな様式と技法に挑みつづけたからなのだとか。
宣伝ポスターにもつかわれている「喝采」
ちあきなおみが「喝采」を熱唱している場面が描かれたものです。展覧会の後にあらためて、ちあきなおみが歌っている映像をYOUTUBEで探してみたのですが、バッグバンドの人が金銀の箔でつぶされているのもライトの灯りも昭和の歌謡ステージのノスタルジックな感じがよく描かれていることがわかりました。
そして、この絵のイメージが強かったので、展覧会にいってみて吃驚することになります。
この作品が院展に出品されたことで、当時話題になり、ワイドショーでご本人との共演もあったのだそう。ものまねタレントさんのご本人さん登場みたいですね…。
さて、会場に入って「へえ~っ」と思ったのは、感覚的なものということより、絵が巧い…ということ。
右◇「胡瓜」/ 左◇「蓮池」
胡瓜の葉の葉脈の質感が触らなくても伝わってきそう
散りかけた蓮の花の花弁
水の中に潜む蟹
「鴨」
鴨の羽
足の水掻きのリアルなこと
「花に寄る猫」百日草と猫の構図と余白がいい。
このシャム猫は作家の大佛次郎の飼い猫のアバレ。暴れん坊だからアバレなのだそう^^;
一見洋画のようでもあります。
戦前の古き良き時代の銀座をモダンに描いた作品。「銀座」
実は50枚以上にも及ぶスケッチを元にキャンパスの上で組み合わせたもの。街の風景をコラージュしてあります。
戦争中に疎開先の長野県小布施で描かれた「雪の子」
人物はリアルですが、背景の山が定規で描かれたように直線的
羽織の乳と羽織紐の弛み方もリアル
片岡球子のような肖像画…と思ったら、片岡球子の師は中島清之なのだそうで、なるほど…。
川床で寛ぎ中の舞妓を描いた「川風」
はじめは街路樹の向こう側に京都の町家が描かれていたのを大刷毛で洗い流してしまったのだとか。
琳派の流れの作品も「雷神」
双鴛鴦文の赤いパンツのインパクト強し!
思わず宗達や光琳の雷神は何を履いていたか気になってしまった…。
三渓園の屏風「鶴図」
鶴のシルエットのようなものがみえます
これが群れとなって飛ぶ鶴の躍動感をあらわすことに
あまりにも多種多様な作風で「これが中島清之だ!」とは表現しにくい。それが画家として良いのかどうかわかりませんが、凝り固まらず、良いと思ったものをドンドン取り入れて自分の中で昇華していったということでしょうか。
ポスターの「喝采」をみたときには、想像もしなかった…(^_^;)
こんな驚きや発見があるから美術鑑賞は面白いのです♪
※会場内での撮影、及び「きものカンタービレ♪」への掲載は主催者より許可をいただいております。
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「中島清之 〜日本画の迷宮〜」内覧会 at 横浜美術館
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