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「今に生きる江戸小紋 〜小宮家四代の作品を中心に〜」at シルク博物館

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「今に生きる江戸小紋 ~小宮家四代の作品を中心に~」シルク博物館にて開催中(~11月8日まで)

一色で染められる江戸小紋は無地のようでいて無地でない。遠目では品格ある一色染めですが寄ってみるとそこには極小の精緻な美の世界が繰り広げられています。
江戸小紋という名称は1952年(昭和27年)に文化財保護委員会(今の文化庁)が故小宮康助氏を重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定するにあたって他の小紋染と区別するために命名したものです。


小宮康助は江戸時代の裃などにつかわれた極めて精緻な型紙をつかった型染めを得意としていました。

樅の木の一枚板に絹地を張りつけて、型紙をつかって防染糊を置き、糊が乾いたら染料が入った色糊でしごき染といわれる地染めをします。小宮康助は合成化学染料を入れた色糊をつかったしごき染めの実用化に成功し、手染めの江戸小紋を現代まで継承する礎をつくった人物です。

「フランス縞」

鮫小紋を染めあげた上に縞を染めた「羽せつ」


小宮康孝先生は1978年(昭和53年)に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されています。この時の話で有名な逸話があります。文化庁から17時まで(人間国宝に認定されることを)誰にも話してはいけないといわれていたけど、12時に百貨店に電話しある約束をとりつけるために話したというもの。その約束とは…。

人間国宝になっても価格を上げない!。技を次の世代に残すには、誰でも買える実用品をつくりつづけなければならない。「お客さんを守ることが、自分たちの技術を守ること。」

技を守るために必要なものを見据えた素晴らしい逸話として後世まで語り継がれるでしょう。

道具彫りと突き彫りの「菊格子」


三代目 小宮康正先生の江戸小紋

この日は小宮康正先生の記念講演がありましたφ(.. )

小宮家では、型紙、糊、そして生地についての研究を怠らず、堅牢度が高く絹本来の光沢を活かした染めを常につくりつづけています。伝統とはその時に何をしているのかの積み重ねであり改良の連続とのこと。染めの匠として知り得た絹の特性について、フィブロインの非結晶領域の吸収性のお話、つくり手でない私には、未だ理解しきれておりませんが、一色染めというシンプルなものだからこそ、純粋に探求することになるのかもしれません。学ぶこと多く、お話をお聞きすることをいつも楽しみにいたしております。この日は、工芸会の先生方をはじめとして、つくり手の方がたくさん来場されていました。


講演の中では、主型と消し型の二枚型の話もありました。

型紙は文様全体がどこか繫がっていないと抜けてしまいます。繋がりが少なければ型紙は不安定になってしまい、糊置きはできません。縞などは糸入れによって文様を安定させますが、囲うように繫がった丸や白地に散らした点の文様は一枚の型紙で彫ることはできないのです。そのために、ひとつの文様の7分3分か6分4分に分けて2枚の型紙に彫ります。これを「二枚型」といいます。消し型が主型を追っかけることから「追掛型」ともいいます。右側が主型のつりを消す「消し型」です。

麻地の長板中形「竹に雀」

「さざなみ」

江戸時代の突き彫りの型紙を復元した「紅葉に流水」の絽の両面染め


四代目 小宮康義先生の江戸小紋

これからの染織界を担っていく方ですね。今後の作品も楽しみに致しております。


錐彫りの宮原敏明先生の実演もありました。

針のように細かい半円形の刃物を型紙に垂直にあてて回転させるようにして彫り貫きます


江戸小紋は日常から準礼装まで幅広くきることができるきものでもあります。
そういった観点からの考察も面白い(-_☆)


シルク博物館は常設展示も充実しています。関連レポはこちら☆
この機会にぜひ訪れて見てくださいませ。オススメです♪


※展示室内での撮影は、シルク博物館及び小宮先生より撮影及び「きものカンタービレ♪」への許可をいただいております。


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