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めゆ工房 カッペタ織と傾斜型地機 / 2015年初秋 八丈島の旅 その8

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菊池洋守先生の八丈織 & きもの文化検定 懇親会 / 2015年初秋 八丈島の旅 その7 のつづき(^-^)/

八丈島滞在3日目は、きもの文化検定の工房見学会で、めゆ工房へ。

めゆ工房は、大山下家の「御船預」といわれる幕府の直轄地である八丈島の官船を預かっていた山下家の末裔。八丈島に高機を導入した山下与惣右衛門の孫が八丈島随一の染め手といわれた山下め由。めゆ工房の由来はこの方から来ています。東京都指定無形文化財保持者となった娘の山下八百子が工房を立ち上げ、現在は三代目の山下芙美子先生が継承されています。そのご主人が山下誉先生。※故人は敬称略

誉先生による八丈島の自然と歴史、黄八丈の工程についてのお話。
黄金色の黄八丈、樺色の蔦八丈、そして黒色の黒八丈のそれぞれの工程については別でまとめます。


●カッペタ●
八丈島に伝わる原始機のカッペタ織の機です。

織りだされる幾何学文様は鱗、算盤、山道などと称されます。
経畝二重組織となっていて真田織の技術がカッペタ織として1962年(昭和37年)に文化庁より「記録作成の処置を講ずべき無形文化財」の指定を受けたことから広く知られることになりますが、それまでは八丈島でも知られていない織物だったのだそう。

機台はなく経糸の端を柱に結んで固定し、織り手の腰で引き織りあげます。

綜絖は十二枚あり、複雑な二重組織になっています。風通織に似ている。

カッペタといわれるヘラのような木を差し入れて開口させて杼を通して織ります。

原始機としては、アイヌのアッツシ織や台湾ヤオ族の織機と似ていますが、かなり複雑…(・_・;) 

誉先生はコブナグサの伝来ルートとは古代中国四川省から台湾から黒潮に乗ってという説でしたが、織機の伝来ルートも通じるものがありそうな…。興味深いです。


●傾斜型地機●
高機が導入される前につかわれていた傾斜型地機は、古代に韓国から伝来したといわれています。西日本は傾斜型地機、東日本は垂直型地機といわれますが、八丈島は傾斜型。

錘に大きな石がつかわれているのは、八丈島独特なのだそう。

経糸の開口は縄でつながれた足でしていました。腰当てで経糸を引く腰機です。

1889年(明治22年)に高機が導入されつかわれなくなり、今ではめゆ工房にあるものだけ。
地機特有の経糸のテンションから来る柔らかさがあるのだそう。

緯糸は筬ではなく刀杼で打ち込みます。
きもの文化検定1級問題になりそうひらめき電球 八丈島の高機と斜傾型地機の違い←オタクすぎるけど

こちらは、八丈島歴史民俗資料館に展示されていた傾斜型地機。



八丈島ではかつては養蚕が盛んであり、繭からオヤリという糸を引きだし紡錘をかけたと、文献であたるとでてきます。現在の八丈島では、紬糸や座繰り糸をオヤリというようです。

めゆ工房の糸は紅葉山御養蚕所で飼育されている日本古来の原蚕種の小石丸の姉妹品種である新小石丸の碓井製糸の生糸がつかわれています。


めゆ工房は幕府への貢納布の見本帳であった「永鑑帳」を復刻しています。黄八丈の年貢としての織物の検査はとても厳しく永鑑帳で間違いが無いか詳細に調べられ、万一失敗があれば織り直しを命ぜられたといわれています。

そのために控えの織物を用意したのが「御控え織り」です。

永鑑帳は八丈島歴史民俗資料館でみることができます。レポはこちら☆


黄八丈の染料となるコブナグサの畑、黒八丈の媒染の泥田の見学、そしてめゆ工房での織体験は別記事でまとめますφ(.. )

右はきもの文化検定の広報担当の赤木南洋さん、左はきもの文化検定の教本委員の加納俊さんとカメラ
旅のアテンドありがとうございました。


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