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第62回 日本伝統工芸展 at 日本橋三越 本館•新館7階ギャラリー

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この展覧会がはじまると秋がやってきた!という気がします。
第62回日本伝統工芸展が日本橋三越にて開催中(~9月28日まで)
日本工芸会の主催による、染織、陶芸、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門の国内最大規模の公募展です。重要無形文化財保持者(人間国宝)の作品をはじめ、一流の目で選定された素晴らしい工芸品をガラス越しでなく間近でみることができる貴重な機会なのです。


本館には日本伝統工芸展を紹介するタッチパネルがありました。

せっかくつくられたものなのに、誰も気がつかないのかつかわれている気配なし…(^_^;)

画面をタッチすると、伝統工芸展とは?人間国宝とは?そして優秀賞受賞作品が紹介されています。

染織部門は本館と新館の両方にわかれて展示されているので要注意!出品作品一覧の案内図をもらって見たほうが良いです。


「紋紗」重要無形文化財技術保持者の土屋順紀先生と小倉織を復元された築城則子先生とカメラ
土屋順紀先生の生絹着物「荷風香気」
土屋先生の作品は抜群の透明感、そしてキラキラした糸がつかわれていたのですが、お聞きしそびれました(汗 自然からいただいた色といわれる色は優しく今回の作品は力強くも感じました。

築城則子先生の絹混小倉縞木綿布「月想夜曲」
築城先生の作品は緯糸が見えない!それぐらいに経糸が密になっています。

築城先生がしていらしたのは、インテリアファブリックの生地として監修されている縞縞をお仕立てしたもの。久留米絣に半幅帯としての装いも素敵です。


伝統工芸展の会場では、ご自身の作品を自然にサラッとお召しになられている先生がいらして、目の保養なのですドキドキ
「伝統工芸展を見にいきたいけれど、着ていくようなよそいきのきものがない」とおっしゃった方がいらしたのですが…、作品だけでなく先生方の装いも見て欲しい。きものをサラッと自然に着こなすことがカッコいいということがわかると思います。お写真はお願いできなかったのですが、佐々木苑子先生の半幅帯の着こなしも素敵でした。帯留は鳥。お話伺いたかった…(>_<)

八丈島では大変お世話になった、山下芙美子先生とカメラ
山下八百子先生のきものに黄八丈の半幅帯の着こなしでいらっしゃいました。これがまた素敵恋の矢
山下芙美子先生の「黄八丈着尺」
会場でも一際光沢を放っていました!衣桁にかかっていないのに目立つ。生地アップはぜひ肉眼でみていただきたいのですが、サッカーボールのような市松の織の光沢は、経糸はコブナグサの黄色、緯糸は椎の木の黒で織りだされたものだそうです。


型絵染作家の岩井香楠子先生とカメラ
型絵染着物「金鎖りの花」
型紙で染めているときに全体像が掴めるのかな…と思うような美しい濃淡。サガリバナと菱の繋がりが独特の空間を醸し出していて遠目でみても至近で見ても面白い作品でした。


型絵染作家の遠藤あけみ先生とカメラ
型絵染着物「喜雨」雨が落ちてくるのが見えるよう!顔料の色づかいが絶妙でこれもまた至近でみると面白い!友禅とはまた違う型絵染めの魅力に最近目覚めつつある私。こういったモダンなものをどう着こなすか?帯合わせが難しそうなのですが考えるだけでも楽しい♪遠藤先生のセンスに魅かれているのでお願いしたいなあ…。


友禅作家の生駒暉夫先生とカメラ
友禅訪問着「南風」 先日まで滞在していた八丈島の風を思いだしました。南風を大きな葉の細かな向きというか動きで表しています。生駒先生の作品には奥行きがあり余白の取り方も美しいです。


友禅の重要無形文化財保持者の二塚長生先生とカメラ
友禅薄地訪問着「音しぶく」
「糊置き」という隣り合う染料が滲み混じり合うのを防ぐための友禅の技法で意匠を表すという真糊の真骨頂の技が漲った二塚先生の作品をいつか纏ってみたいと思っています(願望です)。技を究極まで引き上げたその想いが作品にバーンと現れているので引寄せられてしまうのです。着物オタクの真髄を直撃する。しかし先生の作品を着こなすには背が足りない。そして予算も(T_T)


そして、今回初応募で初入選した妹尾直子先生とカメラ
諸紙布帯「風車」
妹尾さんは福井で紙すきの勉強をされその後は那覇で首里織をされていました。現在は水戸で諸紙布の帯を制作されています。ご自身の経験が生かされた和紙からつくった糸での花織の技法をつかって織られた帯はたくさんの作品の中でも印象強かった。染めはインド茜と西洋茜の重ね染だそうです。紙でつくった糸を染める?溶けないの?とお聞きしたら、紙は意外と丈夫なのだそう。琉球絣の風車の意匠が花織された技も素晴らしい。沖縄では大変お世話になった彼女の入選は私も嬉かったです。若い作家さんが育っていくのをみるのは喜ばしい。おめでとうございます!


残念なことに、会場でご挨拶はできたものの写真を撮るタイミングがなかった、紬作家の大高美由紀先生の紬織絣着物「花筏」。「朝香さん、どれかひとつ好きな作品を持って帰って良いよ」ということになったら(妄想です)今回はこの作品をいただきます!自分がリアルで着てみたいと思ったのです。

加藤玲先生の紬織着物「飛花」も着てみたいと思った作品。絣足が美しくて魅かれる。ところどころが無地になっていて追いかけで仕立てられていたのですが、この辺りのお話もお聞きしたかったのですが、どの先生なのかわからず…。

福村廣利先生の絞り染め訪問着「夜明け」。こちらは絞りでこんな表現ができるのか!と驚いた作品。流れ星のようにも感じる勢いある白抜きのところが興味深かったです。

海老ヶ瀬順子先生の穀織着物「夏の雪」。いつも個性的なタイトルなので、あれ?今回普通だっと思ってしまいました。 臭木で染められたという淡いブルーと五倍子の茶色、織は観音紗。海老ヶ瀬先生の作品も纏ってみたいもののひとつです。この透け感あるきものどうやって着よう…。←妄想です

香月美穂子先生の浮織帯「煌めきの刻」。じっとみていると時が刻まれるように揺らめいてみえる不思議な織です。どうやって織られているのだろう…。光沢は染めによるもの?じっくりお話をお聞きしてみたいです。

他にも気になる作品がたくさんありました! ご紹介しきれませんが…。
惜しくも今回は見ることができなかった毎回楽しみにしている先生の作品もどこかで拝見することができたらいいなと思っております。

初日と2日目はテンションがあがりすぎてじっくり見れたような見れなかったような…。
会期中何度か見にいこうと思っております。販売を伴っていないので遠慮なく肉眼でじっくりみることができて、運が良ければ作家の方から直接をお聞きできるという、きもの好きにとっては最大のテーマパークだと思います。お見逃しなく!

※会場での撮影は出展作家からの許可を得ていることがわかるようにという条件付きで許可をいただいて撮影したものです。「きものカンタービレ♪」への掲載の許可をいただいております。

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